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おっちょこちょいの父

世界の半分

作者: 黛ちまた

世界の半分をくれてやろう、とかそういう話ではありません。

 子供の頃、中国の方が駅などでポケットティッシュを配っていた。

 知らぬ間に荷物や手の指と指の間にポケットティッシュを差し込まれたことがあって、慄いた。(私がぼんやりしながら歩いているというのも大きい)



 

 その日はポケットティッシュを強引に押し付けられて、若干イライラしていた。

 帰宅すると、父がソファでゆったり本を読んでいた。私の様子に気付いた父が、本を読むのを止めて声をかけてくる。

 

「どうした?」

 

 苛立ちに任せて、あったことを話せば、父はそうかそうかと頷く。

 

「でもな、ちまた」

 

 そんな風に怒ったらいけないとでも言われるのかと身構える。

 

「世界の人口の半分は中国人なんだから、敵に回しちゃ駄目だぞ」

 

 幼い頃はその言葉に衝撃を受けたけれども、一人の中国人からポケットティッシュを受け取るのを拒否したからといって、全ての中国人が敵にはならないと思うんだ。

 そんな個にして全、全にして個、みたいな……。

 いや、争いはよくないし、ポケットティッシュなんだけどね。

 



 子供だった私は、それ以来中国の方が差し出すポケットティッシュを丁寧に受け取るようになりました。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] このお話、大好きです(^∇^) 何度も読み返しています♪
[一言] 他作品からとんできて、おっちょこちょいの父も読んで、ほのぼのしまして。 本作品はちょっと吹き出しました(笑) あとタイトルと、"くれてやろうじゃないです"の注意書きが読了後、色んな意味でツボ…
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