B-T Beauty Baby Bluesky B4
お兄ちゃんの言うことは絶対!
神様と悪魔のお祭りを終えて翌日。
列車とか言う最新兵器に乗って《皇》たるビューティーの全国巡幸を行うことになった。
我らが千年王国は東西をずーーっと険しい山で囲まれて、そのまま南北の海まで盆地が続いている独特な形なのだが、今回の巡幸はやや北よりな初心者の街からそのまま北上する。
各地の主要都市に滞在しつつ、邪聖少年ビューティーの暮らした、最北端の更に端っこの故郷へ向かう。特に皇王様出生の地であるここには長居する予定だ。
そんでまた、南へと向かってその先の島々まで足を伸ばしてようやっと街へ戻る。1年かけてゆるゆると各地を巡るつもりだ。
懐かしの腹パン神官が死にかけながらそのスケジュール組んでたのでお礼に腹パンしてあげた。
過労もあって本当に死にかけたので精を注いで復活させ、そのお陰で肉体だけは回復し、精神は休めず働き続ける地獄を生み出したので面白かったな。「これです。私が求めていたのはこれなんだすよ」と本気で喜んでたので恐ろしいやつだよあいつは。
ここ2年、内戦で忙しかったのでこの巡幸が邪聖少年の羽休めになれば良いんだがな。まあ、政務は労働者を介して遠隔でやるらしいが。
そこら辺、俺は王様じゃなくて神様なんで気楽なもんだぜ。
さて、巡幸に連れていくメンバーだが、揉めに揉めた。何しろ列車という最新のおもちゃに乗れるのだ。男子勢全員挙手したくらいだぜ。
お陰で俺との契約で不可分な狗尾草のスーちゃん以外、パーティー全員男子になった。
南に向かう時にまたメンバー入れ替えるつもりだがよ。
「華がないんだよなぁ」
「ピギィ?皆さんこれ以上無いくらい華やかだと思うのですが」
膝枕してくれてる無食子の元紳士。服飾の魔王。今ではすっかり幼生体の可愛らしい美少年姿なソテー氏が首をかしげる。
ドングリ眼をめい一杯開いて保護欲をそそられる顔付きだ。これが成体になると円らな瞳の肉巨人になるのが信じられないな。
今俺は列車の客室にて、ソテー氏のエチエチな太ももを堪能しつつ髪を結ってもらってる。
ソテー氏の職業は、《盗賊》系派生職《暗殺者》の更に派生職《仕事人》系統《糸使い》、と!、《アイドル》系派生職《マヌカン》の更に派生職《スーパーモデル》との複合職という訳のわからん、《ヴォーグ》である。
糸、というか繊維状のものは全部思いのままで、着ている服を瞬時に分解、そのまま必殺の刃に変えたり出来る。すごくカッコいい。俺なら相手の服を解してそのまま縄に変えて拘束するわ。
魔法の類いじゃないから俺のスキル《猿真似》でコピー出来ないのが辛いな。《隠忍雀》なら技を食らえば使えるが、別の技食らったら使える技が上書きされちゃうしな。
「ピギィ。B-T氏、頭を浮かせて下さい。結えません」
「ん」
まあ、つまり、服や糸だけだなく、髪もまた繊維ということでこのスーパー糸使いモデルにオシャレな髪型にしてもらっているのだ。
「ピギ、綺麗なカールになりました。鏡をご覧ください」
おお、これは!
「ピッギン。私はツインテールと呼んでおります」
「あら、B君兄様かわい「かっこいい!B兄ちゃんスゴいねそれ!」
「だろ、この髪型、派手で雄々しいな!古代の騎士の羽根飾りみたいだぜ。ふぁっさふぁっさ」
「凄い凄いたなびいてるよ!」
「ピギィ。文化の違い……」
「ふふ、しょせん田舎者。こんな野蛮な感性の人達に征服されてしまったのですね。朕、堪りません」
何かソテー氏は落ち込み、クソガキ王子様ベイビーはゾクゾクと歓喜に震えていた。どうしたのだろうか。
「……」
そしてどうしたディアブロ?元気ないな。
草臥れ過去形、いまや現在進行形になった、我がゴミ箱ゼロ号にしてただ俺の側にいたいが為に悪魔に魂まで売った、いじましい義理の弟ディアブロがジト目で此方を睨む。ふむ。草臥れジト目に変えるかあだ名。趣のある目だな。
「兄さん、この乗り物酔います」
そりゃ元気ないわ。
ソテー氏、ディアブロ、ビューティー、ベイビー、今回はこいつらとしばし冒険の旅をする。
………ライ麦畑よ、どこへ行ったのだ!!
愛を燃やせ!