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シュバルツバイス出発前夜。クソガキ王子様にしてお気に雌母♂、ベイビーのホームビデオ撮る事になった。
「ベイビーくんのパパ義母、お兄さん見てますかー?あ、みんな死んでたわ。お姉さんと弟くん、みてますかー?ベイビーくんは僕の下で元気にしてます。僕の足下で。おらっ、挨拶しろ」
「御姉様、弟、朕はご主神様のもとで楽しく過ごしています!毎日、人生最高の日を更新してぇぇまぁすぅぅぅ」
タトゥーとか諸々掘られた身体を扇情的な衣装を着けて見せびらかしている。インパクトが弱い、とあぐもん用首輪や鎖を撮影前に自腹購入していそいそと取り付けていたし、なんかやる気満々だったので怖いこの子。
せっかく労働者による配信の視聴率が敵方の間でも高いのだから、徹底的に屈伏している姿を旧王家側に見せることで心を折りに行きましょう。と、本人からの要望で撮影しているのだが、うん、趣味なんじゃないかなこいつの。
素でこんなだからな雌柿王子様。忘れもしない。初対面でこいつ、タピオカ吸うみたいに人のケツを。
いや、忘れろ俺。
素でこんな感じという事を旧王家は知らないはずなので俺にすっかり篭絡されてしまった様に映るクソガキ王子様ベイビーを見せて絶望させる作戦なのだ。
さすがにクソガキ王子様の実母側の弟妹、つまり継承権を持たない王の庶子たちには視聴制限かけてこのビデオは見せない。初対面での下水まみれの約束通り、既に皇家で保護済みで意味がないし何より教育上良くないからな。
王位継承者たる正室のとこの末弟は雌母王子の事を慕っていたらしいので癖が歪むかもしれないが、多少の犠牲は仕方ないね。
「なあ、ベイビー。配信のコメントに今晩も楽しみにしてます。って記入あったんだけどお前何回か」
「せいやぁっ」
ぐおっ!アクロバティックな体制に!これはスゴイ!
「なあ、ついに調教主さま顔出しで大興奮ですっていや、今日はじめての」
「そそぉい!」
ぬぁ!なんて技術を!!
なんか、クソガキ王子様に誤魔化されている気がするが雌母味が強い王子様なので、そもそもお姉さん属性に手玉取られたい願望がある俺としては抵抗できないんだよな。ここは乗ってヤるしかない。
カンペが視界の端に出てきたので確認する。えーと、ベイ兄さんの初恋の人に変身。か。
「ひゃ!?叔父様?うそ!やです!やー!」
おお!あんなにノリノリだったのに羞恥で全身まっかに!さすが邪聖少年。えげつないぜ。
またカンペが。今度はベイビーのとこの聖騎士か。なんでおんねん。初心者の街の留守番頼んだやろがい。
まあ、善い。ご要望通り向こうの宰相に変わる。長髪のイケメンだ。
「なあ!貴様!心だけでなくこの身体も汚そうというのか!」
ベイビー、パニックになってんのか俺の変身だと認識してなくない?何かトラウマ刺激したみたいなんだけど。これ大丈夫なやつなの側近よ。
次は旧王に!!とカンペが。今度はベイビーのとこの魔法戦士が。いや、やめた方が善くない?
「父上。朕です。母上ではありません。……ああ、おいたわしや」
何か可哀想だな旧王。狂ったとは聞いてたけどそれまでは円満な家庭だったのかね?
お次は神娘。何々、出産させて!いや無理に決まってンだろ!どんな無茶振りなんだよ!何なんだこいつら。主君なんだと思ってんだろ。ベイビーのこれまでの苦労が偲ばれるぜ。
「うそぉぉぉ!お腹、大きくぅぅ!?」
まあ、仕方ないね。神様だから。信心深い国民の願いは叶えてあげないとね。
あくまでもそれっぽくしてるだけなので本当に身籠ったわけではないのだが、混乱してるので迫真の演技になってしまった。コメントと喜捨がスゴい数集まってきてる。
ふむ。この配信というシステム。最強なんじゃないだろうか。他国にも導入してどんどん信者増やしていけば世界征服もめじゃない。
「グハハハ!ひれ伏せぇ!ケツこっちに向けながら!色欲の魔王。命と光の神がお前たちを天国に連れてってやる!!」
「ふぁぁぁぁぁん!!命が!命がぁぁぁぁ!」
後日、配信観てた受付のおねーさんに目茶苦茶ドチャクソ怒られて性的なコンテンツ禁止になった。
死と闇の女王たる母神的には問題ないのだが、皇家と主神たる俺は旧王家と母神との契約を引き継いでいるので、神と王との契約によるお国の繁栄と秩序を守る、という観点から国民に悪影響がありすぎると判断されたらしい。おのれ。
母性的なコンテンツはオッケーだとかで雌母王子様は情操教育コンテンツ、『公王様といっしょ』という健全な配信に切り替え、忙しい奥様方と大きなお友達の味方として人気を博すことになるが、それはまた別のお話。
…終始ベイビーに振り回されて転がされてない?今回の俺。