pork-poke-past6
最後は尻尾切り、というかお偉いさんの右腕くらいは切り落とせたんじゃないかな。という所で未来へと退き上げることになった。
ここが限界、らしい。追い詰めすぎると、かえって将来不幸になりそうだったので、1番損が少ない、妥協できるラインで我慢した。とのことだ。
現代の村外れで目が覚める。
「うわ、記憶二重にある。なんか気持ち悪」
「ピギィ。ピギィ。ピギィ」
うおっ。どうしたソテー氏。めちゃくちゃ号泣しとる。
いや、そりゃそうか。念願叶って救えたんだもんなビアンカ夫人。幸せに暮らして寿命で死ん、あれ?死んだのか?記憶にねぇな。昔過ぎて覚えてねぇ。何万回繰り返してんだよこの時代の俺はよ。
「悪魔の時間溯行は、機織りのようなもの。いくつもの道があれば、それを束ねて別の歴史を織ることもできますが、ビアンカさんの章では1本の糸しか存在しなかった。1度で決まったハッピーエンドは、1度しか進めなかったエピソードは、強く固定されて、どうあっても覆せない。私の時間溯行は未来に影響を与えることなく、その場かぎりの夢のように終わる予定でした」
どういうことだ?例えば草臥れジト目の父親サー・マモンが繰り返せてたのは、この時代の俺がそんだけ何度も繰り返してたからってことか?
そんで、ビアンカ夫人の時代はそのままハッピーエンドで終わったから弄りようがない、と。
「本当は、感傷だったのです。あの時、もし救えていれば、どうなっていたのか。それを知って、味わって、満足してこの時代に戻るつもりでした」
でも、歴史が変わったと。ハッピーエンドが覆って、よりハッピーになったのか。善かったな。なんか知らんけど。
「はい。本当にピギィ。ピギィ。ピギィ」
ん?てことは俺が、この時代に何度も過去生を生み出しているのは、つまり全然ハッピーエンド迎えて無いからってことなのか?いやおかしくない?ビアンカ夫人の時と比べたら確実に善い終わりかたしてる過去いっぱいあったよ?急に難易度あがった?
「お帰りなさいだワンご主人様……」
「お帰りなさいでコン旦那様……」
「お帰りニャさいニャン向日葵畑」
ヘソからすぽぽぽん、と契約したモンスターどもが出てきた。ああ、そうか、歴史かわったからバライロもいるのか。
…なんかスーちゃんとオフィーリア、目ぇ死んでんだけど何故?語尾もなんか取って付けたようで雑いし。
「バライロさんが知勇兼備で三面六臂の活躍してるからね。そんでB兄ちゃんの前世の伴侶だとかで仲も良いから、みんな自分に自信無くしてるんだよ」
おお、邪聖少年。そうか、ちょっと歴史変わったから、ここら辺も安全地帯になったんだったな。
「僕たち、要りますコン?」
憂いを帯びた上目遣いにぶちギレはち切れだ。
「要るに決まってんだろぉぉぉライ麦畑がいないんだぞ誰が鎮めると思ってんだてめぇぇぇ」
「もぉぉぉぉぉう」
ちょっと小突くとすぐウシになるなオフィーリアは。野老に育てられてただけのことはある。
のどかな風景を楽しみながら、家畜の世話をすることになろうとは。田舎も善いものだなぁ!
「本当に僕のビアンカと同じ存在ニャのかニャ。豪快すぎニャい?」
「ピギィ。それは私もちょっと思ってます」