第6話
パンパカパーーン
質問に答えようとした瞬間、ファンファーレの音が鳴り響いた。
「ん?どうしたんだ?何かあったのか?」
そう言うと、彼女は急いだような顔をして、
「は、早く隠れて!」
「なんで隠れなきゃいけないんだ?」
「いいから早く!」
彼女は俺を家の奥の押入れに、私がいいって言うまで出ちゃ駄目、と言われたので大人しく押入れの中に入った。
押入れの中はそれなりに広く、そこまでギスギスした所では無かった。
中に8割がた食料が入っていて、まあ押入れというよりも食料庫だった。
暫くの間じっとしていたら押入れのドアを挟んで向こう側からコンコンと聞こえた。そしてそれに応じるようにガチャッとドアが開く音も聞こえた。
…こん……は………
壁を挟んでいるせいか言葉がよく聞こえない。
本当は聞かない方が身の為かもしれないが、俺はドアに耳を付け呼吸をなるべく静かにした。
「こんにちは〜。今日はどんな御用で?」
「旅人はおるか?」
威厳に満ち溢れ低い声は、俺の耳によく響いてきた。しかし、質問というかどちらかと言うと脅迫に近いものを感じた。
「い、いませんよ。ここ最近旅人自体見ていませんから。」
あの女の子は大人らしい落ち着いた声で話していて、けれどその中には声が震えているように感じる。
この脅迫じみた質問にせよ女の子の反応にせよ、俺は何か変な感覚に陥った。
俺は昔から勘は鋭いほうだと思っていたが、その勘は今ここでビンビンに反応している。
ここには何かある。何があるかは知らない。しかし、絶対に何かある。
整理のついていない現状にまた新たな情報が舞い込んできて、頭を抱えていると
「そうですか……それは失礼いたしました。それでは良い1日を。」
「………ふぅ」
話は一方的に終わって、ドアを閉めたすぐあとに嘆息の音が聞こえた。
足音がこちらに近づいてきてコンコンとなった後に
「出ていいわよ。」
と、一言。
言葉をそのまま行動に表して、押し入れから出た。
ただ、彼女を見てみると何故か体が震えていて、カタカタと音が聞こえるかもしれないくらいに震えていた。
「ど、どうしたんだ?一体今のはなんだ?」
彼女はこちらを向くことなく下を向いたまま答えた。
「あ……あれは……」
呼吸を激しくしながらも言った。
「あれは……スレイヴピックアップ……」