Ophelia3
「いやぁ、すっかり若返ってしまいました」
女将、現在大体18才くらいだろうか。
あれから刑罰としてドレインしまくったせいで途中、子ギツネを追いかけ回してた頃の未亡人覇者になり、体格が3回りくらい大きくなり出力もあがったのか内も外も絞め殺されそうなほど強くなったので慌てて更にドレインして年齢を下げていったのだ。
危なかった。立場が逆転するところだったぜ。
「寛大な御処置、感謝いたします神様」
「ももー」
こっちもドレインしたのですっかりちみっこくなった偽未亡人少年と牛額。
とくに牛額は無食子のソテー氏の様に、幼くなってウシっぽさが角と尾だけになってしまった。
ほぼ野老と見た目変わらん。何だこれは。残念極まりないぞ。獣性が下がるなんて需要をわかってないのだろうか狗尾草たちを見習え。幼いころから可愛いらしい毛玉だぞあいつらは。
ちなみに、ダンジョンのボス異形再生問題は簡単に解決した。ボスを討伐してしまえばダンジョンは消滅こそしないが成長もしないので討伐したのだ。
スーちゃんよろしく、《猿真似》による召喚契約魔法によってキツネ耳と牛額と契約、俺のヘソ回りに新たな紋様として2匹は保存され、《温泉湧く湧くランド》のボスは消滅したのである。
「いざとなったら呼びつけるけど、それまでは宿で今まで通り働いてていいぞ」
まあ、呼び出したら送り返せないので帰りは列車だが。場所によっては何ヵ月かかるのかわからんが。土産用のお駄賃でも握らせとけば女将も困らんだろ。
「いえ、お役に立ちます神様。モーモーや従業員が母を支えてくれるので大丈夫です」
「ウチの子は孝悌者で忠信者なんです」
へぇ、そりゃ頼もしいぜ。仁義と礼智も揃えりゃ完璧だな。
「いえ、それは残念ながら」
ないのかよ!?
「所詮モンスターですからね人でなしなので」
「面目ない」
女将の辛辣朗らかな言葉に照れ照れと頭を掻くキツネ耳。いや、感性がわからんのよ君たち親子。モーモーとやらは相変わらず人のツインテールをむっしゃむっしゃと食んでいるし。
「兄さん、そろそろ」
おっと、ご飯の時間か。麓へ下りる支度をする。挨拶の口付けを女将とモーモーと交わして領主の下へ。時間タイトらしいので俺が邪聖少年担いで飛んで向かうことにした。牝柿母♂と草臥れジト目は籠でゆっくり帰り、ソテー氏はまたあーああーと振り子運動だ。スーちゃんとキツネ耳は後で召喚すれば善いので置いてきた。しばらく温泉でも浸かっていれば善い。
「お偉いさん信心深いんだっけか?」
「うん、でも息子一派が野心家みたい。だからドレインしちゃってメロメロに洗脳しちゃおう」
よっしゃ、ドレイン許可おりたぜ。相手は貴族。さぞ経験値もたんまり貯めていることだろう。楽しみである。
いや、しかし待て、その息子と郎党連中が何人いるか知らないが物足りないおっと、勿体ないいやこれも駄目だ。なんだ、どう交渉すれば善い?
上空からヒロシイザワの町を見下ろす。ここいらは内戦中、初心者の街にいた出身者をメッセンジャーとして、這鼠刺に無食子、蜜蜂薄荷の混成部隊を送り込んだのだが、強力な彼らと労働者の活躍でも被害は抑え切れなかった。
若者が減り、子供たちはいずれ初心者の街へ、となれば老人ばかりになる。偽物未亡人キツネ耳少年の母たる宿屋の女将、本物未亡人は、まさしく本物の未亡人なのだ。この義理の息子を、亡き夫も善く可愛がっていたと寝物語に聞いた。
「よし、老いた領主夫婦もドレインだな」
「へへー神様おおせのままにー」
邪聖少年が棒読みで讃えてくるのでツインテールの髪を自在に操作してセクハラしといた。神に由る髪に依るハラスメント。カミハラだな。つまり人間の法に拠らないので合法である。
いっそ町の老人連中ドレインして平均年齢引き下げよう。そんで産めよ殖やせよだ。蜜蜂薄荷の生産工場も稼働中だから、短期的にも人口増えるしこれの繰り返しで国力回復出来るな。反抗的なやつは魅了で従えれば善いし。
やはり力、性、富こそ世の中の全てだぜ。富は俺個人が持っちゃいないが力と性で色んな奴から毟りとってこれるので俺がこの世全てを支配していると言って善いな。
「わー、誰も死なないなんて楽園の完成だねB兄ちゃん」
ふはははは!そうとも!酒池肉林の楽園だぜぇ!
「うーん。これは旅程、死んだかなぁ?」