冬の雨
「冬の雨」
雨上がりの通りを
あなたと歩く
名残惜しそうに
傘をたたむあなた
「雨、あがっちゃったね」
私はあなたをチラ見する
「冬の雨も良かったけどな」
相合傘が、だろっ
あなたの小さなため息
足元の水鏡を見つめる
映る青空と
あなたの残念そうな顔
そんなあなたに
「冬はこんなことも出来ます」
私はあなたの冷たい手に
指をからませる
「あったかいか?」
「あ、あったかいです」
「ならば、良しっ」
そのうち肩に
手を置かせてやるよ
私は未来に思いを馳せ
繋いだ手を
ぶん回す
二人の笑い声が
雨上がりの空気を震わせる
幸せだっ
*フィクションです。