第10話
勢いで家を出た所までは良かった。ここまではだけど。家から急いで飛び出してきた俺は取り敢えず取り敢えず大通りに行ったのだが、
「さて、どうしたもんかなぁ。」
道に迷っていた。
そりゃそうだ。俺はここに来てからまだ、3日しか経っていない。しかもそれに加えて俺はこの街を探索はおろか、ろくに外を出歩いてもない。
もちろん、この街の構造なんて分かるはずもなく道に迷っていた。
あぁ、登山している時に道に迷うとこんな気持ちになるのかなー。
しかし、呑気な感想を言っている暇は今は無い。早く大きな屋敷を見つけなければ。
そう思うと、余計に焦りが生まれてきて………もう、どうすればいいんだ。
条件として、街の人には道を聞いてはいけない。この街の構造を知らないイコール旅人という事になるだろうし。
それに、素直にマクベスの屋敷を教えてくれるか?というか、まず知っているのだろうか?
いくら大きな屋敷だとしてもこの大きな街に比べたら、やはり小さく見える訳で。当たり前のように見つかりにくくなるわけっすよ。
はあ…………やるか。
あまり気が進まないというかやりたくないのだが。今はそんなことに時間を使っている暇はない。完全アウェーでもどうにかするしかない。
そう、ずっと走る。走って、走って、見つけるまで走る。ただ、それだけ。
一番簡単で、一番わかりやすく、一番実行したくない選択肢だ。
横に進んでいって、壁にぶつかったら一個奥の道に行ってまた横に進んでいけばいずれはつくだろう。
こんな浅はかな俺の考えは
◇
◆
◇
的中していなかった。的外れどころか、だいぶ外れていた。
マクベス邸は探して、30分程度で見つかったのだが。だがしかし、大通りをまっすぐ進めばつくなんて、いくら何でも酷すぎるだろ。まっすぐ進めば、5分程度で着けたのに。
何故か湧き出た悲しみを胸の中に押し込んで、俺はマクベス邸の目の前まで歩いていった。
マクベス邸は、鉄柵に囲まれていて、いかにも洋風って感じだった。
そして、思っていた通り大きかった。やはりこれだけ大きいと一人で暮らすのは無理なのか、柵の前に門番が2人、なかの家の玄関に2人、庭をいじっている人が4人ぐらい。
門番がいるだけで、こんなにも中に進みにくいものなのか。小さい頃、犬を飼っている家の目の前を通る時、よく吠えられたもんだから通る毎にビクビクしていた覚えがある。
しかし、今はその犬を飼っている家に行こうとしているようなもんだ。
俺はマクベスを問い詰める為に門へと向かった。