まちこ
まちこは家庭科の先生だった。黒髪をきれいに束ねているものの、年齢はまぁまぁいっていたと思う。櫻井じいちゃんより若く、ガメより少し年上という感じ。
まちこは、電車とバスで通勤していた。
通っていた高校は、最寄り駅からだいぶん離れていたため、学校と駅を行き来するバスがあった。それには生徒だけでなく、先生が乗っていることもあった。
ある日、帰りのバスに乗ると、まちこも乗っていた。まちこの後ろには、三年生のチャラめの男子の先輩が、グループで座っていて
「先生ー。この前、走って行くバスに手ぇあげながら『待ってぇ』って追いかけてたっしょ。あんなの、無理だから!」
と絡んでいる。でも、まちこは全く気にする素振りを見せず、すまして座っていた。
そんな、まちこはやっぱり舐められていた。調理実習の時のことだ。
同じ学年に藤野(仮名)という、お調子物の男子がいた。多分、目立ちたいだけ。いわゆる痛い感じの男子だった。藤野とその友達は、毎日くだらないことをしていた。(何をしていたかは忘れた)
奴らが私のクラスの調理実習に乱入してきたのである。
確かパスタとフルーツポンチを作っていたような気がする。
藤野達は、Rちゃんの班に迷惑行為をした。フルーツポンチに入れるりんごを、お湯の中に入れ茹でた。Rちゃんが
「藤野やめろ!!」
と叫ぶ。藤野達はヘラヘラ笑っている。そこで、まちこは別のクラスの生徒が乱入していることに気づいたようだった。
「ちょっと! アンタ達! このクラスじゃないでしょ!」
声を荒らげるも全く迫力がない。
「こないだも、布巾を冷凍庫に入れて!! ほんとにっ!!
カチカチなって見つかったんだからねっ!!」
まちこは、ぷんぷんという形容がしっくりくるような顔で怒っていたが、凍った布巾よりRちゃんの班のりんごをどうにかするべきでは……と思ったのだった。
読んでいただきありがとうございました。
久しぶりに、高校時代のことを思い出して、懐かしくなりました。
キャラ強めの先生達のおかげで、楽しい高校生活になったのだ、と今更ながら感謝しました 笑