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23.ユキムラとボアネルゲスの約束

読んで頂きありがとうございます。

この章から読まれた方は、是非【ユキア・サガ 航海① ネフシュタンの魔片 第一巻 第1章】から読んで頂けますと、幸甚です。

続きを読まれる方は★★★からとなります。


 太陽が新しい朝を迎えに行く為に、ゆっくりと沈んで行く。

 銀の匙のキラが滞留している客室のソッジョルノには、大きな3つの高窓から、その緋金の斜光が射しこんでいる。

 テンダ(カーテン)を揺らし、つつじの馨が柔らかな風に乗って踊っている。

 夕日に照らされたその一室は、朧で幻想的な風韻に満ちていた。

 円形闘技場で繰り広げられた、瞬きをすることも赦さない数々の激闘とは、全くかけ離れた刻が戦いでいた。

 ソッジョルノ(リビング)のほぼ中央にはクリスタッルム(クリスタル)卓子(テーブル)を挟んで2人掛けと、3人掛けのディヴァーノが向き合っている。

 3人掛けには奥側にリオ、間一人分開けてトバル。

 2人掛けには、奥側に私が腰かけていた。

 卓子上では、私が給仕したランブラ直伝のトゥルケットや、チョッコラート(チョコレート)ルムウベッタ(ラムレーズン)のビスコット等が、馥郁とした馨を漂わせている。

 夕映えに照らされた私は、「どうぞ」と勧めた。

 二人は私にそれぞれ礼を伝える。

 私を含め3人とも、ユキアの闘いの熱い興奮が冷めていないようだ。

 トゥルケットを口に運びながら、一戦一戦を思い出しているのだろう。

 ぼんやり遠くを見つめていた。

 暫くすると、私は忘れてはならないと面に書いた後に「一息入れてから」頭の中を整理して「大賢者ボアネルゲス様と話し合いをすることにしましょう」

「賛成でごわす」トバルは機嫌良さそうに同意する。「この珈琲は美味いでごわすな」

 トバルはチョッコラートとルムウベッタ・ビスコットを口の中に一つ一つ放り込む。

 目を閉じて味わい頬が緩んだ。

 その相好を観たリオもそれらを食べる。

「うん。これはどちらも美味しい!」リオは口許を綻ばせ「馨、味、食感、全てが美しく調和している」

 リオは菜食主義者で菓子やトルタ(ケーキ)が大好きだと知っていた私は、頬が少しぽっとするのを感じながら、

「珈琲は聖エレミエル号でお友達になった給仕長の女性の直伝で、ビスコットは私の手作りなの。

 昨日ユキア達の部屋の台所で、作ったばかりのビスコット。

 ユキア達も美味しいて言ってくれたけど、本人を目の前にして不味いとは言えないでしょ?

 だから、二人い美味しいって言ってもらえてうれしい」

 皓い歯を零す。

 私もルムウベッタのビスコットに手を伸ばした。

 折しも、その手の甲に、金の七芒星が二重の真円に囲まれて、

ーーリィィィィィィィーン

 という鈴の値が微かになる音に似たそれと共に浮かびあがる。

 内と外の真円の間には、神聖文字が並んでいた。

 ★★★それを読み取った私は「大賢者ボアネルゲス様だ!」驚きを隠さない。

 自分の左上方向に掌を広げ、空気の壁を押す仕草をする。

 丁度、私、リオ、トバル3人の眼が届く空中に薄くて透明で、クリスタッルムの様な材質の大画面がモザーイコ(モザイク)模様を描き出現した。

 画面の中心に大賢者ボアネルゲス。

 背景にはヴェートロコロラート(スタンドグラス)から射しこむ色彩豊かで、煌びやかな光芒に照らされた、Ω本部小聖堂の祭壇が見えている。

 然し、ボアネルゲス様はいつもの絹の長衣を着ているものの、頭巾(フード)はかぶっていない。

 一見して30代半ばといったところだろうか?

 その眼眸は少し目尻が下がり、穏やかで優しい光輝に満ちている。

 髪の毛も黒くて豊かだ。

 幼い頃の面影が確り残っている童顔。

 でも、それでいて凛冽さを感じさせるところは、さすがΩの創始者で(マスター)だと、私は心服している。

 だけど、大賢者ボアネルゲス様から私に直接が連絡を取ってきたのは珍しい。

 この4.000年間で今日を含め3回しかない。

 一体何事だろう……?

 私は身も心も引き締まる思いだった。

「やはり、リオとトバルと一緒だったね?」ボアネルゲス様は予測通りの結果に満足顔だ。「察するにこれから何か打ち合わせをしようとしていたのかな?

 もしそうなら邪魔をして申し訳ない」大賢者は低頭して話を先に進める。

「だが、急ぎキラに訊きたい事、調査依頼したいことができた。

 少し私が話をする時間を取って貰ってもいいかな?」

「勿論です」キラは即答。「ただ一つお願いがあります。此の後お時間を頂けないでしょうか?」

「うん。構わないよ」ボアネルゲス様は受諾した。

 笑顔の私、リオ、トバル。

「君達はモノマキアのモノマキアの第2回予選大会を観戦していただろう?

 私も闘技場北側の貴賓席で、フランシスコ7世法皇と神聖ロムルス皇国ジュスティー皇帝と、一緒に観戦していたんだよ。

 ラティウム都国法皇特別顧問という肩書で。

 仲良く3人である格闘士を応援してたのも分かった。

 そう。

 緋髪、緋隻眼のノグシゲ。サナダのことをね」

 私達は互いの面を見かわす。

「皇帝が言っていたのだが、あの緋隻眼の少年が、海賊クレブリナ海賊団からモンテ・ブカ親子を救い出したという噂があるそうだ。

 私は先月りから、キラが少年海賊に救われたこと、

 その見返りをを求められてないこと。

 キラの渡航情報が洩れていること。

 等の報告を受けている。

 キラ、彼が君を救ってくれた海賊なのかな?」ボアネルゲス様はまずそれを質す。

「ご賢察の通りです」キラの聲が弾む。

★★★「そうか。では君に依頼したいことがある。

 ノブシゲ・サナダに関するあらゆる情報が欲しい。

 彼は我々にとって、強力な援軍となる可能性がある」

 私は、元々そうしたいという話を考えていたから大賢者の依頼に驚喜した。

 でも、どうしてボアネルゲス様は、ユキアが強力な援軍になるとお考えなのか?

 私はその疑問を隠さず、リオとトバル見たが、2人も疑問符が頭の上で揺れている。

 どうあれ、あたしにとってこの話は渡りに船。

「彼の本当なは、ユキア・ヴェルスといいます。

 元々の姓はサナダだそうです。

 極東の島国ヤマトから離れ、アトラス海上の島に建国した際、ティターン海沿岸諸国同様、神聖ロムルス皇国と母国語が併用されることになり、改姓したとのことでした。

 約5.000年前の話です」

 ボアネルゲス様は身を乗り出して訊く。「やく5.000年前? どうやら君は既にある程度彼の情報を掴んでいる様だな。

 全て押しrて欲しい」

「わかりました」と返事してから、キラは私はユキア達の話を嬉々として夢中で話す。

 国祖ユキムラ・ヴェルスが建国したパークスという国の歴史。

 彼等が絶滅していた筈の忍術を操る武人、忍者だという事実。

 クレブリナ海賊団に襲撃された時、私自身が見聞きした全て。

 何故ユキアが、神聖ロムルス皇国にやって来てモノマキアで闘っているのか、その故由。

 自分と同様ユキア達に救われたモンテ・ブカ親子達が、極秘で彼等の家族船を建造していること。

「その船は、アララトの聖樹と船大工達が読んでいる建材で、建造されています。

 それが聖遺物なのは、ほぼ間違いありません。

 水気を完璧に弾き、神秘的な弾力性を備えつつ、確りとした強度もあります。

 先日ナーヌス族達の実験結果を聞いて、実物をユキアから譲ってもらい、トバルが調査してくれているところです。

 アララトの聖樹は、おそらくノアの箱舟本体の建材と、奇蹟的にそこから芽を出して成長した樹木だと推測しています」

 ボアネルゲス様の面輪には私の話を耳にしながらも、どこか他の何かを考察している概がある。

「大切なことを言い忘れていました」私は少し慌てて「ユキアは、海賊という海の義賊でありたいと宣言しています」

 突然、ボアネルゲス様は涙ぐんだ。  


 ★★★23章まだまだ続きます。更新をお待ちください。

読んで頂きありがとうございます。

駄作ですが、批評も含め、ご感想を頂けると喜びます!

評価✩✩✩✩✩やブクマをして頂けると更に喜びます!

長い物語ですが、様々な要素で楽しんで頂けるよう努力してます。

これからの物語も是非読んで頂けますように・・・。 m(_ _)m

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