第九話 自己紹介
少しでも生存率を高め討伐数を上げる為に徹底的に基礎体力の向上、技能の向上を叩きこまれることになる。
【練習メニュー】
●柔軟体操とランニング
●基礎練習(面をつけない稽古)
《素振り》
・足を前後にさばきながら二挙動で行う[正面素振り]
・足を前後にさばき一挙動で行う[早素振り]
・竹刀を振り下ろすとき、左右に切り返す[左右面素振り]
・剣先を自分のつま先まで振り下ろす[上下素振り]
《足さばき》
・左足が右足を越さない
・かかとを常に浮かせる
・目線をぶらさない
・床を押すように移動する
●実践練習(面をつける稽古)
《切り返し》
・相手の面の左右を手首を返しながら打つ稽古
《追い込み》
・相手が下がるのを追いかけながら打ち込む稽古
《技の練習》
・面打ち、小手打ちなどを行う稽古
●かかり稽古
・いなす、よける相手に技をだしていく稽古
●地稽古
・試合と同じ形式で行う稽古
●VR稽古
《対魔物専用VR稽古》
・これまで討伐した魔物のデータによって作り上げた敵と実践を想定した仮想世界による稽古
●神刀稽古
・神刀を利用した実戦を想定した稽古
・神刀所有者同士による地稽古
【各段位と昇段条件】
無位
(十ヶ月間の研修期間後、適正有る者のみ各部隊に配属となる)
初段・鉄之位
初段昇段条件:降神の儀による適正者
魔物Lv1 一体討伐
一段・銅之位
一段昇段条件:魔物Lv1 三体討伐
二段・白銀之位
二段昇段条件:魔物Lv2 二体討伐
三段・黄金之位
三段昇段条件:魔物Lv3 三体討伐
四段・金剛之位
四段昇段条件:魔人Lv1 一体以上討伐
五段・闘将之位
五段昇段条件:魔人Lv2 一体以上討伐
六段・菩薩之位
六段昇段条件:神獣Lv1 一体以上討伐
七段・如来之位
七段昇段条件:神獣Lv2 一体以上討伐
八段・金剛如来之位
八段昇段条件:神獣Lv3 一体以上討伐
九段・神剣之位
九段昇段条件:隊長六人連続勝利
十段・天之位
十段昇段条件:禍津日神一柱討伐・館長の推薦
「以上が昇段条件と今後の練習メニューであ~る」
眼鏡をかけた角刈りの斉藤先生が黒板に上記を書き連ねる。
「ついでに|昇段テストは随時受け付けている。意欲がある者はどんどん挑戦していいぞ!」
「はい!先生」
「ん、忍海!」
「初めっから、降神の儀ってやつを受ければ効率よく生徒集められるんじゃないんですか?」
「ん、適正とは才能だけにあらずだ!本人の努力や精神性にも降りるのだ。神はひたむきに努力する精神に降臨するのだ!故に研修期間が終わらなければわからないのだ!わかったか?」
「うっす」
「まあ、例外はあったようだ。赤鶏の様に」
クラス全員が赤鶏武を見る。
「赤鶏は入学試験の最中、神刀を授かった稀有な存在である」
クラスはどよめく。
「しかし、いくら神刀があっても、本人の実力が無い。よって、皆と同じ扱いとな~る」
先に釘を打ってくる斉藤先生にほっとする、赤鶏武だった。
「他に質問あるか?無ければ本日はこれにて解散とする。明日から稽古が始まるから皆、頑張るように!はい!解散!」
「はい、先生!」
「ん、忍海?」
「まだ、お互い自己紹介してません!」
「ん、忘れてた!では、向かって右から」
癖ッ毛で常に笑顔な小柄な男子が勢い立つ。
「はい!道長船渡十六才です!毎日牛乳飲んで体大きくするんで!よろしく!」」
凛とした姿勢でスッと立ち上がる。腰まで長いストレートの髪に強い意志を感じる眉毛と瞳の女性だった。
「剣池綾乃十七才です。実家は剣道場をやってます。あっでも私弱いんで。これからよろしくお願い致します」
特に特徴が無い。見た目普通な男子が立ち上がる。
「吾田千千土十六才です。よろしく!趣味は‥探してます。これからもよろしく」
額に傷があるどんよりと暗い男子が立ち上がる。
「塩土事勝十六才です。‥よろしく‥です」
端整な顔立ちで線が細く常にピリピリしている男が立ち上がる。
「飯入活目です。特に話すことはありません」
自信が溢れた顔付きでゼスチャーが大きい男が立つ。
「諸隅野八雲二十です。皆に聞きます。この中で少女の魔人知ってる奴いませんか?そいつに母を殺されました。見つけたら教えて下さい。必ず殺るんで!」
塩土事勝がピクリと反応して顔を伏せた。
次に、短髪で細身なボーイッシュ女性が立つ。
「宇賀神美月十八才です。よろしくお願いします」
褐色肌でキラキラと光る艶のある髪を後ろに結っている。いかにもスポーツ万能な元気溢れる女性が立つ。
「おはようございます!紀之兎出水十六才です。小さい頃に命を助けてくれた恩人が少名館降神剣術校の生徒でした。だから、今度は私が助ける様になりたくて入学しました。皆さんよろしくお願いします」
目が死んでいる。男性が溜息をしながら立つ。
「足住清比古十六才」
それだけ言って座る。
スタイル良し、顔良し、声良しで肩まである髪はケアが行き届いてフワリと揺れる。色白の肌に笑顔に華のある女性が立つ。
「羽太御天十六才です。私、vanillaって言う三人クループのアイドルやってます。応援よろしくお願いします!あっでも今は只の刀好き女子です。お父さんの影響で骨董品が好きです、その中でも刀が大好きなんです!だから入学しました。なので気軽に接してくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします」
赤鶏武が立つ。
「どうも。赤鶏武十六才です。え~と、入学試験の最中、神刀を授かりました。でも、全然実力が無くて!ホント、合格はしたけど内容は滅茶苦茶でした。なので、実力をつけて家族を守れる剣術士になりたいです」
忍海百八が立つ。
「忍海百八です。同じく十六です。天之位になって白髪部夏希と付き合います!さっき確約もらいました!だから絶対、天之位行きます!よろしく!」
赤鶏武の方が恥ずかしくなって顔を赤らめる。
「白髪部夏希と?ライバル多いぞ?先生知ってるだけで十人以上が撃沈してるぞ?」
「じゃあ、俺が落とします!マジ惚れたんで!」
「ん、若い!若いぞ!流石は豊城元隊長の息子!よし!これで一通り自己紹介終わったな?ではホントに解散!はい!解散!」
豊城の名前に反応をする紀之兎出水がモジモジして忍海百八を見つめる。
その夜、忍海家の道場で稽古に励む忍海百八と赤鶏武。もう何度も忍海豊城に頭を竹刀で叩かれている。
「駄目だ!全然当たらない?オヤジ、ホント足怪我してんのか?」
「お前ら雑念が多い。技術が拙い。単調すぎる。立て!休憩は終わりだ!」
「今度こそ!行くよ。おじさん!」
赤鶏武は竹刀を振り抜くが風圧でティッシュがスルリと避ける様に、反発し合うS極とN極の様に当たらない。
「技の錬磨が足りない。気が練れてない。心に動揺がある。技、気、心は一体となって自由になる。次!」
「行くぞ!オヤジ!」
が‥勇んでも当たらない。
「まず、技を鍛錬しろ!次に気を練ろ!心は明鏡止水!心の動揺は気に伝達される。気は体を動かす元だ。故に心に動揺がおこらない程に技を錬磨しろ!次!」
こうして深夜になるまで稽古は休まず続いた。日中は少名館降神剣術校で稽古。夜は十段・天之位である忍海豊城による稽古が毎日続いた。朝になると二人は体のあちこちに痣を作って登校した。
それから一か月が過ぎた頃。深夜午前一時半過ぎ。急遽、グランドに集合命令が出た。