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サキュバスにTS転生した魔導師が冒険者になろうとするお話

作者: 笹 塔五郎
掲載日:2019/04/12

「なあ、今からでも考え直す気はないか?」


 俺の後ろから、そんな風に呼び止める声が聞こえた。

 振り返ると、少し困り顔の男がそこにはいる。

 男は俺の担任の講師であり、ここは《魔法学園》と呼ばれるところだった。

 たった今、今後の進路について話を終えたばかりだ。


「《魔導図書館》の司書だぞ? 推薦でそこにいけるっていうのに蹴るなんて――」

「何度言われても考えを変えるつもりはないですよ、私は」


 ピシャリと担任の言葉を拒絶する。

 俺には魔導図書館勤務という道が示されていた。はっきり言うと、魔導師として勤務するにはかなり良い職場なのだろう。

 給料もいいし、卒業後の進路としては希望者も多いくらいだ。

 俺の魔導師としての能力が買われた――そういう面もあるのだろうが、はっきり言ってしまえば興味がない。


「私は魔導師としてもっと上を目指したいんです。だから、《冒険者》になるんです」

「いや、何も冒険者じゃなくたって……」

「だって、私は《騎士》にはなれないんでしょう?」


 足を止めて、振り返る。

 俺の言葉に、担任の講師はばつが悪そうな表情を浮かべた。

 そう、俺は騎士にはなれない。別に、俺の成績が悪いという話ではない。

 ただ、俺の種族が《淫魔族》――いわゆる《サキュバス》だから、という以外には。

 俺には前世の記憶がある。

 それはかつて、魔導師の男だった頃の記憶。才能があったわけではなく、努力を続けて魔導師としての実力は周囲に認められるレベルとなった。

 だが、俺の目指すレベルはその程度ではない。魔導師として、もっと高みに辿り着きたかった――そう思っていた俺にとって、転生というのは色んな意味で運が良かったと言える。重ねて言うが、サキュバスに転生してしまった、ということを除いて。

 俺が騎士になれないことは、まさにそのサキュバスであることが起因する。

 秩序を何より重んじる騎士という職業に対して、サキュバスは存在からしてその真逆。

 ゆえに、俺が騎士として国に所属して活躍する、ということはできないらしい。

 もっとも、やろうと思えばできないわけではないのだが……。


「騎士になれなくたって、司書も立派な仕事だぞ」

「……はあ」


 担任の講師としては、担当している生徒が魔導図書館の司書になるというだけでも評価される、というところがあるのだろう。

 ……仕方ない。あまりやりたくはないのだが、しつこい相手には手っ取り早い方法がある。


「――せんせ」

「な、なにを……!?」


 学生服の胸元の制服を開いて、上目遣いで視線を送る。

 担任の講師は驚いた表情を見せるが、俺の胸元に釘付けになる。


「いいでしょ、別に私の好きなようにしたって、ね?」

「あ、ああ……お前が、そう言うのなら……」


 先ほどまでは渋っていたのに、担任の講師は俺の言葉に頷いた。

 金色の髪に白い肌――控えめに言っても美少女のサキュバスである俺の色仕掛けが成功した、わけではない。

 これはサキュバスとしての固有能力である《魅了》の力だ。

 相手を性的に興奮させれば、軽い洗脳状態に陥らせることができる。


(ぐっ、畜生……何故俺がこんなことをしなければならないんだ……!)


 普段から肌は見せないようにしているが、ここぞという時には露出させて魅了のスキルを発動させる。

 ……はっきり言って、こんなことは俺だってやりたくはない。

 この力を使えば大抵の男には勝てるが、俺の目指す強さはそういう方向性の強さではない。魔導師としての高みだ。

 幸い、サキュバスのような魔族は生まれながらに魔法を扱う能力が高い。


「せんせーも私のこと、応援してよねっ」

「ああ……!」


 ……死にたい。いや、一度死んでいるけど。本当に、俺が何でこんなことをしなければならないのだろう。

 だが、これも俺が高みを目指すため……こうして、俺の進路は冒険者として進んでいくことになった。

この設定で困った時には色仕掛け、基本は冒険者として真っ当に戦うファンタジーという一つで二度おいしい内容になる予定ですがどこで区切れば短編になるか分からず最初のプロローグ的なところを書きました。

これも需要があれば連載したいと思ってます。

なくても連載したいです()

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良い職場なのだろう [一言] 肌は
[良い点] すばらしいので連載をはやくしろくださいお願いします [一言] TSサキュバスはいいぞ
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