第8話
俺の考えを察したのか、
「大丈夫よ。私は引き渡さないわ。これだけは誓っても言えるわ。」
「そうか……ならいいんだが。」
改めて今の自分の格好を見てみると、時代錯誤もいいところな格好している。学校に行っている時の格好で、ワイシャツにスラックスだ。
まあ、怪しいわな。でもそんな俺を頼ってくれて、それでしかも俺を匿ってくれているんだ。疑うなんてことは出来ない。
例えをそれを匂わせても。
「きっかけとかあったのか?」
「きっかけなんてないわよ。ここに生まれてからずっとこうだったわ。子供の頃は理解出来なかったけど、今じゃ分かるわ。」
生まれてきた時からそうだった。つまり、20年前もマクベスがこの街を統制していたって訳だ。
「まあ、とにかくこの五日間は家を出るなってわけだろ?」
「そうだね。ちょっと退屈してしまうかもだけど我慢してくれよ。捕まったあとの方がもっときついからね〜。」
「けど旅人を引き渡すのは見たことがあるんだろ?皆お前みたいな奴だったらな〜。」
「いや、マクベスもそれを懸念したのか旅人を引き渡した人には賞金を与えるようにしているの。」
「大体どんくらいだ?」
「1000万ペルくらいだね。」
「んなっ!1000万ペル……!?」
1000万って……あの1000万か?一瞬通貨が円じゃない事に気づいたけど、多分1円イコール1ペルだろう。賞金の多さに驚きはしたけど、両手を前に出して、
「ちょっと待て。旅人1人ごときになんでそんな大金を出すんだ?そんな大金出すぐらいなら―――――」
「街の人を下僕にすればいいじゃないか。その方がお金も使わないし、一番手っ取り早い。そう言おうとしたんでしょ?」
言おうとしたことを言われてしまった。そんなに分かりやすかったかなぁ?それともマリアが人の心を読める能力があるとか。
益体もないことを考えても仕方が無いので、まだ話そうとするマリアに耳を傾けた。
「私も最初はそう考えたわよ。考えたけど………よく考えてみて。もしも、街の人を捕まえたとして、それに気づかない人がいると思う?しかもこんなに大きな街でこんなに発展してるのよ?知り合いがいない人なんていないと思うの。見た人は怪しんでみんなマクベスに直談判しているはずなの。そしたらこの街の長はマクベスじゃなくなるはずよ。」
「つまりはマクベスは全部考えて動いてるっていうことか。一番怪しまれないで一番安全な方法を取っている、って事か。」
「そうわね。それに…………」
マクベスについては夜遅くまで話し合ってそのまま、机で寝てしまった。
初めてマリアにあった時に1日、そして今日夜を越したから2日。
あと4日、この家に居ればよかったんだ。
俺が素直にマリアの言い付けを守っていれば………