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幼女殿下と狼閣下  作者:
一の章 不落の王国
3/4

序、終の杜で

あつい。

 周囲の木を舐めるように燃やす炎は何時かの再現のようで、でもどこかが違っていて、それが随分と可笑しく思えた。


「どうして――どうして、どう言うこと!? ねぇ! なんで!」


 動揺を色濃く写している声が嘆いている。

 これも随分と見覚えがある。やはり似ている。でも違う。あの時は、今とは違う。


 手を見る。

 ぬらぬらと炎に照らされ、赤い血がどす黒く乾いていく。一緒だ。あの時と。

 熱風に煽られ、髪が視界を遮った。

 黒い。血臭がする。一緒……いや、違う。あの時とは決定的に違っている。


 似ていて、違う。

 あの時の加害者は奴等(・・・)で、被害者は我等(・・・)

 今は、違う。

 逆転した関係はなんとも言えない感情を運んでくる。


 滑稽だった。とても滑稽で、悲しかった。


「どうして殺したの! 私達が何をしたの! どうして、どうして!」


 嘆きが聞こえる。

 血を吐くような叫び声は、ああ、似てる、けど違う。


「答えて! どうして、どうして殺したの! 答えてよおぉぉおおおおぉお!」


 あつい。

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