期待と裏切り〜前編〜
選定の儀は、この町【ラティオ】の中心部にある教会で行われる。
選定の儀とは、15歳を迎える子供に神々が祝福として権能の一部を授けるというものだ。
権能は一人一つまでと決まっており、これは人の身では2つ以上は耐えられないからだそうだ。
そして、人々は授かった権能を元にして将来の方向を決める。
また、権能が戦闘向きであった場合は例外なくこの国ギリシャの中央にあるアテネ王立学園への進学が確定する。
これは非常に名誉なことであり、成功が約束されていると言われているほどだ。
だから、人々は子供に深い信仰心を植え付け良い権能を得ようとするのだった。
「ねえ、二人は出来ればどんな権能をいただきたいの?」
僕は彼らと共に教会へと行く道すがら聞いてみた。
「俺はアレス様の権能をいただきたいな。なんせ戦いの神様だぜ!かっこいいに決まってるだろ。」
「私は何でもいいわ、強いて言うならディオニュソス様の権能かしら。将来はゆっくり農業でも営みたいからね。」
「なに老人みたいなこと言ってんだよ」
「何よ!文句でもある訳?」
またしてもいがみ合う二人。喧嘩するほど仲がいいっていうのはあながち間違っていないのかもね。
「あはは、
ほら、二人ともそろそろ教会に着くから準備してね」
眼前にそびえ立つ大きな教会。
たいした大きさでもないラティオの町に一際大きく造られたこの教会は奇妙で、まるで神の偉大さのみを象徴するかのようだ。
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