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寂しさについて

作者: ヌベール


若い頃、いつも寂しくて仕方がなかった。

いつも、何かが欠けているような寂寥感を、ひしひしと感じていた。何がそうさせていたのかはよく分からない。

そんな時はよく車で川辺へ出かけた。自宅から小一時間ほどのところに、中津川というきれいな川が流れていた。

釣りをするわけではない。

何をするわけでもなく、ぼんやりと澄んだ流れをながめていた。

癒された。ただ眺めるだけで、不思議と慰められた。

平日が休みだったから、ひと気はない。寂しい時に寂しい場所へ行き、静かだけどサラサラと流れの音だけが響く河原は、私の貴重な憩いの場だった。

水底の小石やメダカをながめなから、一服つける時もあった。

その頃は今ほどタバコも嫌われてなかったら、ヘビースモーカーだった私は、タバコも酒もこよなく愛していたが、酒は楽しい時に、タバコは寂しい時に、よく身に馴染んだ。

私は友人と会うより、こうした孤独になることで、逆にさびしさを癒していた。

ところがある時、一人の女性と出会ってからは、私はがらりと変わった。自分は一人では寂しくて生きていけない、そう思っていた私は、その女性を夢中で追いかけた。それこそ一世一代の大勝負に出た。

私は、その女性と結婚した。といっても、結婚式もせず、披露宴もないジミ婚だったが、とにかく、その人と一緒にいられればそれでよかった。

数年後、子どもができた。不思議だ。本当に自分の子どもの誕生というのは不思議だった。寂しさはピタリと治ったのだ。

まあ長い人生、それから色々あるわけだけど、少なくとも一人息子の誕生が私を根本的に変えたのは間違いなかった。

若い人は言うかもしれない。結婚なんて無意味だとか、子供なんて欲しくないとか。

でも、実は私もそうだった。

しかし人は変わると思う。人生には様々なきっかけがある。

君も、あなたも、変わる時が来るかもしれない。

そしてそれは、もうすぐ目の前かもしれないよ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変シンプルだが文体が大変良い。酒は楽しい時に、タバコは寂しい時に良く馴染む。と作品の中で書かれているが私も同感です。 [気になる点] 特になし。 [一言] 次の作品も期待します。
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