1/29
プロローグ
もううんざりだ。
毎日にメリハリが無くて、同じ事をいつもしている気がする。
同じような顔つきの奴がゴロゴロいて、それでいて同じような事しかしてない。
今の俺は高校生であまり取り柄はない普通の男だ。
ただ、1つだけ秀でている事があるとするならばそれは……
キスだ
俺はどんな奴よりもキスが上手い自信がある。
少し言いすぎかもしれないが自分が世界一だと思っている。
何故そんなに自信があるというと・・・それは言いたくない。
とにかく俺はもう死ぬ。
屋上は落下防止のために鉄柵があり、その中にはベンチが柵に沿って置かれている。
鉄柵の外には30センチ程度の足場があり、俺はそこに立っている。
ここから地面までの高さは分からないが、落ちれば即死だろう。
下では生徒達が騒ぎ立てているが、はっきり言ってどうでもいい。
もう覚悟は決まっている。
「どうせ生まれ変わるなら退屈しないところに生まれたい。」
簡単でありながらも儚い願いは、風にかき消され俺は静かに地面に向かっていった。