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25話

 翌朝。

 今日はお休みの日。

 目覚ましを鳴らさず目を覚ますのって、なんでこんなに気持ちいいんだろう。

 ツバサくんが隣で寝ていてくれたからかもしれない。

 ゆっくりと目を開けると隣で眠っていたはずのツバサくんの姿はなかった。

 あれ、どこに行ったんだろう。

 起き上がろうとした時、後ろでこそこそと話し声が聞こえた。


「ツバサくん、時間がないのではないのですかぁー?」


「でも、順調にページは埋まっている」


 ツバサくんとまぁちゃんだ。

 ページが埋まる――絵本の話をしているのだろうか。


 そう言えば、仲良くなればなるほど、二人との生活が楽しくて、絵本の存在を忘れていた。

 全部のページが埋まったら、ツバサくんは自由になる、って言ってたっけ。

 自由になるって、どういう意味なんだろう。

 私の前からいなくなる、のだろうか。


 起き上がるタイミングを逃してしまった私は、そのまま二人の会話に聞き入る。


「リンゴたんのこと、悲しくさせたら、まぁちゃんはプンプンなのですよー!」


「大丈夫だ、それはない。ただ…」


「ただ?」


「俺が問題視しているのは、例のアレだ。俺はまだ、自分がそういう人間だと、認めた訳じゃない」


「認めるもなにもないのです。すべては真実なのです」


 例のアレ?

 なんの話をしているのかは、さっぱりわからない。

 わからないけど、ツバサくんは自分のことを今、たしかに人間だと言った。


 人間…なんだ。

 じゃあ、本当に幼児なの?

 めちゃくちゃ頭のいい、IQ何百とかの幼児なの?


 いやいやいやいや、さすがにそれはない。

 だって――


「リンゴ? 起きたのか?」


 私の気配から、察しのいいツバサくんが声を掛けてきた。

 ツバサくん相手に、寝ている演技をし続けるのは、難しいだろう。

 人の表情とか、雰囲気とかにとても敏感な人だ。


「ん…おはよう。なに話してたの?」


 無駄かもしれないけど、一応、いま目が覚めたような顔をして、起き上がりながら二人に向き直る。


「ちょっと、な」


「リンゴたん、おはよーなのですー!! おててのケガは、だいじょーぶですか? もー痛くないですか?」


「まぁちゃん、おはよ」


 私が起きたことに気づいたまぁちゃんは、私の胸に飛び込んできて、矢継ぎ早に質問責めにする。

 心配、させちゃってたのかな。


「ありがとう、もう大丈夫だよ」


「良かったです、まぁちゃん、心配したです! それなのに、起きたらまぁちゃんはすみっこに追いやられてまして、リンゴたんとツバサくんがいちゃいちゃいちゃいちゃと…」

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