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スパム&コーンビーフでした

※タイトル試行錯誤中。


試しに変更してみたら予想より新規の読者さんが増えたので熟考しています。


ちなみに元々は『カロリーが足りません(˃̵ᴗ˂̵)ノ 〜元社畜だけど軍用スキルを駆使してダンジョン化した東京23区をピクニック気分で渡り歩きます〜』です。


コンビニでも銃器の取り扱い始まりました!


……みたいなキャッチフレーズが頭に浮かんできた。


発注表のジャンルには確かに「武器」の項目があり、選択するとそれらしき商品名がずらりと並んだ。


恐る恐るスクロールしていく――銃に詳しくないけど凄まじくラインナップが充実しているのが分かる。


「食品の項目はあんなにスッカラカンだったのにそんなのありか」

《第二、第三項目でジャンルを細分化でき、そこから更にタグ欄でも種類分けができるようです》


第二項目を弄ってみると「火器」「冷兵器」「その他」とある。

冷兵器というのは火薬や爆発力による殺傷力を用いない兵器、つまり剣槍弓などを指すらしい。


「火器」を選び、第三項目へと進むと「銃」「弾丸」「その他」と続いた。


「銃」を選択してからタグを確認すると「小銃」「狙撃銃」「散弾銃」「機関銃」などの文字が並ぶ。


「うん、まあここまでは分かる」


百歩譲って「火炎放射器」「対戦車擲弾発射器」もありにしておこうか。


「だけど「光線銃」とか「超電磁砲」ってなんなんだよ。存在が許されていいはずないだろ。これ文字も灰色じゃないから発注できちゃうってことだろ?」

《ワクワク(╹◡╹)》


うわ……他の項目も見ていくと手榴弾とか地雷とかも普通にあるね。


一部、灰色表示になっているものもあるがそうでないものが――つまり発注できる商品が大半だ。

どうなってんだこのコンビニ怖い。


「だんだん発注表を見るのが辛くなってきた」


カップ麺が超高級嗜好品と化している一方で、違法薬物やら銃やら明らかに反社会的な商品を当たり前のように取り扱っているのは何故か。

法薬物やら銃やら明らかに反社会的な商品を当たり前のように取り扱っているのは何故か。


ポストアポカリプスな世の中に適応した結果なのだろうか。


《武器の発注はどうなさいますか?》

「とりあえず今使ってるピーターさんの拳銃用の弾丸があればそれの補充と、予備の拳銃も欲しい」

《具体的には?》

「お任せしていい?」

《いいんですか(╹◡╹)‼︎》

「……但し興味本位とか面白半分のチョイスは無しだ。くれぐれも防衛手段として最適なやつを頼むからな?」

《ちっ( ̄Д ̄)>ラジャーです》


舌打ちするなよ。

頼んだからな。


《御予算は如何程でしょう?》

「幾らかかりそう?」

《お値段はピンキリなのでまだなんとも言えません。弾丸の単価ひとつとっても駄菓子から金塊まで価格の差があります》


生存率を高めるには性能が良い銃や弾丸を手に入れたほうがいいに決まっている。

どうしようかな。


《取り敢えず発注するだけなら支払いは必要ないので気になった商品を片っ端から取り寄せましょう》

「程々にね」


「発注」ができるようになったのは嬉しいけど今度はそれを購入するための資金が足りない気がしてきた。


支払い……そういえばライトミートを注文した際は電子マネーで済ませてたけど、補充しないと足りなくなるかもな。


今の貯金残高どれくらいだろ。

後でコンビニATMで確認する必要があるかも。


「……まあそれは後回しでいいか。発注はこの辺でいいかな」

《それでは改めて今日は何をしますか?》

「今日はもう寝ます。おやすみなさーい」

《ふりだしに戻ってる Σ('◉⌓◉’)!?》

「そりゃあ戻るさ。目当ての食料がひとつも発注できないんだものやる気なんかゼロです」

《思ったよりも御主人様が面倒臭い……》


面倒臭くもなるさ。

僕はカップ麺が食べたい一心で、女王蜘蛛の討伐という命がけの試練を乗り越えたのだ。

だがその結果が、カップ麺どころか他の食料すら期待できないとなればこれはもうふて寝するしかない。


さあ取り敢えず注文した商品が届くまでダラダラと惰眠をむさぼることにしよう。



荷物が届いたのは昼頃だった。


ふいに電子音のメロディが店内に鳴り響いて、目が覚めた。

入店用BGMだ。


最初はゴリラアーマー店長が戻ってきたのかと思ったが違った。


「……ドローン?」


店に入ってきたのは見慣れない形式のドローンだった。


巡廻防衛用のキグルイドローンとは違って武器らしき装備はない。

代わりに四角いコンテナを抱えながらフラフラヨタヨタ不安定な動きをしている。


様子を見ているとドローンはどっこらしょとコンテナを床に下ろして、レジの前で支払いなどで使用するレジパネルに勝手にタッチ。

それから無言のまま背を向けて退店し、どこか上空へと立ち去っていく。


「無口なドローンだな」

《あれは恐らく配送用のドローンですね》

「配送用?」

《発注した商品を届けにきたのでしょう。無愛想なbotめಠ_ಠ》


クオヴァディスさん、相変わらずbotが嫌いだな。


「……なあこのコンテナのロゴってmama-sonだよな……?」


mama–sonはネットでは書籍やCDから食品、家電まで一億点近い商品をなんでも取り扱う日本最大級のインターネット通販サイトだ。


ネットではよく「ママ子さん」なんて俗称で呼ばれているが、元は母子家庭を支援する買物代行業から始まったらしい。


だがまさかコンビニの発注品がこのような形で届くとは思わなかった。


「これじゃあ自宅でネットショッピングしているのと大差ないな」


取り敢えずコンテナを開けてみると、ライトミートとは色違いのラベルの缶詰が二種類と、白い素っ気ない型紙でパッケージングされた弾丸が出てくる。


ネットショッピングの梱包を開ける時っていつもワクワク感があるんだけど、今日ほどげんなりした気分になったのは初めてだな。


《予備の銃などは午後便ですね。楽しみです^_^》

「クオヴァディスさんは楽しそうだね」

《お買物好きです》

「取り敢えず使用する分だけを会計するか」


お金を払わないでお店の商品を使ったら横領になっちゃうからね。


というかレジの締めとか在庫の棚卸とかその辺りの業務はどうすればいいんだろう。


店長になった以上、やらなきゃいけない業務があるはずなんだけど前任からは引き継ぎとか何も受けてないんだよな。


弾丸はサイズ的には問題ないようだ。

ただクオヴァディスさんが試し撃ちをしなくてはいけないと言っていた。

更には弾倉に詰め込む作業も必要だし、戦闘するっていうのは準備が面倒だな、と思った。


「これがミドルミートとヘヴィーミートか」

《カロリーです^_^》


相変わらずラベルにそれぞれの商品名が入っているだけの素っ気ない缶詰だ。缶の形状や重さはライトミートと変わらないので違いは容量ではないようだ。だとすれば違いは使用している材料ということになるはず。


「ライトミートとどう違うんだ? カロリーか? 味か?」

《違いを確認するには実食してみるのが一番ではないでしょうか》


それもそうだと思い、早速、レジ台に並べて蓋を開けてみるとそこに現れたのは――


「おお……これはスパムとコーンビーフ⁉︎」


ミドルミートはいわゆるスパム――ソーセージミートと呼ばれる豚肉を使用した加工肉だ。

そしてヘヴィミートはコーンビーフ――バラバラにほぐした牛肉の加工肉だ。


ライトミート――味気ないノンオイルツナに比べると遥かにご馳走だ。


「正直、あまり期待はしていなかったけどこれは期待できそうだな」

《昇進祝いになったみたいで良かったです♪c(*゜ー^)ノ*・'゜》

「いただきまーす」


本来、スパムもコンビーフも塩味が濃く、食材として利用するべき食品だ。

だが濃い味に飢えていたのでそのまま齧りついてみる。

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