第23話
マクベスは睨んだ俺に応えるように不敵に笑った。
やはり、その顔には余裕が感じられる。そうだ、いいぞ。どんどん調子にのっていろ。
さっきの通り、俺とマクベスでは圧倒的な実力差がある。少し極端かもしれないが天と地ほどの差があるといっても過言ではない。
力に差ができればその分、戦い方や戦略にも差ができる。つまりは戦い方の幅が代わるというわけであり、勿論俺が幅が狭くてマクベスの幅が広い。
だからと言って俺に勝ち目がないという訳ではない。いくら戦いにくくても勝つことはできる。ただそれの問題点として挙げられるのは、確率が低いということ。ここはどうにか確実に決められるところまで持っていくしかない。
そしてもう一つ問題があって、その内容は一回もミスをすることができないということだ。ここからは俺の推測になるのだが、力の差ではもちろんのこと体力でも差があると思われる。恐らく、魔法で体力の底上げをしているのだと推測している。
となると、俺はその一回のチャンスで決め切らなければならない。
「ではいきますよ。」
俺にはまだ勝機がある。今はその勝機が確実になるまで、相手の攻撃を避けなければならない。
マクベスが言った後、またあの刃のような攻撃が飛んできた。ただ、さっきのような威力は見て取れない。白い刃もさっきよりかは小さくて、早さもあまりなかった。
これなら避けられる。大丈夫だ。ただ飛んでくる量はさっきのように単発ではなかった。
大量の刃は俺に向かって確実に飛んでくる。マクベスは避ける俺の先読みをしているからだ。マクベスの戦いの経験値も俺をはるかに凌駕する。そこも考えて動かなければならない。
今は、マクベスの攻撃と自分ができる最大限の動きに集中せねば。
マクベスの表情は依然として変わらないままだ。俺が動き続けている一方でマクベスは一歩も動かないままだ。
いいんだ、それでいい。
◇
◆
◇
ここから先はずっと同じことの繰り返しだった。
ただ、少しずつ行動が変わっていった。刃は大きさを増していき、早さも少しずつ上がっていく一方だ。そんな中でも俺は一応避け続けていたのだ。しかし、マクベスの攻撃を完全に避けるのは無理がある。直撃とはいかないものの、俺の体に掠っていく刃で体の動きは鈍くなっていく一方だ。
それに加えて少しずつ俺に近づいてくる。
………これはチャンスだ。
きっと余裕をかましているに違いない。俺とマクベスの位置は十メートルほどでだいぶ近くなっていた。
「ではそろそろ終わらせましょうか!」
瞬間、刃は一旦放出をやめその後に特別に大きな刃が超スピードで飛んできた。
ただ俺には見えていた。その大きな刃の後ろにマクベスがこっちに向かって走ってきていることを。
ここで絶対に決める!