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blackwhite partynight paladinknight2

「紹介するぜ。ンモタメ・ピームーヒノトリグウセイヒロイン。オレの御母様だ」


「不定形生物ぅ!え?サキュバスってこん、こういうお姿なの?想像と違うのだけども」


 邪聖少年が驚いている。フフフ。図鑑や本ばかり読んで頭でっかちになるからそんなに取り乱すのだ。あ、だからあっちの頭もでかいのかこいつ。


「相手の望む姿に変身できるから、そりゃ普段は何者でもない姿がデフォルトだよ。個体によって霧状だったり、柱状だったりするみたいだけど」


 草臥れジト目が説明をする。基本的にこのB-T四兄弟の末っ子で一番低スペックであることがコンプレックスなので、こういう得意分野の時の説明はジト目にやや光を帯びる奴である。せいぜいジトッ目くらいの粘性を得る程度だが。


「これはこれは御母様。ご機嫌麗しゅう。(わたし)、あなたの義息子になりますベイビーと申します」


「あ、いけない!握手?っていうか触手を握ったら!」


 ベイビーが御母様の触手に口付けした直後に、このシュバルツバイスの領主、サーマモンが叫ぶ。


 何事かとトランジスタグラマー形態のマモンを堪能してからクソガキ王子様ベイビーの方に振り返ると、クソガキ王子様の横に謎の髭ダンディ附子(デーモンハーフ)が立ってた。


 え?誰。


「ああ、しまった。サキュバスは他者の思考を読み取って、相手の望む姿になるんだ。触れてしまったら一発さ」


 サーマモンの説明が入る。クソガキ王子様はしばらくキョトンとしていたが、突然、顔を抑えて崩れ落ちた。何事か。


 ていうか、旧王家って附子(デーモンハーフ)排除してたろ。誰だそのオッサン。知り合いか?


 いや、中身は御母様なんだけどよ。


「いや、あれは多分、ベースはB兄ちゃんだね」


 ふざけんな。あんな胸毛濃そうな軍服オジサンなわけないだろ。着たこと無いぞ軍服。裸か、裸に外套だぞだいたい。


「自覚ないだろうけど、サキュバスほどじゃなくても、そのハーフのB兄ちゃんも、人によって別人の様に振る舞ってるんだよ。ベイビー兄さんは、B兄ちゃんの向こうに誰かを透かして見てるんだろうね」


 なんだ?外見はともかく、内面としてはアイツには俺がああ見えてるのか?モジャモジャマッチョに?


「……母方の叔父さんです。初恋があの人だったと、今、初めて気付きました」


「野郎に恋してたのかよ。非生産的だなぁ」


「え?B兄ちゃんがそれ言う?」


 ああん?オレに恋するのはとっても生産的だろうが。神様ぞオレ。ご利益と子宝に恵まれまくるに決まってンだろ。


 しかし面白いな。いつもウフウフと薄ら笑ってるクソガキ王子様が、涙目で恥ずかしがっている様ってのは滅多に見れない。


「自分でも知らない自分の心を覗いてしまうから、人間はサキュバスに接触しないように気を付けてるんだ。現実にいない理想を求めて、サキュバスの虜になってしまうからね」


 虜になるやつがごく少数、出てしまうのは仕方ないとして、全人類が虜になったら種族が附子(デーモンハーフ)だらけになってしまうからな。多様性、とやらが繁栄には大事らしいから仕方ない。まあ、千年後とかにはオレの子孫しか居なくなってるかもしれんが。


 ふむ。しかし、これ、他の奴も見てみたいな。


 御母様に思念を送る。サキュバスはデフォルトでは発声器官を持たず、思うだけでコミュニケーションが取れるのだ。


 ハーフたるオレもちょっとは使えるコミュニケーション方法なのだが、この思いを送る、読み取る力とやらが、変身能力に関わっているのかもしれないな。


 御母様がこちらの意図を察して、邪聖少年ビューティーの足に触手を伸ばす。

 頭が回り視野の広い邪聖少年から意識の間隙を突くその手腕、いやさ触腕に舌を巻くぜ。


 髭ダンディが一瞬でムチムチ附子(デーモンハーフ)娘に変わる。だいぶ胸が豊かだが、服装からしてどうもオレらしい。


 今現在の雄々しきツインテールではなく、《初心者の街》に来たての頃の、バレッタで留めてたスタイルだ。


 受付おねーさんの持ち物を毎日てきとーに借りてたなそういや。


「お母さんに似てる」


 クソガキ王子様と違って一瞬で理解して一瞬で沈んだ邪聖少年。頭が善すぎる。


「こら!我が神。人の性癖で遊んじゃいけません!」


 止めてやれよサーマモン。お前が一番追い討ちかけてんだよ。


 …ふむ。こいつも意外な一面あるんだろうか。


「ふふん。何を企んでるかわかっているよ我が神。しかし、私には通じないぞ。何しろ私ときたら、ずっとずっと、我が神にぞっこんなんだから」


 触手握らせたら野老(ノーム)のすんごい偉丈夫になった。オフィーリアさん家の、全盛期本物未亡人並みの覇気を感じる。


 いや!附子(デーモンハーフ)ですらねぇ!誰だこいつ!浮気者め!!


「これはその、えと、浮気じゃないんです」


 めちゃくちゃ照れてる!あの厄介中立属性の筆頭が!御母様が変身した姿でしかないのに目も合わせられないとは。


「そうか、こっちになるのかー。ひゃー」


 こ、これは凄いぞ。どいつもこいつも見たこと無い顔を見せてくれるんじゃないのかね?これは全員のが、見たい!

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