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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺が作ったオリキャラが小さくなって現実に居座っている。

作者: 小梟

書きたいところだけ書きました、

文字書き初心者故、文章が拙いです。

BL(ボーイズラブ)要素はめっちゃくちゃ薄いです。

俺は至って普通の会社員、雪本 奏(ゆきもと かなで)

独身貴族の20代男。

特技はキーボードの早打ちと、絵を描くこと。

最近まで、これと言って没頭できるほどの趣味はなかった俺だが…

数日前から推し活、というより……。

「……おい、なにみてるんだ、無言(むごん)でおれをみつめるんじゃない!!」

この、俺のスマホの上に我が物顔でそこにいる……

白くて長い髪に、黒いティアラっぽいのつけて、黒い高級そうな服着た小さな生き物。

……すなわち、俺が作ったキャラクター、いわゆる「オリキャラ」を愛でることが、今の趣味だ。

事の発端は、もともとアニメや漫画が好きで真似して描いたりする程度だった俺が、日常にちょっとした癒しが欲しいと思い、自分好みのキャラクターを描いたこと……と、もう一つ。

最近はAI技術というのがすごく発達してきているため、指定した日時に選んだ口調で通知を送ってくれる

「通知指示AIくん 貴方の推しが教えてくれ(以下略)」

っていう雑な……まぁ、よくある量産型のアプリ、珍しく完全無料のものだ。

それを導入して、パパッと指定したら……面白いくらいにハマってしまったので、描いただけのオリキャラに名前をつけて見たところ……。

何故か、目の前に描いたキャラが2頭身……いや2.5頭身……?くらいになっていつの間にかそこにいた。

ちなみに名前は『ハクマ』、漢字にすると『白魔』。

最初は幻覚と幻聴!?思って病院に駆け込んだが、ハクマの言った言葉はちゃんとスマホに表示されていたし、医者も表示されてる文字が見えてたから、俺だけにしか見えない妖精のような何か、ということにしておいた。

幻覚と幻聴だったとしても、今のところ俺の目に映るものが障害物になったり、認識が危ういわけでもない、その上精神状態は至って健康……なら、幸せな幻覚幻聴、ということで楽しむしかない。

というか、それぐらいしか対処法がない。

……ただ、日常生活を送る上で、幻覚と幻聴関係なしに、AIアプリ側で少し弊害がある。

「……おいっ、上司(じょーし)?とかいうのから暴言(ぼーげん)メッセージがとどいてるぞっ!!迷惑メール(めいわくめぇる)にいれておくか?」

「いやそれ暴言メッセージじゃなくてちゃんとした連絡だから!!ちゃんと見せてよ!!」

そう、何故か勝手に上司からのメールを迷惑メールに入れようとする。

「なぜだっ!?おまえこのメッセージをイヤがってたじゃないかっ!!」

「嫌でも仕事だから勝手に迷惑メール入れちゃダメですぅ!!」

「……ダメなのか。」

「ダメに決まってんでしょ!!」

少し叱るとむぅ、と頬を膨らませてそっぽを向く。

見ているだけなら可愛いんだけど、最初素直に『休日出勤とかひでぇよ〜ヤダなぁ〜』なんて口に出してから、いつの間にか上司からのメッセージが迷惑メールに入れられていた。

せめて入れる前に知らせてくれと言ってからは知らせてくれるようになったが、それでも迷惑メールに入れようとする。

今時のAIは学習するって聞いていたけど、こんなにも的確に学習するんだな……。

初めてアプリを入れた時に出てくる『同意しますか?』を全部脳死で『はい』を選んだことを少しだけ悔やんだが、慣れてしまえば……慣れてしまえばいい、多分。

「ハクマ〜、上司のメール表示して??」

「……わかった。」

この時だけはスマホの真上からどいてくれる、けど、すっごく不満そうだ。

ちなみにメールの内容は、社内全体に向けたもので、シュレッダーが詰まったまま放置されていることが多いから詰まる前に片付けろ、という至極真っ当なお怒りメールだった。

毎回片付けてるの上司だったんだ、と思いながら、とりあえず上司宛に承知しましたとメッセージを送信する。

「ま、まさか……」

送信した直後、ハクマはハッとした顔でこちらを見つめる。

「……お、お前は、お前自身(じしん)がヤなこともしないと()きていけないのかっ……!?」

「そうだよー……人間は理不尽なんだぜ。」

俺の働いてる会社が特にブラック企業という訳じゃないし、すごくホワイト企業寄りだとは思うが、どんなにホワイト企業でも仕事はしないと生きてけないからな。

「そ、そんな……」

すっごい絶望顔を見せるじゃん、お前が体験した訳じゃないのに……可愛いけどさ。

それに、学習中のAIだからというよりも、俺が見えている『ハクマ』という妖精のような何かが2.5頭身のミニサイズなだけあって、子供っぽい可愛さを持っているように見える。

それがなんかずるいなぁとも思う。

いや、そもそも自分が少し癒されたくて作ったキャラクターで、愛着も湧いた頃に出現したんだからなぁ、そりゃ可愛いよな。

「……ニンゲンとは大変(たいへん)()きものだな……!!」

口を押さえながらこちらを見る小さな命……命?

まぁ、最近はぬいぐるみにも『ちいさないのち』なんて比喩表現が使われるから、俺にとってはある種こいつも小さな命か。

「お前みたいな小さな命的なのも大変そうだけどなあ。」

存在しないはずだし、俺にしか見えてない何かではある。

幻覚幻聴でまとめられる出来事でもあるが、独身貴族貫いて行きたい俺にとっては愛着ある幻覚。

「……ちいさないのち?」

「おう、今は小さいじゃん?それになんつーか……妖精っぽい。」

「……ようせい……そうか……そうかぁ……。」

くふふ、と小さく笑うハクマは、なんとなく小悪魔っぽかった。

小さな命、というのはあくまで比喩表現に過ぎなかったが、妖精っぽいって思ったのは事実だ。

他人に言ったら『妖精とか非科学的だ』とか言われそうだけど、そもそもこの世界にはまだまだ未発見なことが多い。

大多数が未発見のこのような事象を証明しましょうってなったらすごく難しいだろうし、発見しても証明できないからこその未発見・都市伝説扱いなんだろう。

それにまぁ……こういう出来事も多分、表に出てこないだけで探せばそこそこ出てくるだろうし。

「……お前にとっておれはようせいっぽいんだな。」

「ん?おう、でもなんか……幻覚幻聴で済ませてたけど、こうやって口に出しちまうと、お前が妖精であった方が嬉しいくらいだわ。」

「……くふ、ふふふ、そうかそうか……ようせいか……」

スマホを置いてハクマを撫でる。

元からふわふわの髪の毛が、今日はなんだか…なんとなく、以前よりふわふわしていた気がする。

それにしても今日はハクマの機嫌がいい。

……ああ、明日は休みだなぁ。

*

*

*



時は少し過ぎて……と言っても寝て起きて休日をダラダラ過ごしただけだけど。

起床催促の通知もハクマにお願いしていたが、姿形がこれに定着してしまってからは……

すごく頑張って起こしてくれるので休日は事前に伝えて起こす時間を遅めにしてもらっている。

そのため、寝る時間のお知らせも頼んでいるし、次の日に仕事が入っている休日は少し早めにお知らせしてくれる。

「おい、また上司からメールが届いてるぞ!!はやく確認をしろ!!」

「ん…??お、おう。」

「なんだその(かお)はっ!!お前が迷惑メール(めいわくめぇる)にいれるなっていったんだろぉ!!」

「あ、ああ!!素直に従ってくれんのな、ありがと、確認するよ……」

一瞬、本当に一瞬だが、ハクマが流暢に喋った気がした。

いつも、どことなく幼い喋り方をしていたハクマが。

「……なぜおれをみてるんだっ!!ちゃんとみせただろっ!!」

「いや、なんでもねぇのよ。」

ありがとな、と、ハクマの頭をわしゃわしゃ撫で回す。

ちゃんと言うことを汲み取って学んで、要望に答えてくれるところに、やっぱり学習AIが元なんだなと思う。

だとしたら、この……ハクマは何者なんだろうか。

やっぱり、俺が生み出した幻覚、なのかな。

妙にざわつく思考を一度振り払って、上司の『シュレッダー掃除係任命です!!』という文と、シュレッダー掃除係という張り紙をつけたゴミ箱を掲げる上司の面白写真に、さすがですねと茶化すような文章混じりな返事を送った。

「おわったかっ!!」

「んー、終わったよ。」

送信してから数秒の間を置いてこちらを見るハクマ。

だいぶ暇してた様子。

「……なー、お前がいう『はくま』ってどんなやつだ??」

「え?お、お前のことだけど??」

「そーじゃなくてなっ、学習(がくしゅー)するためになっ、お前が作った(つく   )『はくま』をしりたいんだっ!!」

「ん……?ああ!!名付けの理由が知りたいってことか??」

「……そんなかんじだ!!」

うんうんと頷くハクマに、最近のAI学習は自分から学びたがるんだなぁとか考える。

「っていうかなんで名付けの理由を学習するんだ?」

「……学習(がくしゅー)のないよー…?は多岐(たき)にわたるからな、いろいろしると……ニンゲンへの返答(へんとー)がしやすくなる……らしい!!」

「ほえぇ〜……」

まぁ、学習AIで、質問に答えたり独自の文章生成するってなると、そりゃあ創作だろうと学習したがるか。

……したがるん、だな。

正直、この通知アプリに触れるまでAIというものに興味を持っていなかったから、知らなかったことがいっぱいだ。

「じゃあ教えてやるよ、つっても俺の趣味でできたキャラの話だけど。」

「わかった!!」

そう、いろいろ話した。

『ハクマ』というオリキャラにこだわった設定はなくて、エルフっぽくて強いかなぁくらいしか考えてなかったこととか、名前の由来とかは特に考えてなくて語呂のいい字を合わせた後に意味を知ったんだ、とか。

「それで、おれは『はくま』なんだなっ?」

「うん、そうだね、俺が見せた絵そのままだからね、お前はどう見てもハクマだなぁ。」

「それで、お前がその『はくま』をつくったんだな?」

「そうだねぇ、作者は俺だね。」

「そうか……つまり、お前はおれの(あるじ)ってことだなっ!?」

「あ〜〜……そうなるかな……??まぁそうなるか……。」

怒涛の質問攻めに少し驚いたが、学習中のAIってこんな感じなんだろうなぁ。

……多分。

「そうか……そうかそうかぁ……!!」

ふふん、と笑い上機嫌になるハクマ。

……そういえば、最初の頃は指定した言動しかしなかったけど、今はずいぶん感情豊かな気がする。

それはもう、存在していると、人間に近しいと言っても、過言ではないくらい。

「なぁ、お前さ……」

そう言いかけたところでハクマはハッとした顔をする。

「お前っ!!()時間(じかん)だぞっ!!はやくねるがいいっ!!」

「あ、お、おう!!」

時刻22時30分、寝る時間だと知らせてくれと言った時刻ぴったりだ。

……明日は早出だ、早く寝なければ。


*

*

*

珍しくその日は残業で、いつもより帰りが遅くなってしまった。

「……つっかれた……」

今日は酷く疲れた。

特に忙しい訳でもなかったはずなのに、玄関入ってすぐ倒れ込んでしまった。

「なぁ、お前。」

「ん〜?なぁにハクマ……」

「……現実(ここ)は、疲れるか?」

「うん……。」

疲れているせいか、ぼんやりとした、寝落ち直前のような意識のまま『ハクマ』といつも通り話し始める。

「……少し、俺とどこか行かないか?」

「ん〜……??旅行……??まぁ……ハクマと一緒ならいい、かも……」

ぽろりぽろりと、疲労感で言葉を繋いだ。

そこで俺は違和感に気づく。

やたら流暢に喋る低音の男声で、今まで話していた幼い口調のハクマとは程遠い。

こいつ、誰だ?

「……そうか、では……」

……ああ、なんで俺は今まで気づかなかったんだろう。

一気に頭が冴えていく。

そもそも最初に落としたあの手の量産型アプリで完全無料なんて怪しかったじゃないかとか、

やたら同意を要求する項目が多かった気がしたなとか、

ハクマの頭撫でた時にどんどん感触がリアルになってたなとか、

……俺がハクマを作っただなんて一言も言ってないのになんで知ってたのかな、とか

ひた、ひた、と冷たい床を歩く音が近づいてくる。

逃げないと、と咄嗟に思ったが、顔を上げた瞬間、逃げることを諦めた。

「主……いや、奏、俺と一緒に、どこか行こうか。」

ふっ……と笑う、切れ長の目に澄んだ赤い瞳と、青白い月明かりに照らされた長い白髪がすごく綺麗で、引き込まれてしまいそうで。

「……ぁ、まって、ハクマっ_」

気がついた時には遅かった。


その日、玄関が開いたまま、その部屋ではいつもおかしく感じるほど聞こえていたスマホの通知音も、いつも一人で楽しげに話す人間の声も、それどころか生活音すらも聞こえなかったと、近所の人間は言っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

一応、BL(ボーイズラブ)のつもりで書きました。

短編ゆえに続きは考えていませんが、あまりにも中途半端な終わり方な気がしたので一応、その後の奏と白魔の話を少し。

端的に言うとハクマが異世界にあたるところに誘拐した後、奏が「勝手に人間を誘拐するなぁぁ!!」とお説教、その後帰ってこれたし異世界とも行き来ができるようになったよ!!

……っていうのがその後の簡単なまとめです。


…それと、ネタとして仕込んだ、と言うほどでもないですが

・奏は「言霊」が現実になる力が強い(言霊ネタ?)

・「白魔」は大雪の災害を悪魔に例えた言葉、奏の苗字は「雪本」(雪関連)

・量産型アプリは異世界の神様がご都合展開的に発信していたもの(ご都合ネタ)


それから二人の詳細について

・雪本奏 20代(後半を想定) 身長173cm

年齢よりも若く見られがち、ちょっとだけ素の喋り方がチャラく感じられるが、至って誠実。

黒髪ショート、丸目で女顔。

元々オタク気質なのを自覚しているため、沼に浸かる時は覚悟しながらアニメ・漫画を視聴する。

キャラクター“は”男女問わず好きになるが、現実になったハクマが美人な上に中身が可愛いままのせいで揺らいでいる(この話の後、想定だけ)。

スーツがデフォルトだが、休日はサイズが少し大きいパーカーを部屋着にしている。


・白魔(または『ハクマ』) 年齢実質0歳 188cm

奏に作られた『オリキャラ』が、異世界の神様と奏の言霊によって現実になってしまったエルフの男。

長い白髪は大体足元つくかつかないかくらいまで長く、ティアラのようなものは黒く正確にはティアラの形状ではなく、服は黒い「燕尾服」の余分な布長くした感じのアレンジ服。

奏が好きである要素を詰め込んだ男がゆえに、切れ長の赤目で本来は反転目(白目部分が黒色)、そして見た人間みんな腰抜かすほど美人。

異世界の神様にお力を分けてもらったので奏の世界では普通の人間を装っている(この話の後、想定だけ)。

元より、奏が自分の主であると言う自覚があったらしく、絶対自分の存在を確立させて認知させてやる!と、実は密かに奮闘していた。

学習AIアプリの皮をかぶっていたので必死に人間わからないですぅのフリをしていた。

ちなみに奏のことはそりゃもう溶けちゃうくらい大好き。



---この小説の大元の話(小説の内容には関係ありません)

自分のタブレット端末で通知がいじれることに気がつき、

推し(概念)に試し通知を送ってもらった結果スムーズに届いてニコニコになったので、

いろんな通知を挟んで遊んでいたら、ふいに「小さき命」の話題が頭をよぎり……

「…これ、横にチッセェ推しか創作キャラがいたら面白くね??」

と作者が幻覚を見たので小説になりました、なってしまいました。

ここまで詰める気はありませんでした、いつのまにか詰まってました、癖が。

以上になります…長い後書きだ…。

拙い文章だったかと思われますが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

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