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第四話 入試試験

 設立二千年の伝統ある国立少名館降神剣術校は新宿にある。

 その昔、少名館降神剣術校は栃木県北部の山奥にあったのだが、魔物が都心を中心に表れるので新宿に移転した。

 校内は広く体育館とグランドは二つある。寮もあるが女子の安全の為、男子寮だけ学校から一駅離れた所に建てられた。

 校門の大鳥居をくぐって左手には二階建ての建物があり一階ニ階と食堂になっている。

 右には受付案内所と用務室と医療室の建物がある。

 大鳥居を背にして真っ直ぐ玉砂利を歩いて行く道中左手に校舎がある。右手に二つのグランドと体育館がある。

 さらに歩いて行くともう一つの鳥居が見える。鳥居をくぐると神様を祭る本殿と奥殿がある。因みに本殿に着くまでに交番が二つある。

 本殿の左手に社務所と鯉を飼っている大きな池と武器庫がある。

 右手にはご神木と森の奥に池に囲まれた開かずの五重塔がひっそりとたたずんでいた。

 校舎に植えられた桜が散る三月末の朝、入学試験を受けに来た忍海百八は校門の大鳥居の前に立つ。本来は既に進学の受付を締めきっているのだが元隊長である父の推薦で特別に入学試験を受ける事が許された。


「これで落ちたらカッコ悪いな~」


 真っ直ぐに校舎を見据えて深呼吸をする。


「まっ何とかなるか!」


 軽快な足取りで大鳥居を潜ろうとしたが足を止める。


「あっいけね!忘れてた?」


 改めて大鳥居の前に立ち一礼をする。忍海豊城からの教えで校舎の中は神域となっているので、大鳥居を潜るときは感謝の気持ちを前に立てて一礼をする様にと言われている。神様に礼を失してはいけないとの事だ。


「こんな感じかな?」


 こうしてようやく大鳥居を潜ると右に見える受付所で道を尋ねた。ああ君か。それならと受付担当は試験担当官に電話した。暫くしたら試験担当官が迎えに来るから待っている様に言われた。


「ありがとうございます」

「君があの豊城隊長の息子さんか~」

「父を知ってるんですか?」


 受付担当は暇を持てあまして話しかけてきた。


「勿論!彼は天才だったよ。段位も十段、天之位さ!」

「天之位?‥って凄いんですか?」

「凄いって君?聞いてないの?最高段位だよ。天之位に達した者は最近では三人だけだよ。我が校の館長と君のお父さん。それともう一人は行方不明になったけどその彼だけだよ」

「へえ~、オヤジ凄かったんだ。オヤジ自分の事話さないから」

「だから、君に期待してるよ!」

「はは、頑張ります!」


 校舎から車に乗って好青年そうな試験担当官がやってきた。


「やあ、お待たせ。君が豊城さんのご子息の百八君だね。じゃあ乗って」

「はい、お願いします」 


 一礼をする忍海百八。


「そんなかしこまらなくっていいよ」

「は、はい!」

「じゃあ、頑張ってな!」


 受付担当が手を振る。


「あ、はい」


 受付担当にも一礼して忍海百八は車に乗り込んで出発した。


「ここ、広いだろ?」

「ええ、迷いそうです」

「実際、毎年迷子が出るよ。でもこれくらい広くないとのびのび練習出来ないんだよね」

「どれくらい広いんっすか?」

「う~ん、東京ドーム四つ分くらい?」

「わからないっす」

「それくらい広いってことさ」

「ふ~ん」


  忍海百八は外を眺めると生徒達が見える。走り込みをする生徒。素振りをする生徒と様々だ。


「さあ、着いたよ。降りて」

「ありがとうございます」


 木造で出来た校舎の前に降りる。


「では、こっちに」

「はい」


 試験担当官に促されるがままに後に付いて行った。そして一階にある職員会議室の前に着く。


「じゃあ、少し外で待ってて」

「はい」


 そう言うと試験担当官は会議室に入った。


「う~、緊張するぞ!」


 手足をバタバタさせてそこらへんをウロウロして緊張を紛らしてみた。


「では、入って下さい」


 中からさっきに試験担当官の声がした。


  きた!


 直立不動する忍海百八。


「はい!よろしくお願いします!」


 扉を開けると忍海百八はびっくりして声を失った。

 目の前には三柱の天狗がパイプ椅子に座って待機していた。

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