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共犯!

実行犯は犯行当時、被害者宅にてテレビを観る事はできない。被害者である太郎はとてもドケチな守銭奴で、貯蓄を重んじるが為に電気代のかかるテレビを所持していなかったからだ。


犯人は親を殺して帰宅するまでの間、テレビで放送されていたオジャマンガ㌦美の内容を把握するのは不可能。それでも双子が同じ様に供述出来たのは、家に残っていた双子の片割れがテレビを観て、その内容を実行犯に伝えたからだ。


…これは普通に考えればおかしい。

わざわざテレビを観て、その内容を実行犯に伝えれば、共犯の証拠にしかならないのだから。

もし、万が一に実行犯が捕まった時に、共犯の証拠が無ければ片割れは無罪を主張できる筈。しかし、今回の事件では共犯である事をあえて臭わす発言をしている。


二人共、家で漫画でも読んでいたと、そう供述した方がよっぽどマシでは無いだろうか?




この事から考えられるのは三つ。

一つはこの完全犯罪で警察を挑発するため。証拠があっても逮捕できないだろうと、犯人が愉悦に浸るために。


もう一つは罪の共有。

実行犯の事を片割れが警察に売れば、遺産を独り占めする事ができる。そうさせない為に実行犯が罪の共有として、共犯者に今回の供述をさせたのだ。勿論、起訴されない自信があるから、共犯者も同意したのだろう。


そして三つ目はその両方。挑発と罪の共有で、お互いの絆を深める為。



丹の推理を聞いて新田は憤る。警察を馬鹿にするな、と。刑事ではない丹は、挑発など気にもせずに冷静に判断するが。


「実行犯は実際にオジャマンガ㌦美の放送を観た訳ではない。家に待機していた双子の片割れから、口頭で放送内容を教えてもらっただけだ。つまり、放送内容について言及すればボロが出る可能性もある」


誘導尋問による自供。だがそれだけでは無い。


「そして実行犯と共犯との絆に楔を打ち込むのも悪く無い。例えば司法取引だ。自白をすれば共謀罪は適用されないと、双子の両方に対して同じ様に持ちかける。遺産を独り占めできるとか甘言も含めてな。共犯の方が取り引きに応じる可能性もあるし、実行犯の方は司法取引で裏切られるかもと、疑心暗鬼に陥るかも知れない」


丹の導き出した完全犯罪の攻略。それを聞いた新田は腕まくりをして、鼻息荒くヤル気を漲らせる。


「分かったわ!早速取り調べで私がボロを吐かせてみせるわ!」


「ヤル気があるのはイイけど…その前にこれを観ないとな」


丹が一枚のDVD-Rを取り出した。

内容は…事件当時にオンエアされたオジャマンガ㌦美の第184話「魔法のステッキにローションを!」である。



犯人の取り調べをするのが刑事ではない丹では、流石に問題がある。なら、刑事である新田がこのオジャマンガを熟知して、取り調べをするべきであろう。


…新田の先程までのヤル気は、完全に削がれるのであった。チーン!

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