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もう二度と立ち上がれないかもしれない‥‥

作者: 雪 里 枝

 その古い見た目に、なんとなく嫌な予感はしていた‥‥


 しかし‥‥ まさかこんな悲劇が待っているなんて‥‥‥



 ここはターミナル駅のトイレの個室‥‥ その中で‥‥温水便座が止まらなくなった!!!!!



 停止ボタンを押しても何の反応もない‥‥‥ ただひたすらに撃ち続ける、お尻をめがけた水鉄砲‥‥‥‥


 マズいマズいマズいマズいマズい‥‥‥‥‥ どうしたらいいのこれ‥‥‥



 ‥‥誰かに助けを‥‥‥‥ イヤ!!!ムリ!!!!


 下半身丸出しでお尻を水に打ちつけられて!! 止まらないんです助けてくださいなんて!!! ゼッタイ無理!!!!!



 ‥‥そうだ!!! 鞄の中にビニール袋があった筈!!!! それを手に被せて、上手いこと水を抑えて便座のフタを閉めれば‥‥‥


 じゃあ壁に掛かった鞄に‥‥‥ 手が届かな~~~~い!!!!!



 どうしよう‥‥‥ もういっそ、このまま立ち上がっちゃう?? いやそれもムリ!!! 背中がビショビショになる!!!!


 そんな姿でトイレから出て、改札まで歩いて行くなんて‥‥‥ 恥ずかしすぎて死ねる!!!!



 ‥‥‥あぁダメだ‥‥‥もうアイデアが浮かばない‥‥‥ きっとこのままお尻を打たれながら‥‥トイレの中で朽ちて行くんだ‥‥



 ‥‥‥いや待って電気!!! そう!! 温水便座は電気で動いてる!!!

 じゃあどこかにコンセントが‥‥‥ あった!!! 便器の後ろの壁に!!!


 あそこならギリギリ指が届く!!! かも!!!



 届け~~‥‥ 届け~~~~ と~ど~~け~~~~!!!!!!


 届いた!!! そしてスポンと抜けた!!! コンセント!!!!




 そして静かに‥‥温水便座は沈黙した‥‥‥




 ‥‥‥長かった‥‥様な気がする‥‥ しかし自分は確かに生き延びた(社会的に)‥‥


 とっても大きな達成感を胸にいだき、確かな足取りで、悠々と改札を通り過ぎた‥‥‥



 その日の夜の布団の中‥‥ふとあの出来事が脳裏をよぎり‥‥ ハタと‥‥気付いた‥‥‥



 ‥‥‥温水便座の故障のこと‥‥ 駅員に伝えるの忘れた‥‥‥




 ‥‥そして再び悲劇は起こる‥‥‥


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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑いました! ホラージャンルでこのタイトル。なのにまさかのコメディとは。完全にやられました。 [一言] 瑞月風花さまの活動報告から参りました。 当事者には悲劇ですが、楽しくなっちゃう作品を…
[一言] 次の悲劇を止めてー!!! 瑞月風花様が紹介されていたので、お邪魔しにきました。 リアルホラーですね。笑 私は音姫か何かのボタンと間違えて押して、飛び上がった記憶があります。 恥ずかしいので…
[一言] 読み終えたときブフォと吹き出しこれホラー作品? って思ったんですけど。 余韻に浸っているとジワジワと怖さが沸き上がって来ますね。 他人には笑い話だけど、これが我が身に起こったらと思うと…
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