第18話
「なんでこうなるんだよー!?」
入り組んだ道が続き色々な部屋がある中、なんとかマリアのところまで辿り着けるようになっているのはマキのおかげである。
ただ、その道案内が全てあっているとは限らなかったら。
そう、要はそういうことなのである。マキは一言も自分の道案内が全て正しいなんて断言はしていない。
だから、俺はマキの能力に完全に頼っていたし、あまり良い行動とは言えなかった。
その原因により、生まれた結果がこれだ。
「さっさと逃げるぞー!」
「そんなの私だって分かってる!」
追われている訳だ。しかも鎧に。
別に比喩とかそんな事ではなく、本当に鎧が追っかけてきている。
幸いだと言えるものは、鎧は1つしか追ってきてないこと。それと、鎧は何も武器を持っていないということ。
けど、だからといって俺たちを殺せないわけじゃないはず。あの硬い金属に喉を掴まれて、絞められたりしたら。
考えただけでもゾッとする。
今は、鎧から逃げて自分の命を最優先しなければならない。鎧は俺たちを走って追っかけてくるが特別早いという訳でもない。
「はあ、はあ。あの鎧は多分魔力で操られている。」
「っていうことは体力に底がないってことか?」
「そうわね。はあ、はあ、だから早くあいつを倒す方法を思いつかないと。」
マキは息を若干切らしながらも、俺に喋ってくれた。
さて、どうしたもんか俺たちはかなり追い詰められている気がする。まるで、ネズミ捕りにかかったねずみのような感覚だ。
もがくことはできるけど、結局は捕まって殺されてしまう。
しかし、ネズミ捕りと違うのは上手くやればこれがチャンスになるということ。
鎧が追っかけてきているんだから、その鎧を倒して装着すれば防御は万全ということだ。
「はあ、はあ、はあ、とりあえず落ち着ける場所が欲しいよ。」
頼むようにマキは言うが対応のしようがないので、頑張れ、と一声かけてそのまま前を向く。
鎧を倒す方法は思いついた。けど、実行が難しい。
作戦は、マキの怪力で鎧をぶっ倒せばいいという簡単な作戦だ。
しかし今追っかけられている以上、下手に後ろを向いて殴りをかまそうとしても、無理がある。
後ろを向く余裕があっても、マキの様子見れば分かるが、疲れが目に見えるぐらい溜まっている。
魔力でどうにかできるかどうかは知らないが、疲れている中、殴りを食らわせろという方がきつい。
どこかの部屋に閉じこもって、一旦休憩したいのだが鎧が追っかけてきてから、部屋のドアが全く現れなくなった。
万事休す。今のこの状況には、この言葉が最適だ。
様子を伺いながら走っていると、目線の端に映るマキが突然いなくなった。
ぱっと後ろに目をやると、そこにはマキが足を抑えながら倒れ込んでいた。
「た……たすけて……」