#2 補習
……キーンコーンカンコーン…
「ばいばーい!」
「ばいばい!ねぇカラオケいこー!」
「いーよォ!てかクレープ食いてー!」
「うち金欠なんだよねー!」
「やっべ!彼女からだ…」
「おまえが浮気するからだろ!」
廊下は帰りの生徒の声で賑わっている。
そして教室はと言うと…
「……グスン。早苗ちゃんと食い倒れツアーがぁ。なんで先生と疲れ倒れツアーカッコ勉強へんカッコ閉じるになるのぉ!」
「おまえが寝るからいけないんだろ?早苗ちゃんと食い倒れツアーは明日にしろ。な?ほら!やっぞ!」
「………!もー。もー!!もーもーもーもーもー!!!!!!」
「はいはい牛さーん!43ページを開いてくださーい!」
「…!!いいもーん!できないもーん!」
ああいえばこうゆう。
ずっとその繰り返しだ。
戦い続けて10分…
「先生…ここは?」
奈緒は机に向かって数式を解いている。
どうやら戦いに負けたらしい。
「ん?ここは…」
加藤は誇らしげに奈緒に教える。
「わかったぁ!先生わかったよっ!!」
「…………。そうだな…あってるぞ…出来るじゃないか桜倉!」
「ご褒美ちょーだい!」
「は…………」
加藤は予想が着かなかった。普通こっちが御礼に貰うと思ってたから…
「え…や……そうだな…」
「やったぁ!じゃあさ、んーと…。…。……!」
奈緒が思い付いた顔をした。
「名前!」
「え…どーゆー……。」
またまた加藤は意味のわからなさに言葉がつまる。
「先生の下の名前!」
「あ…そんなんでいいの?」
「うん!教えて!!」
可愛い顔をして加藤に椅子を近づける。
「諒…」
「りょう……?」
「うん…?」
すこし笑いながら小さく頷く。そしてだれよりも大きな声で言う。
「へぇ〜!!!しーちゃーたっ!フフ」
「なんで知りたいの…?」
恐る恐る聞いてみる加藤。
「わーかんないっ!」
急に立ち上がって窓を開ける奈緒。
「わー!きれー!!」
奈緒の大きな黒い瞳には綺麗な、燃えるような、
綺麗な夕日を映し出している。
そんな加藤は今までにない奈緒の真っすぐな性格にきずく。下を向いてわらい奈緒の居る窓に近づいて来た。
「ホント…きれいだなー。」
この“きれいだな”はどんな意味だったのかは本人も奈緒も今はきずかなかった。
二人の顔は赤やピンクに綺麗に染まっていた。
いつまでも…
ずっと………