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エンディング後の魔法少女は己の正体をひた隠す  作者: 鉄箱
魔法少女の合宿 三日目(後)
372/523

そのさんじゅう

――30――




 砕けた大理石。

 荒れ果てた空間。

 天使の梯子が場を満たす、神秘の聖域。


「――神の代理人、熾天使セブラエル」


 中性的な美貌を持つ青年は、そう、慈悲の微笑みと共に告げた。

 わたしは、わたしたちは、その五対十枚の翼を持つ天使に対してただ、戸惑いを浮かべることしかできない。

 理性は強敵であるということを告げているのに、本能が、魂が、敵対を避けようとしていた。まるで、“創造主”に反抗できない、ロボットのように。


「本当は姿を見せるつもりはなかったのですが――ただ、私の姿を見なければ、あなたたちも納得できないことでしょう。ですから、こうして参上しました」

「なに、ヲ、言ってイルノですか……ッ?」


 辛うじて。

 そう、問いかけてくれたのはレイル先生だった。先生は異能を展開しながら、僅かに足を踏み出す。


「――ええ、ええ、あなた方は天使ではない。理解に時間がかるのも、仕方のないことでしょう。ですが、既にあなたがたの魂は訴えているはずです」

「デスから、何を!」

「“逆らうべきではない”」


 平坦に告げられた言葉。

 それは、わたしたちの胸に突き刺さるような言葉だ。何故、どうして。


「もう、わかったでしょう? あなたがたは私に、神の代理人に逆らうことは出来ない。仕方がありません。恥じることもありません。仕方のないことなのです。ただ頭を垂れ、神の慈悲を請いなさい。あなた方は異端者であるかも知れません。ただ、神に忠誠を誓い、供物を差し出しなさい。さすれば神は、あなたたちをお許しになることでしょう」


 神に忠誠?

 神に供物?

 神様の言うことを、聴かなければならない?


「笠宮鈴理――彼女を差し出すだけで良いのです。それで、誰も不幸にはなりません」


 わた、し?

 いや、そうか。ずっと彼らは特異魔導士を狙っていた。その一環で、わたしを狙うのだろう。でも神様が求めている? なんで? なんのために?

 胸が早鐘を打つ。苛立ち? 恐怖? わからない。ただ、焦燥だけが体に満ちていく。まるで、血が凍り付いていくように。

 でも、だめだ、なにか、なにか言わないと。


「そんなの――」

「ふ、ざけんなッ!!」

「――っ夢ちゃん?」


 重圧。

 その全てをはじき飛ばして、夢ちゃんは一歩前に出る。



「いざという時に寝てるだけのニート神に、差し出すものなんて酸素の一つもありはしないわ! 寝言は寝て言いなさい、このダメ天使!!」



 誰もがなにも言えない中、肩で息をしながら中指を立てる夢ちゃん。

 ――ああ、そっか、やっぱり、こんな時に誰よりも先に立ってくれるのは、夢ちゃんなんだね。うん、さすがわたしの親友、わたしのヒーローだ。


「残念です。ああ、残念で仕方在りません。こんなにも多くの異端者がのうのうと生きているのに、敗北したレルブイルが、不幸にも妻を亡くしたフィリップが、私の命に従い下賤なる悪魔の力まで借りてくれたカタリナが――ええ、残念でなりません。異端者を刈り終えたら、私の手で慈悲を与えねばなりません」


 天使が嘆く。

 そう、大げさな仕草ではない。嘘くさくもない。本気の嘆きだ。けれどどこか薄ら寒さを――そう、狂気を感じさせられる。


 狂信。

 そんな言葉が、脳裏を過ぎった。


「どこかで、見たことがあると思った。あなたはまさか、NPO法人“楽園エデン”の、ラエル氏?」

「おや、ご存知でしたか、影使いの少女よ。ええ、間違いありませんよ」


 “楽園エデン”は確か、ええっと、なんだっけ?

 そう夢ちゃんを横目で見ると、夢ちゃんは強ばった表情のまま、こくりと頷いてくれた。


「戦災孤児や家族を失った子供たちに教育支援や生活支援を行い、幾つもの養護施設を運営する集団。――その一方で、世界最大規模の超人至上主義者でもある」

「そんな……でも、え? 子供たちにも、魔導術師はいるんじゃないの?」

「ええ、でも、教育は分け隔て無いと聞くわ。そこのところ、どうなのかは、本人に聴くのが一番ね」


 未だ微笑みを讃えて、行動に移そうとはしないセブラエル。

 不気味で、それでいて、見ているだけで息苦しくなってくるのは何故なのだろうか?


「簡単なことですよ――幼い頃より教育を施した子供たちは、自らが異端者であることを受け入れてくれます。ですから、忠誠の証(・・・・)として、自ら魔導を捨て(・・・・・)超人になる(・・・・・)道を受け入れてくれたのです」

「ま、待って! 待ってください。そ、それって、失敗をしたら?」

「ふふ、詩歌の少女よ。なにも怖れることはありませんよ。その時は――神の元へ召される(・・・・・・・・)だけなのですから」


 吐き気。

 目眩がするほどに、悼ましい。


「子供タチを、ナンダと思ってイル!!」

「神の子です。あなたもかつては忠誠を誓ったのであれば、わかるでしょう?」

「子供タチを犠牲にスルような忠誠、ボクは断じて誓いハシないッ!!」


 天使の梯子が解ける。

 頭上には空。それは本物の空ではないのだろう。白に染まる空間に、銀の星が浮かんでいた。

 砕けた大理石の間から生える蓮の花。月桂樹が、ぐるぐると伸びて象られる。


「そうですか。残念です。神の下へ召されることを、まるで犠牲であるかのように捉えるとは。供物は少女一人の予定でしたが、いた仕方在りません。あなた方もまた、未来への礎として、ここで散り果てなさい」


 セブラエルが手を掲げる。

 そこに集まるのは光。ぐるぐると渦巻くそれを見て、叫んだのはリュシーちゃんだ。


「ッ全方位攻撃だ! 全員、防御姿勢!!」

「“我が意に従え(Order)”――【聖人の銀十字(SaintCross)】!!」


 声に従い、わたしたちの周囲を覆い尽くす銀十字の結界。

 それにわたしが盾を、六葉ちゃんが管狐を通して霊術結界を、フィーちゃんが稲妻の結界を咄嗟に張る。


「裁きはここに。――【裁定の刻限(ザ・ジャッジメント)】」


 光が、爆発する。

 幾重にも枝分かれした矢が、槍のように伸びて結界に殺到。

 腕に痺れるような衝撃。苦痛にもにた叫びが、結界から聞こえるようだった。


「ダメだ、砕けル!?」


 ひび割れ、砕き、同時に弾幕が停止。

 満身創痍ながら顔を上げたら、幾つもの光の剣が、空中に浮いていた。


「っ【“霊魔力同調展開陣(ハイユニゾンバレル)”・“心意刃如(プリズン・アーツ)”】」

「全員、鈴理を守護! 時間稼いで!」

「行くよ、ゼノ!」


 発射される剣軍。

 ゼノを身に纏った静音ちゃんが剣で落とし、後ろではフィーちゃんが鎚で落とし、その更に後ろで夢ちゃんとリュシーちゃんと六葉ちゃんが、射撃で落とす。


「【創造干渉(クリエイト・ロジック)】!」


 想像するのは、わたしの最強。

 創造するのは、わたしの希望。


 瑠璃色に満ちた、わたしの夢!


「【奇跡天星(ミラクル・アウター)】!!」


 土壇場にこんなこと思いつくなんて、わたしはきっとばかだ。

 けれど、同時に、絶対に成功するという確信があった。


 だって、わたしは、一度“変身している”んだから……!


「させません。それは、危険でしょうから」


 構築未了の段階で、セブラエルが翼を翻す。

 ゼノを纏った静音ちゃんを、手に持つ光の剣で吹き飛ばし、わたしの首に狙いを付けた剣。


「その未来は、視えていた!」

「ッその天眼は、そこまで見通しますか……ッ」


 その一撃に沿うように、リュシーちゃんが剣を這わせる。

 右手にワイヤーで繋がった剣。リュシーちゃんがここまで温存していた片手剣が、煌めいた。


「ですが、人間の速度で私に追いつけると、で、も?!」


 そのリュシーちゃんが行ったのは、剣で攻撃することではない。

 剣を投擲。ほんの一瞬、セブラエルの動きを縫い止める。


「――オォォォォッ!!」


 わたしの影。

 刹那ちゃんを伴って飛び出すのは、焔原君。

 結界を張って直ぐに潜んでいた彼は、光輝く拳撃で、セブラエルの右頬を捉えた。


「ぐぁッ」


 後ろにきりもみ回転し、空中で体勢を整える。

 ダメージには至っていないのだろう。僅かに傷ついた頬。

 けれど表情は歪ませて、睨み付ける天使に――わたしは、夜色のステッキを突きつけた。


「みんなを傷つける悪い子は、このわたしがやっつける!」

「は? な、に?」

「魔法少女、ミラクル☆ルピ――推・参!!」


 夜色を基調とした、黄金に象られた魔法少女衣装。

 師匠ほど格好良くはなれないけれど、ちゃんと髪もツインテールにくくった。うん、いや、けっこう格好良いかも?


「……よくやる。すごい。羞恥心捨ててる」

「だ、だめだよ、刹那。笠宮さん、よく似合っていて可愛いよ?」

「否定はしない。十年後なら犯罪者だけど、今ならセーフ」

「二十代であんな破廉恥な格好するひとはいないよ、刹那……」


 刹那ちゃんと六葉ちゃんが、なにやらこそこそと話をしていた。

 いや、気にしている暇はないか。


「それで? その手の力は想像力が物を言うものでしょう? 明確にイメージがなければ――」

「みらくるぅ」

「――なっ?!」


 セブラエルの瞬きの間に、ステッキを構えて踏み込み。


「あたっく☆」

「ぐがッ?!」


 顎下から振り上げ、打つ。

 同時にウィンク。飛び出した☆が追撃。うん、すっごく師匠っぽい!


「そんな、ちぃ、奇天烈なイメージを、そんな明確に?!」

「るぴるぴ、ステップ♪」


 踏み込み。

 反転、すれ違いながらステッキで足払い。

 反撃。振るわれた剣をステッキでいなす。これまでの敵とは格が違う。霊魔力同調をしてもなお、剣を弾いた手がびりびりと痺れて痛む。けれど、ここで負けては居られない、から!



「うるとら☆アタック!」

「二刀醒刃――【審判の天秤(グラフ・アーツ)】」



 剣が交わる。

 ――足下に刻まれるクレーター。

 剣が交わる。

 ――衝撃で散る草花。

 剣が交わる。

 ――頬が切れて。



 剣が、交わる。



「やぁぁぁぁぁぁああぁッ!!」

「ふっ、せいッ!!」


 少しずつ、押されているのはわたしだ。

 だからわたしは、自分一人で戦うのを早々に諦める。

 剣で押された、フリをして後退。


「所詮、人間の技など!」

「【彼岸(バーリ)――」


 みらくる☆ジャンプ。

 大きく跳躍したわたしの直ぐ後ろ。漆黒の剣を構えるのは、浴衣姿の静音ちゃん。その剣に宿った紫紺の光を、セブラエルは避けられない。


「――涅槃寂静(ニルヴァーナ)】!!」

「神の加護を――【守護の扉(ザ・ガーディアン)】」


 反応が早い!

 必殺のタイミングで放たれたそれを、けれど冷静に光の結界で防ぐセブラエル。

 でも、作戦立案は夢ちゃんだ。防がれることだって、想定済みなのだろう。


『【不帰冥道(フブル)――』

「ッ後ろだと?!」

『――黄泉比良坂(クル・ヌ・ギア)】』


 静音ちゃんから分離したゼノが、漆黒の光を剣に纏わせる。

 振りかぶりから一閃。光すら呑み込む剣撃は、セブラエルの盾すらもバターのように切り裂いて、彼の手に持つ光の剣に激突する。


「そうですか、試練の鎧よ。貴殿もまた異端に染め上げられたのであるのなら――私も、全力で相手をしましょう。“怒りの日(DiesIrae)”」


 突如、セブラエルの手に持つ剣が形を持つ。

 白銀の剣。複雑な紋章が象られた、上下に刃を持つ双剣。その輝きは、以前、フィリップさんが敵対者であったとき――わたしの頭蓋を砕こうとしたあの恐ろしい杖に、よく似ていた。


「おお、我が神よ、あなたは如何ほどに試練を与えたもうたか。“Amen”」

『ぬッ、防ぐか、熾天使よ!』


 ゼノの必殺の剣が、わたしが知る限り初めて破られる。

 だが代償も大きい。大きな翼、十枚の内の三枚は色がくすみ、輝きを失っていた。相打ち、というには、まだこちらが勝っている!



「【祈願セット】!」



 言葉にするのは、師匠と同じ詠唱。

 同じ事は出来ないし、同じ威力なんかとうてい出ない。

 それでもわたしの師匠への敬愛は、確実に、わたしの中で渦巻いている。


「無駄です。そのようなもので――」

「【起動術式スタートワード忍法ニンジャスペル絶氷舞踏シノビ・ファンタスティック展開イグニッション】鈴理、今のうちに!」

「――くっ、小癪なッ」


 腕甲“黒風”と忍者刀“嵐雲”を携えて、夢ちゃんが抑えてくれる。

 六葉ちゃんの管狐が、復帰した静音ちゃんとゼノが、焔原君と刹那ちゃんが、レイル先生が。


「スズリ、行け!」


 リュシーちゃんが、道を切り開いてくれるから――!!



「【魔法少女の咆吼(ミラクル・ロア)】」



 ステッキの中央から出現する、複雑な魔法陣。

 その魔法陣に霊魔力が吸われるように、少しずつ変身が解除されていく。

 それでも、この一撃だけ保てばいい、から、だから!


「離れなさい、異端者よ!」


 セブラエルの体から、天力が放たれる。

 ドーム状に伸びる天力はただの放出だけだというのに、夢ちゃんたちを軽々と弾き、レイル先生の十字架を砕き、それでもまだ、わたしの方が早い!




「【成就イグニッション】!!」




 収束。

 夜色の砲撃。

 全ての力をこの一撃に持って行かれて、変身が解除される。


「行っけぇぇぇぇッ!!」

「しまっ――」


 ついに、ステッキが粉々に砕け散る。

 わたし自身も大きく弾かれて尻餅をつくけれど、それだけでは、砲撃は止まらない。


「――う、ぐ、ぁぁぁぁッ!?!??」


 轟音。

 地を削り、空を穿つ。

 光の抜けた先。岩肌のような天井に刻まれる、クレーター。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、これが、はぁっ、わたしたちの、力です!」


 土煙の晴れた先、削られた天装体から光の粒子を零しながら、歯を食いしばるセブラエルの姿があった。彼の左腕は吹き飛び、顔も、左半分はひび割れて粒子が漏れている。

 レルブイルが額に穴を穿たれて天界に送還されたように、これでは致命傷だろう。


「は、はは、なるほど、侮っていたのは私ということですか」


 最後のセブラエルの一撃は、わたしたちのほとんどを削り取った。

 夢ちゃんは立っているのがやっとだし、静音ちゃんは剣を杖にしている。リュシーちゃんは頭痛を堪え、六葉ちゃんと刹那ちゃんもぼろぼろで、レイル先生は焔原君の肩を借りているくらいだ。

 それでも、踏ん張って、乗り越えられたのなら、わたしたちの勝ちだ。


「良いでしょう、認めます。この戦いは私の敗北です。神の代理人を名乗りながら敗北したこと、その懺悔は全て――これからの糧にいたしましょう」

「これ、から……?」


 天装体が砕け散ったら、記憶は消えるんじゃ……?

 いやでも、フィリップさんみたいになんとかできる手段があるのかも知れない。



「ええ、そうです。ですから――っ」



 ――刹那。

 セブラエルの姿が、炎に包まれる。轟々と燃える劫火。周囲を焼くほどの熱量。思わず顔を覆いながら、わたしは、炎の飛んできた方角に目を向けた。


「っ凛さん!」


 わたしたちが入ってきた、入口があったであろう位置から歩いてくるのは、忘れもしない菫色のポニーテール。

 傍らに佇むのは、間違いない、崖の下へ落ちたという副会長の姿だった。


「っ、会長! 副会長!」

「……しん


 満身創痍で、鎧もボロボロ。

 それでも、焔原君はなんとか足を引きずりながら、凛さんたちの元へたどり着く。


「ふぅ、はぁ、夢ちゃん、みんな、無事?」

「なんとか、ね。あー、黒風も修理しないと。なんなのよあの馬鹿力。侮られてなきゃ危なかったわね」


 みんなの顔にも、僅かに安らぎが戻る。

 だから、まず、本当に最初から最後まで負担をかけてしまったリュシーちゃんに、手を貸して。


「スズ、リ」

「リュシーちゃん?」


 引っ張られて、覆いかぶさられた。


「え、ええっ、リュシーちゃん?!」

「ごめん、スズリ――こんな形でしか、キミを守れな、い」

「……――……ぇ……?」


 リュシーちゃんの華奢な体から、あたたかい水が流れてくる。

 それは、リュシーちゃんの背中から伝ってきた、真っ赤な水。




「やはり、天眼の保持者は敵に回ると厄介ですね。何故それほどの力を神のために用いないのか、嘆かわしい」




 炎の中。

 キズを全て完治させ、白銀の装飾双剣を持って佇む、セブラエルの姿。

 その剣を染め上げる真っ赤な水は、リュシーちゃんと同じもので。


「まだ生きてやがったのか、クソ天使がッ!! 会長、副会長!」


 力の限りを振り絞り、焔原君がそう叫ぶ。

 そうだ、凛さんが居て、副会長が居る。そして、副会長の異能だったら、リュシーちゃんを助けられる……!


「……――副会長! お願いします、リュシーちゃ、リュシーちゃんを!」

「ああ、わかっている。だからだよ」

「ぐぁああああああぁッ?!」


 炸裂音。

 背中を爆破(・・)され、倒れ伏す焔原君。


「鈴理、止血だけでもするわ。――しかし、参ったわね、流石に予想外だわ、これ」



 夢ちゃんの声も、どこか遠く聞こえた。



 誰よりも優しく。

 ときには厳しく。

 それでいて頼もしく。

 本当の“姉”のように、見守って。



「な、んで……?」



 かぞくのように、おもっていたのに。




「ごめんね、鈴理さん――約束は、守れないわ」




 生徒会長、四階堂凛。

 あのとき、崖で別れた凛さんは、“敵対者”として、わたしを見下ろす。










 心のどこかで。

 大切な何かが、ひび割れる、音がした。





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