hot spring winter spot summer of fall 3
「今度は豆腐のスライムだー!こいつ、やたら固いぞ!B兄ちゃん、鎚矛で砕いて!」
「あ、凍み豆腐ですね。旨味がギュッと締まってぐふぅ」
「ベイビー兄さーん!」
くそっ。すり抜けられて牝柿母♂にダメージが!この豆腐、素早い!
「ピギィ!意味がない!?」
ソテー氏も糸を張り巡らせてトラップを用意するが、それこそ豆腐のように細切れに分裂して効果がない。
そういや護謨玉埃黴も全然物理攻撃利かなくて火魔法とレベルドレインで搾り殺したんだったな。厄介だぜ魔法生物。
「この素早さでは魔法も当たりません!神様!」
ふふん。安心したまえ。点や線でダメなら面だ。
全身から油を大量に出す。俺はサキュバスの附子なので変幻自在。その応用で魔力を変換して自在に体から何でも出せちゃうのだ。毒とか乳とかビームとかローションとか。大変に重宝する能力だぜ
凍み豆腐のスライムたちは油を吸って重くなる。もちろんさっきよりツルッツルなので鈍重にはならず、スピードが上がり砲弾みたいな破壊をダンジョンに撒き散らしている。
「いまだ!オフィーリア!火を出せ!」
「はい!《エルフファイア》ー!」
魔力から精製した油が魔力で生成した炎によって摩訶不思議、一瞬で高温になり、ジュワァ!っと豆腐たちをこんがり焼いた。すんごい善い匂いがダンジョン内に漂う。
そっか、油で揚げてんだもんな。あれ、この豆腐スライムの死骸、もしかして旨いんじゃね?
「う、うんま!油で揚げることで、豆の旨味がこんな風に変化するなんてー!これは売れますよぉ!」
牝柿母♂、美味いものとお金になるもの、あと長いものに弱い俗物王子様なので個人的にとっても興奮する人材なんだけど、薪割りのエピソードからその人格形成に至る過酷な背景が見え隠れして素直に喜べなくなったぜ。もっと食え。幸せを噛み締めろ。
「コ……ン」
各々うまうまと食っていたのだがふと隣を見ると未亡人少年が放心していた。
油揚げ片手にだらしなく口元を開け目は虚ろで、誘っているのかと一瞬沸騰したのだが、牝柿母♂が目敏くすぐに蓋をしてくれたので大事には至らなかった。優秀な奴だぜ心身ともに。
「これは、こんな美味しいものがあろうとは。やはり大豆は偉大ですね。私、最後の晩餐はこれにします」
畑のウシだもんね大豆。さあ、こっちのメスガキウシ♂さんも鳴こうねー。
「んもおおおーう♡長ぁーーい♡」