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第1話 俺の決断

個人的に好きなタイムスリップ系を書いてみました!


最初の投稿なので少し簡潔に完結させたいと思います(座布団1枚)


コメント頂けたら幸いですm(*_ _)m

もう......俺なんて......

生きてる価値がないんだ......。


俺はそういう人間なんだ。


俺は大学受験に失敗した。

1年間本気で勉強したのに、届かなかった。


受験当日、席に着くと頭の中は真っ白だ。

ペンを握る手が震えている。

いつもなら解けるであろうレベルの問題が、全くと言っていいほど頭に入ってこない。


俺は緊張に弱い。


周りのみんなは平然と問題を解いていく。

その姿が俺を焦らせた。


緊張のせいか今の今まで気が付かなかったが、目を右前にやると同じクラスで成績トップの和田がいた。


和田もこの学校を志望していたのか。

俺はそんなことを考えていた。


もし今、こいつの解答を見たら......俺は確実に合格出来る。


そんなのやってはダメだ。分かっている。

俺はこの日のために勉強に勉強を積み重ねてきた。

自分の力でやりきらなきゃ、なんの意味もないんだ。


結局、俺はカンニングすることはなかった。




結果......不合格。



悔しくて涙が零れた。


後日、俺は受験結果を報告しに学校へ行った。

何やら職員室が騒がしい。


「えぇーーっっ!! 和田ちゃんすごい!! 合格したの!?」

「嘘でしょ!? 最難関だぞ!? 」


大勢の友達が和田を取り囲んでいた。

先生達もお祭り騒ぎだ。


その光景を俺は直視出来なかった。


あの時......俺が和田の......答案用紙さえ見てれば......

俺だって......こんなふうにっっ......!!!


完全に本心だった。

みんなからすごいと言われたい。ただその一心だった。



自分は弱い人間だ。

他人の力を使ってもいいから、合格したかったなんて思っていた。


ある日のこと、街を歩いていると不思議な路地に迷い込む。


当たりは暗く、壁には不気味な落書きがある。


すると黒ローブを被り、あからさまに怪しい一人の男が俺に声をかけてきた。


「おや? おやおや?? お兄さん...なにかお困りのようですね。」


明らかに怪しい。

俺は鼓動が早くなる。


「何も困ってないですよ」


そうは言ったものの、内心困りまくっている。

自分の弱い性格が嫌なこと、合格できなかったこと。

心は曇り空だった。


「嘘はいけませんなぁ...。」

男は首を曲げケラケラと笑いだした。


「分かるんですよ。あなたが困っていることくらい。」

男は俺の心を見透かしたように、俺に寄り添ってくる。


「あなた、人生をやり直したい。と思ってませんか?」

男は相変わらず不気味な笑みを浮かべながら、俺に言い寄ってきた。


「おっと...これは失礼。紹介が遅れました。」

男は私から半歩後ろに下がり、丁寧にお辞儀をした。


「私は、タイムトラベル闇営業所の久保田と申します......。」


タイムトラベル闇営業所だと?

耳を疑った。

普通の人間なら、こんな怪しい人がいきなりタイムスリップさせてあげます、なんて言い出したら間違いなく警察を呼ぶだろう。

だが俺は、こいつの言葉に魅了された。


(まさか......あの試験の日に戻れるのか......?)


俺の考えは常人ではなかった。


過去に戻り、カンニングして、合格を勝ち取る。


クズの思考だった。


きっとこいつは俺みたいな人生に余裕が無いやつの弱みに漬け込んで、商売をしているんだ。


「そんな話信じられるか......。」


口では強がってみるも、俺はこの男の話の続きが聞きたくてしょうがなかった。


その心を読まれたのか、男は不気味に笑いだした。


「いえ......本当の事なんです......。私達はあなた方が生きている表の世界の住人ではないのです。もちろん、タダではタイムスリップは出来ません。1回の旅行につき100万円を頂戴しております。」

男は100万円と表示されている電卓を見せてきた。


冗談じゃない。

俺が小さい頃から大学の生活費として、バイトでコツコツ貯めてきた金額じゃないか。

それを一気に払うだと?

バカバカしい。


俺は断ろうとした。


「貯めてきたお金...生活費...あれぇ...? 行ける大学ないねぇ......。」

男は目を思いっきり開き、俺の顔のすぐ近くでいきなり笑いだした。

恐怖で思わず脚がすくむ。


男が放った言葉はまさに図星だった。

大学の生活費として貯めてきたお金だが、その大学に落ちてしまったのだ。


この男が怖くなって、俺はこの男から逃げ出した。

全力で逃げる中、男は大声でゲラゲラと笑っている。


「またのご利用...お待ちしております...。」


振り返ると男は消えていた。


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