29歳のクレーム対応
ブックオフで働いていたことがある。
日々の業務の中に、クレーム対応がたまにあるが、クレームには2種類ある。
こちらが悪い場合と運が悪い場合だ。
こちらが悪い場合とは、
「ディスクを入れ間違えた」「誤った本を渡した」「特典が入っていない」などなど。
運が悪い場合とは、
「ゲームが動かない」「店員の愛想がない」など、低確率がだが発生するクレームだ。
こちらが悪い場合は、悪いことをしたと思うが、運が悪い場合は、どうしようもないと思っている。
数百のクレーム処理をこなしていると考えしまうのだ。
「なぜ、こんなにも怒っているのだろう?」と。
その時、私は物語を考える。
目の前で怒っているお客さんのことを。
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朝起きて、目覚めると、妻の朝食を食べる。
TVの占いを見ると、今日の運勢は最悪だった。
娘におはようといっても返事がない。
妻と些細なことで喧嘩をし、仲直りせずに家を出た。
満員電車に揺られる。おっさんに足を踏まれた。
会社に出社すると、部長に呼ばれ、みんなの前で怒られた。
使えない部下の些細なミスが原因だ。
昼ごはんは食べたいものが売り切れだった。
あっというまに時間が過ぎ、退社の時間になった。
癒しがほしい。
「そうだ!好きな映画を1本買おう!」
ブックオフに入って、バックトゥーザーフューチャーを手に取る。
昔から好きな映画だ。
レジに行き、会計を済ませる。
家に帰って、夕飯を食べる。自分の嫌いなものが献立だった。
今日は最悪な一日だった。
最高な一日を取り戻すために、DVDをプレイヤーに入れる。
自動再生され、映像が流れた。
さぁ、俺を未来に連れて行ってくれ!
だが、バックトゥーザーフューチャーは再生されなかった。
変わりに再生されたのは、
『エ~~~ク~~~ソ~~~シ~~~ス~~~ト~~~』
財布の中のレシートを取り、電話番号を見て、電話をする。
「マジでふざけんなよ!」
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なことがあるかもしれない。
そんな妄想を考えると、お客さんの怒りもわかる気がした。
たまたま、悪いことが重なることがあるのだ
そして、私は、車を運転し、お客さんの家にバックトゥーザーフューチャーを届けに行くのだ。