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放課後の悪夢

――授業終了の学校のチャイムがなり私はニコルの席まで小走りで向かった。


「ニコル、早く行こっ!」


「ぷはッ、ローズちゃん気合い入ってるねー」


爆笑しているニコルを急かして私達は流行りのパンケーキ屋さんへ向かった。昨日から楽しみにしていたのだからしょうがない。母に許可をもらうべく今日の事を伝えたら友達できたのねって喜んでくれた。私も楽しみで授業中もワクワクしていたのだ。


「あ、ここの店だね。思ったより学校から近くて良かった」


「うん!私こうして学校終わりに友達と一緒に歩くのも、出かけるのも初めてで嬉しい」


「ローズちゃんは可愛い事言ってくれるねー」


 学校から15分程行った所だろうか。近いと聞いていたので馬車ではなく徒歩できたのは正解だった。

メイン通りから1本細い道にある店の前には既に長い行列ができていた。


女性客が多い中でニコルはかなり目立っていて、チラチラと視線を感じる。男だからだろうか?イケメンだからだろうか?


ニコルは気にせず話しているから私も周りを見ないようにして会話を続けていたら、あと少しでお店に入れそうだ。


「「「キャーッ」」」


まだかなーと思っていた私の耳に、後ろの方から女性の黄色い声が聞こえてきた。

何事だ!?とニコルも私もキョロキョロと列の後方を見ると、見覚えのある馬車からウィルとリリアナが出てきた。


「第二王子かっこいい」

「隣の美人さんとデートかな」

「天使すぎる、眼福」


近くで話す子達の会話が聞きたくもないのに聞こえてくる。

ウィルにはお妃候補が何人かいると聞いていたが、筆頭公爵家のリリアナもその1人なのは何となくわかっていた。

作りもののように整った顔の2人がお似合いで、物語だとすればせいぜい私は脇役だ。わかってはいたけど2人並んで歩く所を見ると胸が苦しくて視線を外した。


ウィル達は私とニコルの横を通り過ぎると行列の一番前に行き、お店に入って行ってしまった。


「あーあ、嫌だね王子って言うものは」


「……へっ?」


ショックで黙り込んでいる私の耳に不機嫌そうなニコルの声が響いた。


「だってさー、俺ら結構並んだじゃん。皆だって並んでるのに王子って言うだけで並ばずに入るんだよ?」


「た、たしかに」


「俺あぁ言うの本当に無理」


ベーッとお店の扉に向けて舌を出したニコルがなんだかおかしくて少し元気が出た。

未だに心がズキズキするけど今日は楽しい日のはずなんだから嫌な事全部考えるのよそうと気持ちを切り替えた。


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