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pork-poke-past2

「ようこそ!お久しぶりですB-Tさん!」


 これまでの主要都市と違い実に、寒村とまでは言わずとも閑散とした村で、その僅かばかりの出迎えに、かつて初心者の街に来たての頃にひっかけた善属性幼馴染み三人衆が居た。


 旧王家との内戦で、各地に先触れとして派遣した少年少女たちの1組だったんだが、なるほどここが故郷だったのか。


 2年前、這鼠刺(ラットマン)無食子(ドングリ)狗尾草(コボルト)蜜蜂薄荷(ホムンクルス)という、ちょっと前まで人類圏にいなかった連中が主戦力だったので混乱を避けるため、各地の出身者をメッセンジャーとして用意したのだ。


 この村みたいに、立地的にヤバイとこはそのまま居着いて貰ってたので久しぶりに3人組に出会ったな。芭蕉(ヒト)は早熟な奴が多いので、すっかりあちこちずっしりデカイ。


「ビョウブサシ村にようこそです。B-Tさん父母がお待ちしています。ささやかながらお食事を用意しましたのでぜひ」




 さて、落ち着いたとはいえここら辺までくるとまだ油断できないので兄弟たちは蜜蜂薄荷(ホムンクルス)のキャンプ場へ預け、ソテー氏を連れて要塞化された村に入る。善属性3人の引き締まった臀部を後ろから堪能しながら村長宅に招かれたわけだが、


「で、どっちがお母さんなんだ?」


「僕は右です。下の子は左なんですけどね。そんなに気にしない文化なので気遣わなくて大丈夫です。お心遣い嬉しいですが」


 隣の席の3人組リーダーに耳打ちする。妙齢の美人2人が並んでたので聞かざるを得なかった。


 なるほど、妙に性別偏ってて、戦争のせいかと嘆いていたのだが、ここはどうやらそもそもが芭蕉(ヒト)が多く住む村だったようだな。


 禾穀(ヒト)芭蕉(ヒト)で何でトーテムわかれてるかと言えば、文化じゃなくて物理で異なるからなのだ。


 諸説あるが、品の無いものだと株分けで(1人でも勝手に)増えるから芭蕉(バナナ)をトーテムに、更に下品に言うと芭蕉(バナナ)が付いてるから芭蕉(ヒト)なんだそうだ。


 いや、禾穀類だって自家受粉するわけだが、しかし芭蕉(バナナ)ばっかりで壮観である。祖父祖母叔父叔母使用人までバナナパーティーだからな。温帯とはいえまだ雪深い土地でトロピカル味わい放題とは恐れ入る。


 出された食事は岩ガキやマンボウの心臓の刺身だとか、ナマコの卵巣にブグの肝臓の塩漬け等々、意外な美味珍味だった。赤土が目立つ痩せた里山くらいしか見掛けなかったので驚いた。米はやっぱりここも美味かったが。海藻のしゃぶしゃぶとやらが気に入った。ぷきょぷきょと食感が善い。


「近場に海辺型ダンジョンが在りまして、小規模な製塩と魚介の行商で外貨引っ張ってきてます!」


 短髪の筋肉質な美人が快活に笑う。ええと、こっちがオトンか?右ってどっちだ。俺から見て右であってる?


「ここら辺も落ち着いてきましたし、兵隊の皆さんも随分この土地に馴染んでくださいましたし、その」


 三つ編みで1本にまとめた知的な美人。こっちは確かにお母さんっぽいな。でも下の兄弟は逆なんだったか?


「OKOK。そのダンジョンでの製塩だか漁業だかを事業拡大したいわけね。俺からも伝えとくよ」


 無線を繋いで歯車生肉リボルバー経由で兵士の皆さんにお願いしとこう。そうやって地上に新人類が浸透してくれれば何かとスムーズだ。


 序でにこのバナナパラダイスに腰を下ろしてくれる奴が出てくれば願ったりかなったりだな。俺も腰を打ち付け、おっと、落ち着けたいぜ。


「それもあるのですが、その、この村は伝統的に乱婚でして……旧王家からは許可頂いていたのですが、その、……ぶっちゃけ皇家ってそこら辺、厳しいです?」


 そうか、ここが楽園か。俺もぜひ腰を落ち着けたいぜ。ドッチュドッチュとよ。


「あ、キノコも名物なんですよ。すぐダメになっちゃうから、明日採れたてを串焼きにしますね」


 そりゃ名物だろうよ。名物で業物だ。明日なんて言わず今この場で串を打ちたいぜ全くよ!

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