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キスで世界が変わりました  作者: 高尾天
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第1話

………お………お……て………おき…

ん?

……起きて!起きて!

はっきりとは聞こえない声は徐々に聞こえてきて、耳から頭へと流れていく。

頭に流れついた言葉で、自分が起きなければいけないのが分かった。

重い体を上半身だけ起こしながら目を開けるとそこには・・・

何も無かった。

視界の中だけだが目の前は真っ白で影なんてなく、光が所々に()している。

改めて体を起こし周囲を見回してもさっきと同じ光景だけで、それというものは・・・

「ヤッホー」

あった

自分の真後ろに立っていたのは女性というのは一目見て分かった

ただ、格好は全く普通では無かった

月桂冠(げっけいかん)を頭に被り、体にはキトンを羽織っており、ミュールを履いている。

首元には銀のチェーンのネックレスがかかっており、赤い宝石があしらわれていた。

その宝石はまるで何かの眼球のようであり、見ているだけで魅了されそうだ。

こいつをパッと見た時の最初の感想は、

「神様……なのか?」

「違います!いや、違いません!ん?違くもないかな?」

「いや、俺に聞かれても。」

うん!神様じゃないな!

神様はこんなに馬鹿じゃないし、もっと、こう冷静さがある………気がする。

自分一人で話を進めてもしょうがないので、それと聞きたいことがあるので質問した。

「取り敢えずここはどこなんだ?」

「えっ?あぁ、そっかそうだったわね。」

潜考(せんこう)真っ只中だった彼女はこちらに胸を張って答えた。張る胸はないけど。

「ここは生死(せいし)狭間(はざま)です!」

決まった、といわんばかりに言った彼女はムッフン!と鼻を鳴らした。

「生死の狭間?」

「そうです。それにあなたは死んではいますが完璧には死んでいません!」

彼女は意気揚々(いきようよう)と喋り続けた。

「あなたは確かに屋上から飛び降り、死にました。即死です。」

「け、けどなんで天国にも地獄にも行かないでここにいるんだ?」

パッと浮かんだ質問を投げかけた。

「それはあなたはまだ死ぬべきではないと判断されたからです。」

質問すればするほど質問が増えるのでそのまま話を続けてもらう為俺は、

「じゃあ俺はどうするんだ?また生き返らすとしても目撃者達が怪しがるんじゃないか?」

「そうですねぇ。なので、選択肢与えちゃいまーす!」

「選択肢?どんな選択肢があるんだ?」

馬鹿丸出しの女神様は俺の言葉に続き、

「このまま天国に行くか、違う世界で生き返るかのどちらかです。」

凄い答えが返ってきたが、俺はひとつの選択肢に興味が湧いた――――――

「違う世界で生き返る?」

「そうです!言葉の通り、違う世界で新しい人生を始めるのです!」

なるほど、それは楽しそうだ。

「じゃ、じゃあ違う世界で生き返りたい」

もちろんそれ一択だった。

女神様は答えを聞いて少し険しい顔になった。

「本当にそれでよろしいのですか?今ここで選んだ選択肢は選び直せませんよ?」

心配してくれているのだろうが大丈夫だ。未練なんて微塵も残ってない。

「大丈夫だ。俺はそれを望む。」

「分かりました。では、そこに立っていてください。」

彼女は胸に手を当てながら、何かを唱え始めた。

「母なる大地よ、生命を呼び覚まし再び形成したまえ。父なる海よ、源を注ぎたまえ………」

俺の周りはガラスのような透明で羅列表示(られつひょうじ)された回転する文字が浮かび上がっている球状のものに囲まれた。

女神様はまだ呪文を唱え続けている。

呪文を唱え終わると、浮かび上がっていた文字は加速していき光を放ち始めた。

「あと少しすれば転送されるはずです。」

「なるほど。ありがとう。」

彼女は静かに(うなず)いた。

「最後にあんたの名前を教えてくれ。覚えておきたいんだ。」

最後の質問に彼女は、

「私の名前はライフ。女神ライフです。」

「そうか、ありがとな。」

光が強くなり、キィーーーンという音が響くと彼女は手を振った。

それを見たら数秒とせずに目の前が光で一杯になった。

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