初期の飛行機の空模様
飛行機……。便利なモノだ。
できてからあっという間に性能が向上した。
戦争中なのも仕方ないが、飛行機は未来を担う兵器であることは間違いない。
これは、そんな飛行機ができて間もない頃の話。
「今日も行くのか?」
「ああ、空が俺を待っているからな!」
俺の名前はジョー・ブラッド。
航空兵として今の戦いに参加している。
飛行機に出会って空が一段と近くなった。
小さい頃から空の青色に近づきたくてよく見上げていた。
「ハンス。俺のレディちゃんのご機嫌はどうだ?」
「ジョーか。今日もいつも通りご機嫌斜めだ。彼女はまだ処女のように優しくだぞ!」
「ははは、すまん。おまえみたいな母親だから安心してデートに行けるってもんだがな」
「こいつ――」
ハンスは俺の機体の先任整備士。
元は自動車の整備士だったらしいが、飛行機のエンジンも興味があってきたのだという。
そして、二枚の翼を持つ俺の彼女で相棒。
機関銃はまだ積んでいないが偵察機としては優速で機動力もあって文句の付け所はないが、ただ一点を除いて。
新品、新兵器であるためどうしても不具合が出てくる。
エンジンは著明だ。
今日もオイル漏れしている。
「これから飛ぶのか?」
「ああ、前線偵察だと」
「そうか。なら、ちょうどよかった。全部今しがた終わっている」
「ありがとう」
「青空を見て来い」
こうして俺と彼女は無限に広がる空に今日も飛び出していく。
この一月後に戦況は悪化。
航空戦が開始され、青かった空は暗雲へと変わっていった。