第3話
門をくぐり抜けるとそこは………とにかくデカい家がたくさん並んでいた。
大体の家は豪邸のようでこの街に住んでいるのはみんな金持ちなのか、と想像してしまう。
この街の中を知るために俺は散歩を始めた。
門を入ってすぐの大通りはとても賑わっていて、色々な店が立ち並んでいた。
しかしびっくりしたのは大通りはもちろん、大通りから枝分かれしている路地の方もそれなりに賑わっているということだ。
よほどこの街は平和的なのが見て取れる。
色々店を見て回りたいものだが、ひとつ問題がある。
金が無い。
店で買い物をする人々を見ていると皆、硬貨らしき物体を持っている。
今金のない俺は何も買うことが出来ず、それにより腹が減った時に満たすことが出来ない。
何か仕事が出来そうな所を片っ端からまわって行くしかないな。
俺は最初のミッションを遂行するため、大通りから左の方の路地を歩いていった。
路地の方も大通りに近ければ賑わっているが、しかしそれは大通りの近くと言うだけで、奥の方へ入っていくと怪しい店やいかがわしい店だったりが、立ち並んでいた。
「ま、まあ見るだけ見るか。」
別にそういうのが好きって意味じゃないから。多分。
気軽に歩ける場所ではないとは思うが、俺はいろんな店に目星をつけて歩いていった。
半分くらいの店を見終えた頃周りを見ながら歩いていると、
「キャッ」
誰かがぶつかってきた。見た所女の子で俺と年齢は………うん。明らかに違う。
俺は身長は高いほうなので大人に見られる事もあるが、この子は俺とは真逆で身長は明らかに女の子の中でも低いほうだ。
俺が大体176センチに対して向こうは、目測ではあるが145センチぐらいに見える。
それに顔つきがどう見ても子供だ。10歳とかその程度だろう。
彼女は俺に向かって、
「私を抱えて逃げて!」
と言った。口調から察するにとても焦っているようで誰かに追われているようだった。
「え……あ、あの…」
頭では理解出来ても言葉ではどうしても緊張してしまう。
俺が言葉に迷っていると、奥の方の曲がり角から二人の男が出てきた。
格好はサングラスに龍の刺青が入った上半身に膝が隠れるくらいの、他に表すとカーゴパンツを履いていた。
「あそこだ!追っかけろ!」
と、男は叫んだ。
そんな状況で落ち着けるはずもなく、俺が未だにあたふたしていると、
「いいから早く!」
と、急かしてくる声が。
迷っている体は選択肢を突きつけられ、反射的に彼女を、お姫様抱っこしていた。
俺は大通りを目指して、広いとは言えないこの路地を突っ走って行った。
大通りを出ると
「止まってないで!次は右に曲がって!」
抱っこしていた彼女のナビゲーションが、始まった。
俺はそれに従い彼女の目的の場所に到着した。
さっきは左の路地に行ったのに対し、右の路地にいた。どちらかと言うと路地の一番奥と大通りのちょうど真ん中ぐらいに位置していた。
俺は少し息切れしながら、彼女をゆっくりと地面におろしてやった。
彼女はさっきの切羽詰まった顔つきから少し落ち着いた顔つきになった。
俺に休む暇を与えず俺に、
「ここは私の家。入って。」
案内を始める。
それに従いその家に入ると…………。
つい黙りこくってしまった。女の子にしては大分質素な感じだったからね。つい。
彼女は椅子に座り、俺も椅子に座らせる。
椅子は隣通しで彼女はこちらを向いて、こう言った。
「ありがとう。助かったわ。お礼をしてあげる。」
彼女は蠱惑的な物言いで俺の方に顔を近づけ・・・・・
キスをした。しかも口元に。
…………………まずい。
これはかなりまずい。
今も現在進行形で続くキスは5秒程度で終わった。
彼女はキスをし終え顔を離した。
次の瞬間彼女の理性は解き放たれた。