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学校生活

約2年ぶりに見たウィルの制服姿は新鮮で、小さい時はたった2歳差だと思っていたけど落ち着いていて凄く大人びて見えた。

身長がまた伸びただろうか、髪型変えたんだな、なんだか知らない人みたいだ。

落ち着いて堂々と話す彼をここにいる会場の全ての人が見入っている。


少しで良いからこっちを向いてくれないだろうか。目が合ったら良いなと思っていた時。


「……えっ」


「「キャーッ」」


私の思いが通じたのか?話終わりに私の方へ向いてニコッと笑顔を向けてくれた気がした。


「今の絶対リリアナに向けてだよね」


「やっぱり?私自身も目があったなって思ってたの」


が、私のすぐ後ろの方でリリアナとロゼの話し声が聞こえて、納得してしまった。流石に私に向けて笑う事はないか。それでもあの天使の微笑みを久しぶりに見れて嬉しかった。


帰りのホームルームも無事に終わり、教室を出ようとした時、大声で私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。犯人はたった1人しかいない。


「ローズ!!」


「しーっ!お兄様、声おっきい」


会いたかったぞー!と大声で近寄ってくる兄は皆の注目を集めている事に顔から火が吹き出そうなほど恥ずかしくなり、静かにしてほしいと人差し指を口の前にやった。


「初日はどうだったか?友達はできたか?」

 

「緊張したけど意外と大丈夫だったよ。……友達はまだだけど」


「そーか、そーか。ローズなら大丈夫だよ。困った事があればいつでも頼れよ」


「ありがとう」


それじゃあ、俺は訓練があるからと嵐のように消えて行った兄をよそに教室はザワザワしていた。私はというと、注目を浴びたせいで恥ずかしくて逃げるように教室を後にした。



――

 学校に通い始めてもうすぐ1ヶ月が経とうとしているのに未だに私は友達ができていない。だんだん仲良しグループが出来上がっている中でひとりぼっちだ。リリアナとロゼとは昔からお茶会やパーティで顔を合わせてはいたがキラキラ輝く2人とは対象に私は地味だ。不仲になった訳ではないが仲良く2人で行動しているのを見ると仲間に入れてと言う勇気はなくなった。

 

仕方なく昼休みや授業終わりは、図書室へ行って勉強の復習をしていた。何故なら勉強がわからなくても気軽に聞ける友達がいないからだ。

レーヴ学院は図書室も広いが、昼休みに利用している生徒は少ない。その中で同じクラスの男の子が毎日いる。目の下まで伸びた重めの前髪に、チラっと隙間から分厚いメガネが確認できる。かろうじて口元だけ見えるがどんな顔かはわからない。


初日に自己紹介をしたが何という名前か覚えていない。いつも1人でいるからあの子も友達がいないのだろうか。私は思い切って声をかけてみる事にした。


「あ、あの、同じクラスのローズ ・カーライルです。いつもここに来てますよね?良かったら一緒に勉強しませんか?」


「ぷはっ…何でタメなのに敬語なの?それに俺は男爵家でローズちゃんは公爵家だから家柄も俺の方が下だよ」


いつも彼の無言で勉強している姿しか見ていなかったからだろうか、笑いながら返ってきた言葉は思ってたより明るい雰囲気の人だった。


「あ、えっと…家柄なんて関係ないです。お言葉に甘えて敬語なしにします。…あっ、ちがくて、敬語やめる!」


キョドりすぎだよとまたケラケラ笑っている目の前の男に、やっぱりイメージしてた人とは違ったなと思った。

 

「俺の名前はニコル・グレイだよ。ニコルって呼んで」


「うん!ニコル!」


「そんな顔もできるんだね。教室でも図書館でもずっと真面目ですって顔してるからとっつきにくい子かと思った」

 

またもケラケラ笑い出したニコルに頬っぺたを膨らませて怒ったけど、内心同級生と話す事ができて嬉しかった。


「じゃあ今日から一緒に勉強しよっか!」


「ありがとう!」


 相変わらず重い前髪とメガネのせいで彼の顔は見えないけど友達ができたようで嬉しかった。

その日からニコルとは教室でも話せるし、図書室で勉強する時は隣に座る仲になった。

 

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