選出!
およそ2:1の割合で実行犯は一郎となった。
「犯人が他にいるなら兎も角、双子の適合率は二人とも90%を超えて、尚且つ共謀している証言がある。これなら2:1の割合でも一郎が犯人の決め手となる。まあ、更に絞り込むなら…例えば、この薬局にある防犯カメラの映像。五台の防犯カメラに映し出されてるが…」
丹はそう言うと、薬局の五台の防犯カメラの結果を選出する。
カメラA
60コマ中(一郎41コマ)(二郎18コマ)(同じ1コマ)
カメラB
45コマ中(一郎21コマ)(二郎20コマ)(同じ4コマ)
カメラC
50コマ中(一郎29コマ)(二郎21コマ)(同じ0コマ)
カメラD
45コマ中(一郎30コマ)(二郎12コマ)(同じ3コマ)
カメラE
25コマ中(一郎20コマ)(二郎5コマ)(同じ0コマ)
「この薬局の防犯カメラのみで統計を取れば一郎141コマ、二郎76コマ、同じが8コマと、やはり約2:1。だが、DとEのみで統計を取れば一郎50コマ、二郎17コマ、同じが3コマ。およそ2:1から3:1まで一郎よりに統計結果を変えることが可能に。つまり、証拠として提出するのを一郎よりの証拠のみに集めれば…」
丹は集めた防犯カメラの映像の中で、一郎よりになる映像ばかりを選出。すると結果は…。
三万二千コマにまで絞り込み、一郎がおよそ二万六千コマ。二郎がおよそ五千五百コマ。同じがおよそ五百コマ。
約5:1で一郎となる証拠が作り出された。
これを見て不満気な新田。勿論、丹がしている事は証拠の捏造ではない。捏造ではないが証拠隠滅に近いものがある。
だから丹も付け加えておく。
「もし、容疑者の弁護士側から証拠の全ての提出を求められたら、そこは素直に出せばいい。それでも2:1と、一郎よりの証拠は覆らないからな。捏造でも隠滅でもない。まあ、貧乏な二人に優秀な弁護士を雇う余裕もない。つまり、この証拠さえあれば二人は有罪に持ち込める筈!」