第14話
ドゴーーン
バコーーン
破壊音は俺の耳に鳴り響き、とても痛々しい。
そう、考えついた妙案というのは壁を突き破るという作戦だった。
マキの怪力は想像を超えるもので軽く、とまではいかないがそれでも余裕のある顔で壁を砕いていく。
俺は何も出来ないので後ろを警戒しながら、前へ掘り進むマキと背中合わせで歩いて行く。
マキ曰くこの壁は結構砕きやすくて今までで一番見掛け倒し、だと。
今までって、壁を砕くことなんてあるのかよ。
色々考え事をしながら呑気に後ろ歩きをしていると、マキと背中がぶつかってしまった。
「突然止まるなよ。一言声かけろよな。」
マキは少し怒り気味で、
「言ったわよ!止まるって言ったわ。」
俺は考え事をしながら歩いてたから、声に気づかなかったようだ。すまない、と心の中で思いながら俺は止まった理由を聞く為に質問をした。
「なんで止まったんだ?岩盤にでも当たったのか?」
少し冗談交じりで言ったものの軽く無視され、
「そろそろ上に上がりましょう。このまま横に掘ってても地上には出ないのは、あなたでも分かるでしょ?」
ぐぅ、と詰まった息で返事をして、
「まあ、確かにそうだよな。このまま暗いところをずっと歩くのは無理があるしな。」
「でしょ。だから今から階段状に掘っていくから、後ろは頼んだわよ。」
静かに頭を1回縦に振って、俺はまた後ろを向き、ゆっくりと歩き出す。
ただ、1つだけ気づいたことがあって………
「なあ、ちょっといいか?」
「何よ、言えばいいじゃない。」
「いや、今から言うって。ここってなんで暗闇じゃないんだ?」
「は?」
「いや、だって廊下から壁を掘り進んで、ちったぁ進んだと思うんだ。廊下から光が射し込むにしても、明るいと思うんだが。」
はあ、とマキは呆れた感じで溜め息をついた。さっき進み始めたばっかりだったがまた止まりこっちを向いて、
「あんたって、ほんっと無能ね。このくらい知って当然だと思っていたけど、まあ説明するけど。」
少し馬鹿にされた感じだけど本当にわからないことなので、おうと返事をして続きを待つ。
「あのね、私たちは皆魔力があるの。多い少ないは別として。その魔力は強ければ強いほど加護が付くの。あとは分かるわね。」
流石にここまで言われれば理解はできるので確認の意も込めて言った。
「つまり、魔力の加護によってこのくらい空間に光が生まれた。って事で合ってるか?」
マキは納得したように頷き、
「うん。そゆこと。」
俺はもうこれで納得したので、そっか、と言ってまた歩きだそうとする。
けど、マキは何かまだ言いたそうな顔をしていて、何を言うか待っていると
「基本的に私みたいな魔族だったり、人間ではないものは魔力はたくさん持っているのよ。だからといって人間に魔力が無いわけじゃないの。ほんの少しあるだけ。けど、魔法使いがいるんだから魔力が大きい人もいるわ。」
「って言うことは魔力が無い人間はいないのか。」
「そう。そうなんだけど………」
何か言おうとして、けど躊躇っているのかなかなか言おうとしない。
やっとこさ口を開こうとして、どんなことを言うのか内心ちょっとは期待したりして、
「君には全くといっていいほど魔力が感じられない。」
…………………えっ?