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そのじゅういち

――11――




 目元を拭って頭を下げた水守さんと別れて、今度はアリュシカさんのクラスを目指す。

 うん、私の心もなんとか持ち直したようだ。今度からは、“あんまりショッキングな出し物はよくないのでは?”と職員会議で言ってみよう。


「ええっと、異能科一年S組は、と」


 ――通常。

 異能者も魔導術師も、成績を考慮されて均等に配分される。だが防音教室が必要な“ボイス”系異能者と、特別な対応が必要になるケースが多いSランク稀少度の異能者は同じクラスに配置される。

 “ボイス”系異能者や、それ以外は均等に配分される生徒たちだが、Sランク稀少度の異能者は違う。完全にその年のSランク稀少度の異能者のみで固められるため、年によっては二人だけのクラス、なんてこともあったくらいだ。その場合は、準SランクといえないこともないAランク稀少度の異能者を配分することもあるようだけれどね。いなければ、二人だけだが。

 だが、今年は少し毛色が違う。貴重な“ボイス”系異能者が二人いるだけでなく、Sクラスの人数は七人と、過去最高の人数を誇る。その上で、これはまぁ一部の人間しか知らされていないが、“特異魔導士”まででているのだ。今年は“稀覯きこうの世代”とまで謂われている。

 確か、具体的なSクラスの異能は――




 アリュシカ・有栖川・エンフォミア――“啓読けいどくの天眼”。

 ルナミネージュ・イクセンリュート――“幻想書架(ザ・ファンタジスタ)”。

 黒土くろつち一馬――“あゝ我が麗しの黒歴史(ブラクノート・グラフ)”。

 ロンシェン――“武闘霊術”&“天衣無縫てんいむほう”。

 レナ・キサラギ――“魔倣まほうの天眼”。

 レン・キサラギ――“氷界の魔眼”。

 如月風子――“絶対切断”。




 ――で、あっているはず。誰も彼も粒ぞろい。

 とくに、“発現型アビリティタイプ”の育成に力を入れている関東特専において、発現型アビリティタイプの最高峰クラスの異能、とまで言わしめた“絶対切断”は、上層部の期待を一身に寄せられている、のだとか。

 私個人の関わりはさほどないが、アリュシカさんに聞く限り、みんな気のいい人たちだという。稀少度にかかわらず、楽しく学校生活を送ってくれているのであれば、教師として嬉しく思う。


「こんにちは」

「こんにちは……あれ、ええと、観司先生で、あっていますか?」

「ええ、イクセンリュートさん、よね? 受付、頑張っているね」

「いえ。この子たちの世話ついで、ですから」


 そう言うイクセンリュートさんの周囲には、ふわふわと妖精が舞っている。その様子はなんとも可愛らしい。イクセンリュートさん自身も金髪翠眼の物語で言う“エルフ”のような容姿だから、妖精とよく似合っていた。


「ちゃんと、お休みは貰っている?」

「はい。注目されることに慣れている妖精たちですが、やはり“供給”は必要ですから。午前中の前半は休ませて貰っているので、大丈夫ですよ?」


 それは、午前中の後半からずっと出ている、ということだろうか。お昼休憩は必ず取らせるように、と通告があったはずだけれど、このクラスの担任の先生は誰だったか。

 少しだけ眉を寄せたのが、どうも“妖精さん”に気がつかれてしまったらしい。妖精に耳打ちされたイクセンリュートさんが、小さく苦笑する。


「自分から申し出たことです。お弁当も持っているんですよ? ――やっぱり先生“も”Sクラスのことは気になりますか? 私のことも、覚えておられたようですし……」

「ふふ、生徒のことを気に掛けるのは、教師として当然のことです。ですから、気にしないでください。あと、“高等部”の生徒の顔と名前と特徴は、全員覚えてますよ」

「は? ……えっ?」


 正確には“覚え直した”が、正しいけれど!

 いやだって、うろ覚えだったせいで、“かなやま(仮)”くんになってしまったからね。これでも気にしているのです。

 高等部魔導科A~Iクラス、異能科S~Gクラス。とんでもない人数だけど、そこは私も魔導術師。どうにかならないこともないのです。高等部なのは、一番受け持つことが多いから。イベントへの参加も、理事長の意向で高等部の警護に回されることが多い。以前は中等部や大学部も行っていたが今はまぁ、鈴理さんが“特異魔導士”になってからはもっぱら高等部だ。


「なんだか、アリュシカ……有栖川さんが“ああ”も観司先生に傾倒する理由がわかった気がします。――先生が異能者であれば、私たちの担任をしてくれたのでしょうか、ね」


 最後、小さく呟かれた内容が聞き取れず、首を傾げる。聞き直そうとするも、笑顔ではぐらかされてしまった。ええと?

 しかし傾倒? ううん、光栄なことに、懐いてくれている、とは思うけれどね。


「さ、有栖川さんが待っています。どうぞ中へ」

「? ありがとうございます。あ、あと」

「はい?」


 私は魔導術師であって、異能者ではない。

 いや、恥じることない力であれば、異能者と名乗っても良かったのだけれど!

 けれど、力の在り方は大きく違えど、彼女たちは“生徒”で、私は“先生”だ。


「はい、私の端末のプライベートアドレスです。――困ったことがあったら、なんでも相談して下さいね。ふふ、もちろん、なにもなくても、使っていただいてかまいませんよ?」

「ぁ――は、い。ありがとうござい、ます」


 小さくそう零すイクセンリュートさんを背に、教室へと入っていく。

 さて――有栖川さんはどうしているかな、と。











 私が教室に入ると、まず、黒髪の男子生徒が笑顔で挨拶をしてくれた。


「アメリカンキッドへようこそ!」


 彼の傍らには黒い“猫”が居て、お客さんの子供にじゃれている様子だ。えーと、黒土くろつち一馬君、かな。

 それから、奥で女の子に遊び方を説明して赤面させているのがレン・キサラギ君で、その後で道具の整備をしている黒のロングポニーテールの女の子が如月風子さん、と。

 ……ええっと、それで、アリュシカさんは、と。


「ミチ! 来てくれたんだね、ありがとう!」

「アリュシカさん……こんにちは。遅くなってしまってごめんなさいね」

「いいや、大丈夫だよ。さ、ミチ! 説明するからこっちに来て!」


 休憩スペースと思われる仕切りから出てきて直ぐ私に気がついてくれたアリュシカさんが、満面の笑みを浮かべて小走りで駆け寄り、私の手を引いて歩く。

 普段のどちらかというと“格好良い”ような姿では無く、少女然とした可愛らしい姿に、彼女のクラスメートたちは目を瞠って驚いている様子だった。うん、この機にアリュシカさんの魅力が色んなひとに伝わってくれるのなら、それはそれで良いことだ。

 思わず嬉しくなって微笑むと、アリュシカさんは嬉しそうにはにかんだ。


「ほらミチ、見て。この銃で的を狙うんだ。真ん中が十点、五発撃ち抜けばJackPot! 見事一等賞だ。今のところは、スズリの四十五点が最高得点さ」

「あら、鈴理さんが最高得点なんですね。ふふ、では私も頑張ってみましょう」

「ふふっ、ああ! そうだ、銃と弓を選んでくれ。どちらにする?」

「おすすめは?」

「銃だね! これでほら、ミチも私とお揃いだ!」

「ふふ、そうね」


 楽しそうに説明をするアリュシカさんに、頷きながら指導を受ける。

 周囲のクラスメートたちの視線がすごく集まっている――思わず、といった様子で受付のイクセンリュートさんまで――が、アリュシカさんは気にした様子もない。

 ちょっとだけ、友達との距離感がわからないこともあるアリュシカさんだ。きっと、教室ではクールに振る舞っているのだろう。


「それにしても、性質のコントロールとは面白いね」

「ああ、カズマの異能なのさ。さ、ミチの弾丸が楽しみだ」

「期待できなかったら、ごめんなさい。狙って、こう――ね?」


 的を狙い。

 引き金を引く。

 放たれた弾丸は――大きな☆だった。


「へ?」

「おおっ」


 ☆は的の中心に“向かって”飛翔し、おもしろがる妖精の軌道も完全に追尾して中心にヒット。“狙う”という願いを、“引き金を引く”という行いで成就した?

 幸い、魔法少女が時にはエフェクトの☆も武器にする、なんていうことは一般に広がっていないから良かった物を……。冷や汗を掻きながらも、こんなに楽しそうなアリュシカさんを前に逃げ出すことなんてできない。うぅ。


「すごいね、ミチ! 流石だ!」

「も、もう一発、撃ってみるね?」


 そう、引き金を引く。

 すると今度は♡マークが飛来して、的の中心を射貫く。周囲から鳴るぱちぱちという拍手に胸が軋んだ。なんかもう、ごめんなさい。


「すごいや、満点も夢じゃないね」

「ふ、ふふ、そ、そうね」


 三発目は♪マーク。

 四発目は◇マーク。

 五発目に☆に戻って。


 案の定というかなんというか、全て中心を射貫いてしまった。


「やった! 五十点だよ、ミチ! さ、ルナミネージュに景品を受け取りに行こう?」

「私なんかが貰ってしまうより、他の子に回してあげた方がいいのではないかしら?」

「あはは、大丈夫だよ、数に限りは無いんだ。ただ、四十五点以上を獲得するのが難しいだけで、さ」


 イクセンリュートさんに受け取りに行く、ということは“幻想書架(ザ・ファンタジスタ)”の一部ということだろうか。

 受付から出てきてしまっていたイクセンリュートさんのところまで行くと、彼女は笑顔で迎えてくれた。


「一つは用意していたのですが、まさか二回も出るとは思っていませんでしたので、少しだけお待ち下さいね」


 イクセンリュートさんはそう言うと、胸元に手を当てて目を閉じる。

 すると、ぼんやりと淡い翡翠色の光がきらめき、身体の中から出てくるように一冊の大きな本が現れる。

 自身の魂に一つの世界への扉を置く。その本に記された全ての幻想は、彼女の友であるという。


「司書たる我が名と我が霊力に応えて開け、幻想の門。現れ出でよ“抗魔晶石フェイト・レジスタンス”」


 開かれた本から出てきたのは、明滅する光を封じ込めた水晶だった。

 その神秘的な輝きを持つ水晶を手に、イクセンリュートさんは小さく微笑む。


「ごめんなさい、本当は首飾りに加工してお渡しする予定だったのですが……後日加工してお渡しすることもできますが、いかがでしょうか?」

「そんな、悪いですから……そうだ。ちょっと貸していただけますか?」

「? はい」


 そんな手間を取らせるのは悪いからね。

 学区内であれば、教員は自由に魔導や異能を行使できる。記録は残るけれど、有事以外は提出も任意だ。で、あるならば、せっかくのお祭りだ。あんまりやらないことをやっても、バチはあたらないことだろう。

 術式は……速攻術式で良いか。異能科の生徒であるなら、速攻術式がどれだけの価値が、進んで調べようとも思わないだろう。知れたら知れたで、その時は、いつか鈴理さんの“特異魔導士”の肩書きが彼女をここから引き離そうとした時への、布石にもなるしね。


「【速攻術式セット物質精製ビルドマテリアル魔銀創造ミスリルアクト展開イグニッション】」


 虚空から出現するのは、白に近い銀。

 魔力を通しやすい“異界”の物質たるミスリル銀を生成し、その形を腕輪に変える。すると上手いこと抗魔晶石を呑み込んで、水晶が中央にはめ込まれた綺麗な腕輪が完成した。


「どうかな?」

「すごい、綺麗だよ、ミチ!」

「ふふ、ありがとう」


 イクセンリュートさんはその様子をぽかん、と見つめていたが、とくになにも言っては来ない。まぁ、異能科の生徒にとってすれば、珍しい光景だろう。

 なんだかその様子に、微笑ましくなる。


「――と、そろそろ他のお客さんの邪魔になってしまうでしょうから、ここで失礼しますね」

「もう行ってしまうのか……ああ、いや、またあとで! 詳細はわからないけれど、ミチもバレンタインイベントは参加するんだよね?」

「ええ、教員は全員参加ですからね」


 うん、人数あわせなのかなんなのか、はい。

 チョコレート菓子は持ってきていますよ?


「では、また、後夜祭で」

「うん、楽しみにしてるよ、ミチ。また!」


 アリュシカさんとイクセンリュートさんに、手を振って別れる。

 後夜祭まではまだ時間はあるし、かなやま(仮)君の教室でも見て、ついでに本名で呼ばせて貰えないか確認してみようかな。だめかな……。

















――/――






 『異能科S組は、“選ばれし者”たちの集団である。

 ならば魔導科のような“絞りカス”も、低ランクの異能者たちのような“劣等者”も、顧みてはならない。何故ならば、我らは“優れた者”なのだから』






 そう、私たちに告げたのは、以前の担任の先生だった。

 柿原先生。女性で、異能者で、Aランク稀少度の異能を持つ女性教師。基本的にクラスの内訳は変わらない私たちは、他と変わらぬ方針にいつもと同じように嫌悪を抱いた。

 だが、巡り会う全ての先生に似たようなことを言われてきたが、こうも堂々とその心中をさらけ出し、蔑むことを恥と知らない人間は、彼女が初めてだったのだが。

 異能とは、私にとって異能とは、“友”だ。“幻想書架(ザ・ファンタジスタ)”は、妖精を初めとして、私にたくさんの友人を与えてくれた存在だ。他人を見下すための道具ではない。だからこそSランクの生徒は団結力が強くなり、自然と教師や他の生徒から孤立していった。

 それが原因で高等部から編入してきたアリュシカを孤立させてしまったことは、和解した今でも恥ずかしく思う。


 けれど、どうしても、“教師”だけは信用できない。


 柿原先生がいなくなり、後任の先生もまた、“良い先生”ではなかった。Bランク稀少度の異能を持つ先生は、Sランクの私たちをまるで道具か兵器でも見るような目で見ている。

 そうだ、と気がつかれていないと思っているのは、おそらく先生本人だけであろう。でも、私たちにとってその“視線”は、慣れたものだった。むしろ選民思考よりもしつこくなくて、マシともいえるくらいだ。


 だから、どうしても理解できなかった。

 仲の良い教師がいる。そう告げた新しい友達――アリュシカの言葉が。

 最初は、魔導科の先生だから異能者の実情を知らないのだろうと思った。その力を見れば、恐ろしさに震えるものがほとんどだと、そう知っていたから。

 名前を聞いて、柿原先生が良く罵倒するようにぼやいていた“縁故採用”の教師だと知った。英雄に色目を使っている、などと未成年である我々によく言えたものだと軽蔑したことがあったので、よく覚えていた。


 だが、どうやらそれも違うらしい。


『異界で強力な魔物に襲われたとき、助けて貰ったのが切っ掛けだったんだ』


 そう誇らしげに告げるアリュシカに首を傾げたのは、つい最近のことだ。

 稀少度は強さに限らない。それはAランクまでの話だ。Sランク稀少度の異能者は誰も、条件さえ整えば誰よりも強い力を振るうことができる。

 アリュシカもそうだ。どんな相手であっても、“全て見透かす”彼女の目と、彼女の父親が作ったという異能武器が揃えば他を圧倒することだろう。そんな彼女の危機的な状況に駆けつけたのが、その先生だったのだという。


 興味を持った。

 知りたい、という欲求を、覚えた。

 そして、その機会は想像以上に早く来ることになる。


「でも、なんというか」

「どうした? ルナミネージュ」

「いいえ、なんでもないわ」


 手元の端末につい登録してしまったアドレス。

 最初は、良い意味で想像以上。人を見てきたから、善人か悪人の区別くらいはつく。観司先生という教師は、間違いなく善人だ。力の伴う魔導術師であるのだろう。なるほど、あの大人の余裕すら感じさせることがあるアリュシカが、一馬やレンを悶えさせるほど可愛らしく振る舞う気持ちも、わかる気がした。

 だが、その次の印象はなんというか、“変”だ。いや、間違いなく良い人だ。願わくば、彼女のような人間に担任の先生になって欲しかった。そう思ったのは事実だし、今もそう願う気持ちがあるのは否定しない。


 でも。


「アリュシカは、魔導術師の友人が居るのだったかしら」

「ああ、そうだよ。ほら、昨日の猫の衣装とニンジャの」

「ああ、あの子たちがそうなのね。そう、それでその、あの子たちは観司先生の魔導術のことは、知っているの?」

「勿論。よく職員室で質問している姿が見られるよ」

「そう、そうでしょうね」

「?」


 異能者は、魔導術師のことを知らない。

 なるほど真理であるだろう。自分とまったく異なる技術だ。詳しくないのも無理はない。だがそれは、状況にもよる。

 それこそが、私が差別主義の人間を軽蔑してきた最大の理由であると、そう言ってしまっても過言では無いこと。つまり、そう、魔導術師の“身内”がいる、というケース。


 私には、妹がいる。

 中等部三年生、アリスウェル・イクセンリュート。

 仲の良い姉妹であり、互いに居住区住まいであり、寮も同室の妹の話はよく聞くし、興味を持って高学年に習うことまで勉強してしまった。そのおかげでずいぶんと魔導術師についても詳しくなった自負がある。魔導術師でもないのに、魔導術の勉強を見てあげられる程度には。

 だから、そう、“たとえば”今の観司先生の魔導術を行使するのに必要な術式は“三段階”あって。



術式開始オープン形態フォーム召喚サーモニング様式アーム異界呼応アナザーワールドゲート付加パーツ魔銀情報掌握ミスリルソースアクト展開イグニッション



 これでまず、異界からミスリル銀の情報を抜き出し、固定。



術式開始オープン形態フォーム物質精製ビルドマテリアル様式アーム物質指定マテリアルロック銀基盤シルバーベース追加プラス魔銀情報陣ミスリルソースバレル展開イグニッション



 次にこうして、異界から掌握した情報を元に、ミスリル銀を精製。



術式開始オープン形態フォーム形状変化トランスマテリアル様式アーム腕輪ハングル付加パーツ抗魔晶石フェイト・レジスタンス挿入イン展開イグニッション



 こうしてやっと、ミスリル銀によって抗魔晶石を中心に置いた腕輪が完成する。

 当然、要求される魔力はとんでもないことになるだろう。妹のアリスがやったら、まず間違いなく二段階目で倒れる。

 異界へ繋いで情報を抜き取るだけでも、それはそれは労力がかかるからだ。あと“幻想書架(ザ・ファンタジスタ)”の効果で見えざるものを見ることが出来、魔導陣から術式の読み取りができるのだが、複雑すぎて術式が読み取れなかった。セットってなに?


「はぁ……」


 痛み出したこめかみを揉む。

 観司先生は良い人だ。だが同時に、飛び抜けて“変”なひとだ。

 なんとなく、なんとなくアリュシカが心配になるのと同時に、とんでもないことに気がつく。




『困ったことがあったらなんでも、相談して下さいね』




 私はひょっとしたら、とんでもない鬼札を手に入れてしまったのではないのだろうか、と。





2016/12/09

誤字修正しました。

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