3.5話
王都騎士学院の寮区――
翔也はベッドの上でぐったりしていた。
「はぁ……あの“巨獣馬”の突進、まだ太もも痛ぇ……」
先日の騎馬戦予選。ギリギリの勝利の代償として、全身はバキバキ。
とりあえず今日は休養日――の、はずだった。
ドンッ!
「入るわよっ!」
「ちょっ、ノックしろ姫ぇぇぇっ!!」
ドアが弾け飛ぶ勢いで現れたのは、もちろんリュシエル姫。
「この程度で寝てるなんて軟弱よ!アンタ、異世界転生者でしょ!?」
「いやいや、どこのテンプレ主人公も休みはあるんだよ!?」
そのあと、なぜか姫が持ち込んだ**「騎馬戦予習資料」**とやらを一緒に見る羽目に。
スカート姿で地べたに座る姫に、翔也は落ち着かない。
「ちょ、膝立てないでよ!なんかいろいろ見えそうで困るんだけど!?」
「なっ、なによ!?見るなら堂々と見ればいいでしょっ!」
「いや、そういう問題じゃ――」
ドアの外で**ギィ……**と音がした。
「…………ふたりとも、仲がいいんだね」
立っていたのは巫女服のセラだった。
「あ、いや、ちがっ、これは誤解で――!」
「私は別に怒ってないわ。ただ……」
セラはスッと翔也のベッドの隣に座ると、
小さな壺を取り出し、膝に塗り薬を広げ始めた。
「……無理してた足、治してあげるね。動けなくなると困るから」
「くっ……癒し系のくせに妙に攻撃力高い……!」