騎士の起源について
短い内容ですが、最近思った事を書きました。
最近騎士の起源についてインターネットでも調べたりもするのですが、そこで気になった事について書きます。
気になった事とは、古代ローマ時代のエクティスを、中世の騎士の起源として扱うサイトが複数ある(ウィキペディア、ピクシブ百科事典等)のですが、それは間違いでは無いかという疑問です。エクティスとは古代ローマの装備自弁の兵制において、騎兵としての装備と能力をも用意できた富裕層を指すのですが、これは騎士と訳語が付いても、中世の階級としての騎士とは大きく違うと思われます。
そもそも騎士とは、主君から封地を与えられ、その見返りに有事には戦力を提供する軍事的エリート階級です。エクティスは家が富裕であるから騎馬を含む装備を用意できるに過ぎず、軍事力の提供は他の古代ローマで定められている法令による義務によるものです。この騎士階級を定義付ける部分の違いを無視し、エクティスを騎士の起源として取り扱うのはいささか乱暴であると感じます。
また騎士に関するどの書籍を読んでも、騎士の起源をフランク王国時代に求めるものはあっても、古代ローマのエクティスとするものを見た事がありません。騎士階級には個人対個人とする主従の繋がりが基盤にあり、その考え方の発祥をゲルマンに見るものはあってもです。そもそも法令に定められた義務としての兵役に参加するエクティスの繋がりの基盤は国家対個人であり、個人対個人の繋がりでは無かったのでは無いでしょうか。そしてどの書籍にも、騎士とはただ馬に乗る兵士では無く、社会的階級制度と合致した存在であると書かれています。
何故これら違いを無視してエクティスを騎士の起源として見るのでしょうか。それはエクティスの訳語として騎士が当てられるため、中身では無く名前から単純に同じ騎士として考えてしまったのだと考えられます。実際には、エクティスを元にする階級と、騎士階級は同じ名前でも内容は大きく違うのではないでしょうか。