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お茶会

――とある日の昼、中庭に大きな泣き声が響いた。


「お嬢様、そんなお姿で外に出てはいせません」


「うぅー……っ…リサもおかーさまと同じなの?わたし今日元気なのにっ」


誕生日から数ヶ月過ぎ、最近は体調が安定していて、同年代の子とのお茶会にも参加できるようになっていた。


お茶会デビューした時は家族とメイドとウィル以外の人とはまともに話した事がないので、怖くてブルブルしていたけど、同年代の女の子の話すのはとっても楽しかった。

母も色々な人と話す機会が増えたからか、ローズの舌足らずな話し方が改善されてきているわと喜んでいた。母に喜ばれるのは嬉しい。お兄様達の稽古を見る事は予定的に合わない日も多く、最近はウィルと会える頻度は減ったけどお茶会に行くのも私の楽しみになっていた。


それなのに、顔色が悪いから今日のお茶会は欠席しなさいってお母様が言うから…。今日の為に着ていきたいドレスもあったし、お茶会の日には毎回ウィルからもらったバレッタを付けれるのに……。


そう考えたら最大限に反抗したくなり、私はパジャマ姿で部屋から抜け出してきてしまった。

お嬢様お待ちください!とメイドのリサが後を追ってくるが私はお構いなしだ。少し気になって走りながら後ろを振り向いたのがいけなかった。

突然ドンッと人にぶつかってしまい、その拍子に尻もちをついてしまった。


「うっ!……いた」


「ごめんね、大丈夫?」


ぶつかったのは私からなのに声の主は心配そうな表情をして、私に手を差し出し立たせてくれた。


「……うぅ……ウィル」


「どうしたの?今日は何で泣いてるのかな?」


苦笑いしているウィルの腕にしがみついて、ウィルに事の経緯を説明した。

私に追いついたリサにウィルは2人きりで話をさせてくれないかと提案して、中庭のベンチに2人で腰掛けた。


「久しぶりだね。ギルからもお茶会デビューの事は聞いていたよ。本当に体調大丈夫なの?」


「うん!だいじょーぶ!だからウィルからも皆を説得してほしいの」


「今日は休んで、また今度のお茶会で皆に会えば良いんじゃない?今日は僕も稽古終わったし少しだけ時間があるから僕と一緒に話していよう?」


「んー…それも良いけど、今日はぜったい行きたいの」


ウィルは断られると思っていなかったのか驚いた顔で見ている。


「そんなに仲良い友達ができたの?僕よりも?」


「ウィルより仲良い人なんていないよ!だけどね、今日はリリアナ達とこいびとの話をするのよ」


「恋人!?」


にこにこしている私とは対照にウィルは驚いて珍しく大きな声をあげていた。


「えっと、ローズ、君も恋人の話しをするのかな?」


「うん!そうだよ!」


今度は私の返事にはぁーーっと大きなため息をついていた。


「……ローズはいつからそんな人作ったの?」


「へっ?」


なぜかウィルが怒っているように感じた。顔は怒っていないのに言い方がいつもと違って冷たい。見つめてくる目はいつも優しいのに今は鋭くて少し怖く感じる。


「こいびとはウィルだよ?」


「えぇっ!?」


今度は裏返った声を出して固まってしまったウィルに今日のウィルは変だなと思いながら続けた。


「この前のお茶会の時に皆でこいびとの話をしたの。こいびとって好きな人のことを言うのよ。でも家族はダメなんだって。家族以外の男の人じゃないとダメって言ってた。ウィルは知ってた?」


「はぁーーっ。そう言うことね」


またまた大きなため息を吐き苦笑いをしながらもいつもの優しいウィルに戻っていた。

 

お茶会に行くたびに同じ年くらいの子達から色々と教えてもらえる。どこのお店の服が可愛いとか、流行っているお菓子の話とか。前回は恋人って言葉を教えてもらった。

私は父、母、兄が恋人だと伝えたら家族と女性はダメだと言われたのだ。家族以外の男性で好きな人なんてウィルしか浮かばなかった。

前回は言い出しっぺのリリアナの婚約者の良い所を紹介してもらい、今日はわたしの恋人の話をする番だった。


「こいびとのしょーかいをするの。今日はわたしのばんだからウィルの良いところたくさん皆にしょーかいしたかったのに…おかーさまもリサもダメって……」


せっかく止まった涙が、思い出して悲しくてまた溢れてきそうな時に頭を優しくヨシヨシと撫でられた。


「ローズ、ありがとう。君には敵わないね」


そう言うとウィルは私をぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。

暖かくて気持ち良いから私も身を預けていた。


「僕はローズの恋人なんだよね?それなら今日は特別に恋人にしかできない遊びをしない?」


「こいびとの遊び?」


「そう!お茶会はまたできるけど、これは恋人の僕としかできない特別の遊びだよ」


「とくべつ?」


「うん!今から遊びに行くから着替えておいで」


その言葉に私はずっとパジャマ姿だとハッと気づいて、恥ずかしくなり、近くで待機していたリサに駆け寄り着替えさせてもらう事になった。母にはウィルが話をつけてくれたみたいで今度は誰も止める人はいなかった。

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