第2話
俺は、パッ!と目を覚ました。
いつの間にか寝ていたようだ。体は仰向けになっていて心地がいい。
「ここはどこだ?」
呟いてみるがもちろん返事は無く、かわりに風が流れてきた。
体を起こし辺りを見回すと人の姿、気配は無かった。
代わりに草原が地平線まで続いていた。一部を除いて。
草原ではないところにはレンガで壁が造られており、見たところ3メートル程度だった。
横幅はかなりあるので中は大分広そうだ。
横に広がる壁の真ん中には門が設けらていて中には家が見えた。
多分ここは街だろう。こんな所でうだうだしていても仕方が無い。
俺はゆっくりと立ち上がり、門へ向かった。
門の前で止まるとその門には貫禄が感じられた。
俺は大きな声で
「誰かいませんかー」
叫んでも誰も返事をしない。当たり前だ。門は閉じられていて、声が通りづらいのだろう。
もう1度叫ぼうと………しようと思ったがやめておいた。
門はガガガガと大きな音を立てて外開きに開いた。
同時に二人の門衛がもんを押しながら出てきた。
「ようこそ!オブデュの街へ!」
声を合わせて胸を張って歓迎の言葉を述べてくれた。
不意だったご挨拶に俺は動揺してしまい、
「ど、どうも」
と答えてしまった………とても恥ずかしい。
取り敢えず恥ずかしさを拭いながら、俺は質問をした。
「ここはどこなんだ?俺は……」
自己紹介をしようと思ったが、イマイチいい紹介が思い浮かばない。
だってこんな今まで見たことも無く、見たことがあってもゲームの中ぐらいだ。
まあ間違いなく高校生なんて言ったら不思議に思われるのは間違いない。それにもしかしたら俺を訝しむかもしれない。
まだ、今の状況が完璧に理解も、整理も出来てないのにたった一言で牢屋送りにされたらたまったもんじゃない。
言葉に悩んでいるのをそのまま見過ごすわけもなく外側から見て右側にたっていた門衛は、
「なんだ?お前なんだか怪しいな。」
なんて言い始めたもんだからさあ大変!
忙しなく脳を動き回る思考は自己紹介一点に絞られ、現在進行形で考えた。
すぐに思い浮かんだ答えは、
「お、俺は旅人だ!怪しくない!どうしてもと言うなら身体検査したって構わない!」
いや、制服姿だし。なんてツッコミを入れても何も面白くない。
第一、制服なんて分からなそうだし。
何かから逃れるような自己弁護をした俺は、ソワソワして答えを待つと、
「そうか旅人か疑って悪かったな。さあ中に入ってくれ。」
意外な答えが返ってきた。
にこやかな顔で迎えようとしてくれている。
「あ、あぁすまない。」
意外と単純だった二人組は街の中に俺を促すように中央を向き、深々と頭を下げた。
「関門突破だー!」
なんて心の中で思いながら俺は、二人に軽い会釈をして中に入っていった。