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07話

「――寝たか」


「はいっ!寝ましたー!」


「しっ、黙ってろ」


「うぐぐっ」


 初出勤の疲れもあり、私が深い眠りについている部屋で、テンション高めのまぁちゃんがツバサくんに顔を掴まれ注意される。

 ツバサくんは私のことを起こさないようにしているようだ。

 実際、初出勤で気疲れし、その帰り道でよく分からない二人に声を掛けられ、あまつ変な同居が始まるなんてトリッキーな事件が起きてしまって、疲れ果てて眠ってしまった私が起きることはまずない。


「コイツ…なのか?」


「それは、まぁちゃんの知ったことではないのです―!」


 私の枕元に座ったツバサくんは、寝ている私の前髪をさらさらと撫でる。

 ツバサくんの隣に座っているまぁちゃんは、知ってか知らずか、ツバサくんの独り言にそう返答した。

 あくまでツバサくんは独り言だったのだろう。

 まぁちゃんのことは無視しているのか、気にしていないのか、それにツバサくんが返答するつもりはないようだ。


 ツバサくんは、私が持って帰ってきてしまった真っ白な絵本の表紙を一枚めくる。

 最初のページに、夕方、私が見た時には描かれていなかった絵が浮かび上がっていた。

 水彩画だろうか、優しい色で描かれた、女の子の絵が、そこには描かれていた。

 だが、その女の子が誰なのか、そのイラストが誰のものなのかは分からない。


「ようやく、始まるんだな」


 その絵を誰が描いたものなのか、ツバサくんはわかっているのだろうか。

 しばらくその絵を眺めていたが、不意に室内をぐるっと見回したあと、私に視線を戻し、ぽつりとつぶやく。


「せまい、部屋だ。色気もない」


「でも、お胸はありますですよ」


「……そういうことじゃねぇ」


 苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをしたツバサくんは、私が明け渡した布団へと戻る。


「俺は、戻るんだ。絶対、絶対戻ってみせる」


 そう言いながら、彼もまた目を閉じ、眠りへと落ちて行った。

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