7話目 セレスティア・ライダーズ、爆誕!~なお連携はこれからです~
王都騎馬戦大会――中盤戦、チーム戦。
4人1組のフォーメーション戦が本日より開始される。
翔也、リュシエル、ミナ、セラ――ついに一騎当千のチームが動き出す。
「……というわけで、チーム名決めました!」
試合前の控室。翔也が自信満々に掲げた紙にはこう書かれていた。
『セレスティア・ライダーズ』
「……え、なにそれ」
「響きはいいけど、ちょっとファンタジーすぎない?」
「……派手な名ですね」
「いや、もっとこう、英語っぽいの入れたら“それっぽく”なるって思ったんだよ!」
『翔也、命名センスはともかく、“空の使者たち”っぽい雰囲気はあるな』
試合開始前、スタジアムに実況の声が響き渡る。
「続いて登場するのは、話題の異世界転生者が率いる――セレスティア・ライダーズ!」
「おお……なんか、カッコつけた名前が来ましたねぇ!」
「おいおい実況、言い方言い方!!」
対戦相手は、王都南方騎馬連隊所属――鉄殻の戦輪隊。
分厚い装甲と完璧なフォーメーションで名を馳せる、実力派部隊だ。
「相手はちょっとふざけた名前ですが、油断は禁物です。奴らの“変則戦術”には注意を」
「了解。だが我らの鉄殻は、どんな風にも破られはしない」
「三騎前進、側翼展開。――“轟刃陣”、始動する!」
戦闘開始の合図が鳴った――!
「翔也、前いって!」
「右から崩す。任せて」
「風の加護、展開します」
「……お、おう、なんか急に始まったぞこれ!?」
突進するアリュードの盾と突き!
同時に、ミナとナグファルが右から奇襲!
セラとルミレイアの祈りが全体を包み、グリュンバルトが翔也を空へと跳ばせる!
――が。
「ミナ!翔也の空中突撃とタイミングずれてるわよ!」
「姫が遅い。あれでは合わせられない」
「……予想通りの展開ですね。連携が乱れています」
「セラ、落ち着いた顔で言わないで!?てか冷静すぎない!?」
敵の“戦輪突撃陣”が襲い掛かる!
「翔也、今しかない!突き抜けて!!」
「了解、いっくぜ――!」
『翔破連槍・旋!』
空中からの回転突撃!敵の大将が吹き飛び、陣形が崩壊する。
「なっ、鉄殻が……崩された……だと!?」
「くっ……あの空の騎手、読み切ったのか!?」
続けてミナが横を断ち、リュシエルの槍が正面を制圧!
セラが風を一閃させ、敵騎馬を滑らせるように止めを刺す!
試合終了――
実況が叫ぶ!
「勝者――セレスティア・ライダーズ!」
その帰り道。
「……ま、まぐれじゃないからねっ。私の突撃が決まっただけで!」
「“だけ”じゃなくて、全員のバランスだったでしょ」
「……まあ、連携を取る練習は必要かもしれませんね」
「翔也さん、次回は“指揮官”としての責任を自覚なさってくださいね?」
「やっぱ俺、戦うよりまとめ役なんじゃないの!?俺の人生、間違ってた!?」
『翔也。ハーレムを率いる指揮官として、お前にしかできない戦がある』
「グリュン、お前ほんと時々ぶっこむよな……」