第3話 懐疑
入院時に医者は私に告げた。
もう歩くことはできない。
そして、もう、左手は、動かすことはできないのだと。
それを伝えたときからだった。
昴は一切返事をしなくなった。
ブロックをしたのだろうか……
一切お見舞いにもきてくれずに、行方さえわからない。
しょせん私たちはお互いの利益のため。
私が使い物にならなくなったら捨ててしまう。
私はそう思ってしまった。
廊下では母の声
悲しんでいるような。
怒っているようなそんな声であった。
「どうして……こんなことになってしまったの……これじゃあ、わ……」
私は、一部だけ母の声が聞こえた。
しかし、病院内の騒がしい声でほとんどが聞こえなかったのだ。
私はすぐに看護時の人と仲良くなった。
かなり年は近い人だったためにはやりが同じだったために話がはずみ病院生活は、ここ最近で一番楽しいと思えた。
そんなあるときだった。
私を担当している看護師の人からある疑問を抱かれた。
看護師はいつもは愉快そうに私に話題を振ってくれる。
でも今日はなぜだか真剣そうだった。
重たい雰囲気をまとっていた。
「疑問に思ったんだけど なんで、そんなに落ち着いていられるの。なんで…、そんなに平然としていられるの。すみません。悪いことを聞きました。だけど、あなたの年で腕と足を失って、普通だったら泣きじゃくるでしょ。『なんで私がこんな目に何も悪いことなんてしていないのに』とか。私だってそういう。だってまだまだこれからだってのに、足と手を使えないなんて人生かなりの重荷になってしまう。なんでそれでも泣かずにいられるの、ひょっとして泣くことのできないの……それほどまでにあなたは追い詰められているの……」
看護師は重い表情を浮かべながら私をみていた。
この重たい雰囲気嫌だな……
私は、笑顔でそして笑いながらそれに答えた。
「うんん、私にとってこのけがはむしろ良かったかな。」
看護師の人は訳が分からないような顔をしていた。
それはそうだ。
私だってこのタイミング以外で、こんなけがをしていたら、私だって泣きじゃくってしまう。
「私ね。結婚を誓った人がいたの、そして、私がトラックにぶつかる次の日私はその人と結婚をする予定だったの」
看護師は、ただ茫然としていた。
「そうそれは残念だったね……」
とても空気が重かった。そうだ、結婚前夜にけがなんて、しかも、後遺症が残るほどの、誰だって重くなる。
私が異常なだけで。
「悲しそうに聞かないで、私むしろうれしかったんだよ。私、別にその人のこと好きじゃなかったし後遺症が残ると知るやブロックした人なんだよ。むしろ結婚なんてしなくてよかったと思っているよ」
私は笑いながらこの言葉をぶつけた。
その瞬間看護師の人は怒りをあらわにした
「なんてひどい彼氏さんなの。困ったときこそ助け合う。そんな気持ちもない中で結婚しようとしてたの。今まで数多くの男を見てきたけどこんなひどい男は見たことない。私の夫だって、めんどくさがりだけどいざとなったら損得なしで助けてくれるわ。」
私は吹きそうだった。
「ほんとよね(笑)そんな気持ちの無いのに一生愛するなんて、ふざけるにもほどがある(笑)。
あー面白かった。だからね、大丈夫私は、そんなこと気にしてないよ。そんなことよりも私昨日好きなドラマがあったんだけど…」
それから、私たちはドラマの話に移った。
そんなときだった。
「おい、小野寺。仕事さぼるな」
看護師さんのことだ。
「ごめん、仕事あるからじゃあね。楽しかった」
そう言って去っていた。
「あーあまた一人か暇だな~」
そう言って私はスマホを開いた。
面白い動画がいっぱいあったが気づけば飽きてしまっていた。
「もう寝よう」
そうして私は眠りに落ちた。
どれくらい寝たのだろうか、私は目が覚めたとき気づけば真っ白な世界に私はいた。
「どうしたんだろう……私なんでこんな世界にいるの」
私は慌てふためいていた。
するとその時白い神々しい人が現れた。
「こんにちは鈴さん。私は、宅民晴友信士である」
そんな名前存在しない
少なくとも日本では。
「これは、夢なんですか」
私はそう質問した。
「まあ、そうだな、夢といったら夢ではあるか……まあ夢ということにしておこう」
その神? のような人はなんかあいまいなことを言った。
「それでどんな用事なんですか」
こんな人が私を呼び出すくらいだよっぽどのことがあるに違いない。
「そうだな。お前、神って信じるか」
その人がこんな話をしてきた。
「それを言うやつにろくなやつはいない」
まあそうだろう。
この言葉は宗教勧誘の常套句だ。
まあ、こんな神々しい人に言われたらしんじそうなきもするが。
「まあ、そうだろうな。私もお前の立場だったらそう言っている」
というかこの神の人なんか聞いたことあるような~
私はぼーっとしてしまっていた。
「おい聞いているのか! 大事な話だ聞け。全くお前はいつも人の話を聞かないで……」
その時私は思い出した。
「あ、お前さっきの私に外とに行けって言った人だ」
そうだ。あの声は、私を外に行かせようと誘導してきた人だ。
「まあ……そうだ、結果としてはよかっただろ、それよりも……」
その時私は怒りをあらわにしていた。
「確かに結婚は白紙になったけど、足と手片方づづ使えなくなったんだよ! それで結果としてよかった。ふざけないでよ! これじゃあ、いつでも介護が必要になるし、それにご飯もまともに食べれなくなるんだよ」
そんなふざけた態度なんて、あなたは私を不幸にしたいだけなんじゃないの。
「いや、それはすまない。謝る。ただ、こうするしか方法はなかったのだ」
その人は申し訳なさそうに言った。
「こうするしか方法はないってどういう」
私はとっさに問い返した。
「お前は気づかなかったのか。……もう詰んでいたんだ」
その声は、さっきよりも低かった。
「昴、あいつとだけは結婚してはならなかった。私はいくつも道を探した。何千とだ。覚えているか。二十歳のとき、お前に大学を辞めろと言ったことを」
私は少し眉をひそめる。
「覚えてるよ。でも退学なんて重すぎるでしょ。だから断った」
「……あれが唯一だった」
男は目を伏せた。
「大学を変えることに意味はない。入った瞬間、必ずあいつへ収束する。サークルでも、研究でも、偶然でも。形を変えるだけで、必ず結びつく」
ぞわり、とした。
「そんなに運命って強いの? 別に好きってわけじゃないよ。もっといい人がいたら乗り換えるくらいには」
私は軽く言ったつもりだった。
だが、男は首を横に振る。
「……お前は昴と結婚しない未来でも、独身だ」
「え?」
「お前は誰も選ばない。選べない。ボトルネックがいる」
その言葉だけが、やけに重く落ちた。
「じゃあ、そのボトルネックを消せばいいじゃない。あなた、何千も見たんでしょ?」
男は、しばらく黙った。
そして、かすれた声で言う。
「試した。何度もだ。だが、昴は必ず私の前に立つ」
視線が、わずかに震える。
「まるで――私の干渉を知っているかのように」
その表情は暗く、絶望していた。
「どういうことなの、あなたを干渉している人がいるってこと?」
「普通は、ない。私に干渉などできるわけないのだ。この世界とあの世界は助言はできるが、思考までは除けないはずだ」
その人は、小難しそうな顔をしていた。
「で、昴との結婚を阻止するためにはどうすればいいの、私、足と手がなくなったのは、納得いっていないんだけど」
私は、好奇心のあまり聞いた。
何も疑いもせずに……
「そうだな、いや、どうしようもない気がするが教えよう。お前にとって最大のボトルネック。それは、大石祈祷だ。彼が大量虐殺をしなければ、この運命は起こらなかった」
その瞬間私はその名前を思い出した。
大石祈祷
大石祈祷は、××大学心理学教授だ。彼は、研究により多くの地位と名誉を獲得した人であった。しかし、彼はその後大量虐殺を繰り返し死刑が決まった。
「彼の大量虐殺で、お前は……もう、昴と結婚するしか道はなくなっていたのだ」
どういうこと、なぜ大石教授が……
「まて、もう時間だ。最後に一つだけ、俺が再び話せる半年間誰とも結婚をするな。まあ、結婚はできないとは思うが(笑)」
そういうと、神? らしき人は去っていった。




