第1話 真面目と言われる私でしたけど、惑星調査員になってみました。
三つの物語が絡み合い一つの結末に向かっていきます。
第一話は異世界を旅する惑星調査員の旅行記となります。
バックパッカーになった気になって読んでほしいと思います。
大学を卒業し就職するまでの22年間、『真面目』や『優等生』等と呼ばれることが多くありました。
それが1年前の私です。
ですけど、本当は言われるほど優等生ではなく、曲がったことが許せないというタイプではありませんでした。
ただ、世間のそんなイメージを壊したくないっていうか、そういった気持ちが強くて、どうしても本当の自分を出せなかったのです。
小心者なんですよね。
小、中、高校と何も問題なく卒業し、大学だって自宅から通える星立女子大に通い、友人にも恵まれ、飛び抜けた才能があるわけではありませんけど、運動音痴と言われることもなく、ましてや大きな怪我や病気をすることもなく、顔立ちや容姿にしても、まぁそれなりに……四年の秋には公務員試験に受かったことで私の進路は安泰となり……
と、それなりの、優等生らしい普通の人生を送ってきたのです。
ですけど、それが悪いってわけでは無かったのですけど、就職を機に自分を見つめ直そうと、そんなことを思ったりしたので……
そうなのです!
優等生らしく公務員試験に挑み、惑星連邦調査部に見事に合格したのです。
私が惑星連邦に行きたいと言った時、周りは内勤を狙っている思ったことでしょう。
でも違ったのです。
就職先は、過酷な未開惑星での現地調査をする惑星連邦調査部だったのです!
私、本当は冒険とかしたかったのです。
私らしくないといえば私らしくありません。未開の地へ一人で赴き調査をする仕事を選ぶなんて。
でも、冒険してみたかったのです。
本当の自分をもっと表に出したかったのです。
「ヒカルちゃんが惑星連邦開発部の調査員ねぇ。ちょっと考えられんわ。調査員って、いきなり野蛮な星へ一人で行かされるんでしょう、大変だって言うがね。だいたいあんた、一人で星外旅行も行ったことないでしょう、大丈夫?まぁ、冒険したいって気持ちは分からんでもないけどさ。とにかく仕事で行くんだでちゃんとしなかんのだよ。ったく、えらい心配だがね」
当時、親友のヤスヨにそんなことを言われました。
もちろん、その頃はそう思われるキャラでした。
あ、今もそう変りませんけど。
でも仕事で行くってことは分かってましたので安心してください。
そんな私の赴任地は、未開星域の惑星【異】でした。
惑星【異】なんて聞いたことがないですよね。
惑星連邦に所属していない未開の辺境惑星なので、世間の人が知らないのは当たり前です。
で、ここで驚きなんですけど……
辺境惑星は無数にあり、惑星連邦が確認している中には、機械帝国であったり、溶岩のような超高温生物が住む惑星であったり、反対に低温生物が住む氷の惑星であったりなど、色々な世界があるのは知ってますよね。
そして惑星【異】はといいますと、幼いころに読んだ童話に出てくる、エルフやドワーフ、小人、魔王、ドラゴンに御姫様などが実在して、おまけに魔法が出てくる世界だというのです。
馴染みがあるようなないような、ちょっと変った世界ですよね。
詳しくはこれから公開していく私の旅行記を読んでもらえればと思います。
「ヒカル調査員、未開惑星の現地調査は過酷な任務だ。それに今回は惑星災害の危険がある巨大生物についての調査なのだ。だからこそ……う~ん……もっとゴツイ奴が採用されると思ったよ。っても、人事部が君を選んだってのは、それなりの理由があるんだろうけど、見た目が整っているだけに心配だ」
初対面の上司にも心配って言われました。
いえいえ、そうじゃなくてですね、『見た目が整っている』という遠回しの誉め言葉ってなんでしょうか?
美人とまで行かないけど、まぁまぁっていう中途半端な感じなのでしょうか?
いえ、もぅ今は時効でも良いんですけど、でも当時は流石に微妙で……
まぁ、良いでしょう。
で、ここでちょっと補足を……
私の任務は惑星【異】の住民との触れ合い行動記録をすることと、世界各地を周り惑星【異】に潜んでいるという巨大生物の調査をすることでした。
もう一度、説明しますと……
巨大生物の噂を探りながら世界各地を回り、現地の人と触れ合い行動記録をつけること……だったのです。
まぁ、それが任務でしたので、惑星【異】の世界中を回ったりもしましたけど……いえいえ、冒険旅行を目的としたわではなく、それが任務だったのですよ、本当に……行動記録だって様式が決まっているわけでもなかったから、旅行記みたいになっても……
ここで少しだけ話を変えます。
惑星【異】が発見されたのは3年前になります。
知っての通り、惑星連邦は常に知的生命体の存在する惑星を探索しています。
その探索活動の中、辺境星域の銀河系にある太陽系第三惑星に、知的生命体の存在が確認されました。
そして監視衛星を設置しマイクロドローンとともに監視を続けた結果、惑星【異】に、惑星災害に認定されるような巨大生物の発生の恐れを確認したのです。
それを受け、監視衛星とマイクロドローンのみではなく、実地調査の必要があるとの判断で調査員を惑星上に出向させることになったのです。
で、私がその調査員に選ばれたわけなのですが……
ちなみ、私が惑星【異】の担当となった理由ですけど、私の出身惑星がテラだからです。
知っている人もいるかも知れませんけど、惑星テラはヒューマノイド型の惑星です。
惑星【異】は惑星テラに環境が酷似していて、知的生物も基本的にヒューマノイド型です。
未開惑星への入星です。
惑星【異】の人たちに紛れるのには、惑星テラ出身の私が都合が良かったのです。
ということで、無事に任務を終えることが出来ましたので、私が行った惑星【異】の調査の結果をまとめてみました。
SNSで公開することは禁止事項に当てはまらないとのことですので、私の冒険旅行……失礼、任務記録をみなさんに紹介したい思います。
デジタル機器の使用が出来なかったので、画像は手書きのイラストとなりましたけど、まあ、下手でもその辺りは我慢をしてもらって……
とにかく、興味のある方は目を通してみて、そして良かったら感想など聞かせてもらえたら嬉しいです。