第5話
辺りは暗くなっていき、大通りは昼の時の盛り上がりは消え失せたが、代わりに路地の店が盛り上がっていった。
俺に助けを求めた女の子は今もまだベッドの上で眠っていて、口からは涎がたれていて、身長も相まって子供っぽさが増している。
改めて女の子を見ると身長、顔つき共に小学生にそっくりであった。くびれのいい腰と、豊満な胸はこの風体には似つかわしくない。
こんな小さな女の子とキスしたと考えると恥ずかしさがこみ上げてきて、女の子から顔を背けてしまう。
俺は椅子に深く腰掛けて色々考えをまとめることにした。まずは何をまとめようか。
しかし、今日起きた色々な出来事に体には疲れが溜まりに溜まって机に顔を突っ伏して寝てしまった。
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………おき……おきて……………起きて!………起きて!……
薄らと目を開けながら、声の聞こえる方を向くとそこにはさっきまで見張っておいた女の子がいた。女の子は少し急かすように、
「ねえ、起きてよ。」
と行ってきて、その状態を見ただけで俺はすぐに目を覚ますことになったのだが女の子は自分の必死さが俺に伝わってないと思ったのか、俺の体を揺らすようにして、
「はやくー、はやくー。」
と言ってくるのだが見た目が見た目なので、早く遊園地に行きたがっている子供みたいで、まあしっかり目を覚ましてほしいというのは伝わったので座っていた椅子から立って、体を伸ばした。
「うぅーーーん、はあー。」
ギシギシの体を精一杯伸ばした後、女の子を見るとやれやれと言った感じで、椅子に座った。
伸ばして、元気全開の体を落ち着かせるように俺も対面に座った。
「あの……助けてくれてありがとう。」
「いや、別に大丈夫―――――」
だけど、と言おうとしたら俺の方を怪しむように女の子は睨んだ。まだ少し焦っているのか声を少し張って、
「それより聞きたいことがそれなりにあるの。」
こっちのセリフだ、と言いたいところだけどまあまずは向こうの話を聞いてからかな。
おう、と言い頷いたら少し嬉しそうにして
「あなた何歳?あまりこの街では見かけたことのない顔ねどこから来たの?名前は?」
一気に畳み掛けてきた質問に若干引きながらも、焦る彼女を落ち着かせるように両手を出して、
「ま、まあ落ち着け。そんなに急がなくてもしっかり答えは返すから、な?」
興奮して目が見開いている彼女は荒い鼻息をしてからもう1度椅子に座った。
「じゃあまずは年齢から。俺は17歳だ。」
「うんうん。」
「名前は坂崎亮太だ。まあ、リョウタって読んでくれ。」
激しく頷いた彼女は最後の質問に答えてほしかったのか、握った両手を上下に振って催促していた。
「最後の……質問か………」
ここで言ってしまっていいのか?
それは今の情報をまだ整理しきっていないという事と、一番はどう思われるかだ。
この世界の住人じゃないなんて言ったら、どんな反応をされるか。
長く考える俺を訝しく思ったのか、
「早くしてよー。」
と、口頭で急かしてくる。
どうしようか。このままありのままを伝えてしまうか、嘘をつくか。まあ、嘘も方便って言うしな。
ただそうすると、次はここらの地名を知っていなければ成立しなくなってしまうわけで………
少し悩んだ結果、腹を決めた俺は本当の事を話す事にした。
俺の生まれたところは――――――