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歓迎会

――1年生歓迎会当日、私はガクブルしていた。

午前中は授業、午後は歓迎会なのだが、午前中からニコルがいないのだ。


当日欠席なんて聞いてなかった。完全に1人だ。明日学校に来たら絶対怒ってやると思いながら歓迎会の会場である大ホールに1人寂しく移動した。


大ホールには既に2、3年生がおり、立食形式で軽食も用意されていた。お目当ての生徒がいる人は○○様を誰よりも早く見つけてリボン交換をすると張り切って走っている。


私も兄を探さなくてはと、広いホールの中を歩きながらキョロキョロと探すが兄は見つからない。

開始して10分も経っていないのに既にリボン交換をして談笑している生徒が目に入るので焦ってしまう。やっぱりニコルの言う通り事前にお願いしておくべきだったのかもしれない。


早歩きでホール内を歩いて見るが、全然見当たらない。もう兄探しは諦めて知らない上級生に声をかけようかと周りを見渡すが、1人の1年に対し上級生が複数人ついてグループトークしている所が多く、割り込んで話しかける勇気なんてない。

そこの人も、あっちの人もリボンはまだ付いているが、輪になって1年生と話している。


フラフラ歩いていると、出入り口の近くに黄色のリボンをつけた女性が1人で壁に寄りかかっていた。1人で居る人に話しかける方がハードは絶対低いはず。頑張れ自分と意を決して近づいた。


「あ、あの!私1年のローズ ・カーライルと申します。よろしければ私とリボン交換していただけませんでしょうか?」


「なに?」


「あっ、えと、リボンを交換していただきたいです…」


話しかけた瞬間に眉間にシワを寄せた女性を前に自信がなくなって声が尻窄みになってしまう。


「嫌に決まってるでしょ!なんで女となんか交換しなきゃならないのよ。これは優秀でかっこいい1年とのみ交換する為につけているリボンなの。お断りよ!」


「……すみませんでした」


私はぺこっと頭を下げてその場から逃げるように会場の外へ出てしまった。1年生歓迎会とは言っても上級生にとっても出会いの場なのだ。仕方ないと自分に言い聞かせつつもショックは大きい。


しばらく歩いて恐怖でバクバクしていた心臓はおとなしくなったが、もうホールには戻りたくないなとその場でしゃがみ込んだ。


「ローズ?」


ホール裏の人気のない場所に膝を抱えて顔を隠して座っていたのに声をかけられた。


「あっ……スペンサー様」


「こんな所でサボってるの?」


そう言いながらウィルは私の隣にちょこんとしゃがみ込んだ。

サボってないと言いたい所だが、これはどっからどう見てもサボっているだろう。

 

「…ごめんなさい」


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